"孫の一言で、三億円の家を売りました" 第1話
「おを払ってるんだから、ありがとうって言わなくてもいいでしょ?」
7歳の孫・涼太がそう言った、田子は箸を止めた。
目ので、息子の健は笑っていた。
「母さん、子供の言うことだよ。そんな真剣に受け取るなって」
48歳になった息子の横で、妻の美奈も困ったように笑う。
「お義母さん、今の子は昔と違いますから」
子は何も言えなかった。
ただ、胸の奥にさな棘が刺さった。
自分は72歳。
夫をくしてからい、1で息子を育ててきた。
健が25歳で会社を始めるには1200万円をした。
経営が苦しくなったには500万円。
結婚したには300万円。
そして12。
孫がまれ、健が「もっと広いで子供を育てたい」と言った。
子はき夫から受け継いだ資産の部を使い、京郊に付きの戸建てを購入した。
当の購入価格は1億4800万円。
名義は子のまま。
「賃はいらないから、涼太がきくなるまでみなさい」
そう言って、健3に貸した。
駅から徒歩8分。
は約78坪。
庭付きの5LDK。
周辺の価ががった今、そのの査定額は約3億円。
健は12、賃を1円も払わず、そので暮らしてきた。
子は、それを「族への」だとっていた。
しかし。
配送員への態度。
レストランの員への言葉。
「おを払っている側がだ」と言わんばかりの健。
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そして、その価値観をそのまま真似する7歳の涼太。
子はしずつ気づき始める。
もしかすると、自分は息子を助けてきたのではない。
何をしても最には母親が何とかしてくれる。
そんなにしてしまったのではないか。
そして数。
健は、子が名義を持つ3億円のについて当然のように言った。
「母さん、名義だけそろそろ俺に変えたら?」
その瞬。
子ので、何かが完全に切れた。
健はまだらなかった。
母親がその夜、産会社に話をかけたことを。
そして。
自分たちが12「自分の」だとって暮らしてきた3億円の宅が、本当に売りにされることを。
第1章 4ぶりの3泊4健から話が来たのは、残暑がし落ち着き始めた頃だった。
「母さん、今度の連休、3でそっちっていい?」
子はわず聞き返した。
「泊まりに?」
「うん。3泊くらい。涼太もおばあちゃんのところきたいって」
健が、子のに泊まりに来るのは4ぶりだった。
子は京郊の古い2LDKのマンションで1暮らしをしている。
築28。
広さは約62平方メートル。
駅からは徒歩12分。
派さはない。
でも、1で暮らすには分だった。
健がむ庭付きのきなとは、まるで違う。
話を切った、子はすぐにカレンダーを見た。
3泊4。
たった4なのに、胸が浮きった。
スーパーへき、健が子供の頃から好きだった牛肉を買った。
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100グラム798円。
普段の子なら選ばない値段だった。
涼太には1箱580円のアイスを2種類。
美奈が好きだと言っていたシャインマスカットも11980円で買った。
「こんなに買って、べ切れるかしら」
そう言いながら、子は笑っていた。
72歳になっても。
息子が帰ってくるというだけで、母親はこんなに嬉しいものなのかとった。
曜。
昼にインターホンが鳴った。
「おばあちゃーん!」
最初に入ってきたのは涼太だった。
学2。
7歳。
半に会ったより、またし背が伸びている。
「まあ、涼太。きくなったわね」
抱きしめようとすると、涼太はし照れて体をよけた。
「もう赤ちゃんじゃないよ」
「そうね。ごめんごめん」
ろから美奈がきなバッグを持って入ってきた。
「お義母さん、3もお世話になります」
「何言ってるの。ゆっくりしていって」
最に健。
48歳。
会社を始めてから23。
最はSNSに級レストランやゴルフの写真を載せることも増えた。
「母さん、元気そうじゃん」
「あなたこそ。し痩せたんじゃない?」
「仕事忙しいからな」
そう言って笑った顔は、昔と変わらないように見えた。
その瞬までは。
昼は4なのに、5分ほど作ってしまった。
肉じゃが。
だし巻き卵。
鮭の蛮漬け。
枝豆。
炊き込みご飯。
「うわ、すご」
健が笑った。
「母さん、俺たち何いるとってんの?」
「りないよりいいでしょう」
「これ、俺が好きだったやつだ」
健が肉じゃがを指さす。
「覚えてた?」
「忘れるわけないでしょう。
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