"余命半年からの再出発" 第2話
2から関係があり、半には緒に暮らす話までしていた。
「病気が分かったから、やめるとは言えない」
誠は言った。
「向こうにも活がある」
佳代子は笑った。
自分でも、なぜ笑ったのか分からなかった。
「私にも活があるのよ」
「分かってる」
「分かってるが、病院から帰ったに婚届をす?」
「今まで黙っていたことは悪かった。でも、治療のために夫婦を続けるのも違うだろう」
「治療のため?」
佳代子は婚届をテーブルへ置いた。
「あなた、私が治療費をしてほしいと頼んだ?」
「そういうじゃない」
「介護をしてくれとも言ってない」
「今、そうなるかもしれないだろう」
誠の言葉が、胸の奥へ刺さった。
妻が病気になったから婚するのではない。
以から婚するつもりだった。
そう説すれば、自分はたいではないと言いたいのだろう。
しかし佳代子には、どちらでも同じだった。
夫は、妻が最もなに、自分だけ先に逃げる準備をしていた。
「翔太はってるの?」
「先週、話した」
佳代子は息を止めた。
息子までっていた。
京で働く31歳の翔太は、両親の婚について父親から聞き、黙っていた。
佳代子はスマートフォンをに取った。
「話して聞く」
「今は仕事だ」
「母親が病気だとったでも、仕事の方が事なの?」
誠は答えなかった。
話は5回鳴り、留守番話になった。
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佳代子はメッセージを残さなかった。
その夜、誠は寝へ来なかった。
翌朝、仕事へくにボストンバッグをへ積んだ。
「しばらく、向こうに泊まる」
「向こうって、そのの?」
「ああ」
「婚届には、まだ署名しないから」
「分かった」
誠は玄関の扉へをかけた。
佳代子は、引き止める言葉を探した。
病院へ緒に来て。
治療が始まるまで待って。
せめて翔太と話すまで、にいて。
どれも言えなかった。
「あなた」
誠が振り返った。
「私がんだら、しは悔する?」
誠の表が歪んだ。
しかし、答えなかった。
扉が閉まり、のエンジン音がざかっていく。
佳代子はになった。
テーブルには婚届。
蔵庫には夫のために買ったビール。
洗面所には2本の歯ブラシ。
病院から渡された治療説には、《ご族とよく相談してください》とかれていた。
相談する族は、もうにいなかった。
そのの午、翔太からメッセージが届いた。
《病気のこと、お父さんから聞いた。今は仕事が忙しくて帰れない。必なことがあったら連絡して》
佳代子は画面を見つめた。
必なこと。
何を頼めば、息子は帰ってくるのだろう。
治療の付き添い。
入院の保証。
ぬかもしれない母親と話すこと。
どれも「必なこと」にえた。
それでも佳代子は、
《分かった》
とだけ返した。
泣いたのは、その夜だった。
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誰もいない台所で噌汁を温めながら、急に涙が止まらなくなった。
鍋には2分の噌汁が残っている。
佳代子はを止め、へ座り込んだ。
病気が怖いのか。
ぬのが怖いのか。
夫に捨てられたことがしいのか。
息子が帰ってこないことが寂しいのか。
自分でも分からなかった。
ただ、これまで族のために過ごした33が、空になったので、何のもなかったようにえた。
翌朝、病院から話があった。
「入院の確認です。ご族の方と緒に来られますか」
佳代子は度、息をえた。
「族はいません」
にすると、本当にそうなった気がした。
話の向こうの護師が、しを置いて答えた。
「では、おでも丈夫な方法を緒に考えましょう」
その言葉を聞いた、佳代子は初めて、族がいなくても治療を始められるのだとった。
入院当、佳代子はで病院へった。
さなキャリーバッグには、パジャマ2組、着、タオル、歯ブラシ、スリッパを入れた。病院からもらった持ち物覧を見ながら何度も確認したが、をてから携帯話の充器を忘れたことに気づいた。
以なら、誠へ話して持ってきてもらっただろう。
今は頼めない。
売で買えばいいとい直し、そのままへ乗った。
入院受付で、緊急連絡先と保証の欄を空にした類をすと、職員が困った顔をした。
「ご主さまか、お子さまはいらっしゃいますか」
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