"余命半年からの再出発" 第9話
誠は驚いた。
「何でそうなるんだ」
「最初に半って聞いたでしょう。そのだけ待てば、も全部あなたの物になるとった?」
「そんなことってない」
「なら、どうして半でていけって言ったの」
誠は言葉に詰まった。
「向こうも、今の部を引き払って、俺とむ準備をしてる。俺だけの都じゃない」
「そのの活は考えるのに、私の活は考えなかったのね」
「佳代子」
「もういい」
佳代子は夫の横を通り過ぎた。
廊の先で、志津子が待っていた。
「何て言われた?」
「相の女にも活があるって」
「よく殴らなかったわね」
「お姉ちゃんが殴りそうだから、く帰りましょう」
2で裁判所をた。
にはのいが吹いていた。
佳代子は子を押さえながら歩いた。
を守る。
治療を続ける。
婚の話をめる。
どれも簡単ではない。
しかし4かの佳代子は、夫がいなければ何もできないとっていた。
今は、相談する所をっている。
類の読み方も、分からないに聞く方法も覚えた。
できるということは、誰の力も借りないことではない。
誰の言いなりにもならず、必な助けを自分で選ぶことなのだと、しずつ分かり始めていた。
6回目の治療が終わり、奈緒は佳代子より先に退院した。
約束していた赤い子は、退院に完成した。側には黄い鳥を刺繍し、内側には汗を吸いやすい柔らかな布を縫いつけた。
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奈緒は鏡のでかぶり、何度も角度を変えた。
「最です」
「派すぎない?」
「病院の廊で番目ちます」
「それ、褒めてる?」
「もちろん」
奈緒は代として1万円を置こうとしたが、佳代子は受け取らなかった。
「材料代だけでいい」
「技術料を取らないと、商売になりません」
「商売じゃないから」
「これから商売にするんです」
奈緒はスマートフォンで子を撮し、友へ見せた。数、佳代子のもとへ子の注文が3件入った。
治療で脱毛した女性。
術の傷を隠したい女性。
病気ではないが、肌がく販の子がわない女性。
退院、佳代子は自宅のを作業部へ変えた。
直しの主へ事を話すと、古いミシンをく譲ってくれた。余った布や糸も分けてくれた。
最初は体力が続かなかった。
30分縫うと、1休む。
指先のしびれで針を落とし、縫い目を何度もほどいた。注文を受けたまでに完成せず、謝って期限を延ばしてもらったこともある。
それでも、しずつ作った。
「治療のが、治療ののために作る子」
奈緒が勝に紹介文を考えた。
佳代子は嫌がった。
「私は、病気を売り物にしたくない」
「では、病気のにも使いやすい子、でいいですか」
「それなら、まあ」
奈緒はさなインターネット販売ページを作った。の名は、佳代子が入院に刺繍した青いから《青いの子》になった。
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注文はに数件だった。
活できるほどの収入にはならない。
それでも、自分の座へ初めて5,000円が振り込まれた、佳代子は通帳をく眺めた。
夫の料でも、治療の付でも、財産分与でもない。
今の自分ので得ただった。
翔太が週末に帰ってきた。
作業部に積まれた布を見て驚いた。
「本当ににしたの?」
「ってほどじゃないわよ」
「写真、もっときれいに撮った方がいい。今のページ、背景に洗濯物が写ってる」
「奈緒さんが撮ったの」
「俺が撮り直す」
翔太は子を窓辺へ並べ、スマートフォンで撮した。るさを調し、が実物にく見えるよう加する。
「そんなことできるの?」
「普通だよ」
「普通じゃないでしょう」
「母さんがらないだけ」
息子の言葉に、以なら腹をてただろう。
今は、「教えて」と言えた。
翔太は販売ページもし直した。
子のサイズ。
素材。
洗濯方法。
納期。
佳代子が曖昧にしていた項目を、つずつ追加した。
「注文を増やしすぎない方がいいよ。体調悪いに作れなくなるから」
「分かってる」
「分かってない顔してる」
「あなた、親みたいね」
「今まで母さんが全部やってたから、しくらい逆でもいいだろ」
翔太はそう言ったあと、気まずそうに画面を見た。
佳代子は何も言わなかった。
うれしいと言えば、息子にまた負担をかけるかもしれない。
黙っていれば、謝が伝わらない。
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