"孫の一言で、三億円の家を売りました" 第2話
学のなんて、鍋いっぱいべてたじゃない」
「あったなあ」
そのだけ。
48歳の健が14歳に戻ったように見えた。
子は嬉しかった。
美奈も、
「お義母さんの煮物、本当においしいです」
と言った。
涼太はだし巻き卵を3切れべた。
4分の箸。
何度もく蔵庫。
狭いマンションのに響く笑い声。
それだけで、子は幸せだった。
なくとも、そのの夕方までは。
第2章 「5分遅れてる」
夕方5をし過ぎた頃。
インターホンが鳴った。
美奈がスマートフォンを見た。
「あ、来た」
「何が?」
「ピザです。涼太がべたいって」
昼にあれだけべたのに、と子はし驚いた。
注文額は4980円。
支払いはアプリで済んでいる。
玄関をけると、20代くらいの若い配達員がっていた。
はまだ30度い。
額には汗。
シャツの背も濡れている。
「お待たせして申し訳ありません」
子が、
「暑いありがとうございます」
と言おうとした、その。
涼太が先に言った。
「遅いよ」
配達員が瞬、困った顔をした。
「申し訳ありません。のが混んでしまいまして」
「5分遅れてる」
「涼太」
子がすぐに呼んだ。
しかし涼太は悪びれない。
「だって本当に遅いもん」
ろから来た美奈は、スマートフォンを見ながら笑った。
「まあ、届いたからいいじゃない」
配達員はもう1度をげた。
「変お待たせいたしました」
子は急いで言った。
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「こちらこそ、こんな暑いありがとうございました」
「いえ、とんでもないです」
若い配達員はし笑って帰っていった。
扉が閉まった。
子は涼太を見る。
「涼太」
「なに?」
「今のお兄さんに、ありがとうって言った?」
「言ってない」
「どうして?」
涼太は本当に議そうに首を傾げた。
「なんで?」
「持ってきてもらったでしょう?」
「でも仕事じゃん」
子は黙った。
「お払ってるんだから、持ってくるの普通でしょ?」
胸の奥がたくなった。
まだ7歳。
いはないのかもしれない。
そうおうとした。
子はしゃがんで、涼太と目線をわせた。
「お仕事でもね、誰かが自分のために何かしてくれたら、ありがとうって言うものなのよ」
「なんで?」
「相もだからよ」
そこへ健が来た。
「どうした?」
美奈が笑いながら説する。
「涼太が配達のに『遅い』って言ったから、お義母さんが注してるの」
「ってないわよ。ただ――」
子が言い終わるに、健は笑った。
「まあまあ、子供だから仕方ないだろ」
「でも健」
「5分遅れたのは本当なんだろ?」
「それはそうだけど」
「じゃあ、涼太も違ったこと言ってないじゃん」
健はピザの箱を持ちげた。
「めるにおう」
それで話は終わった。
なくとも、健のでは。
夜。
皆が寝た。
子は台所で残ったピザをラップに包んでいた。
たった5分。
健にとっては、そんな話なのだろう。
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けれど子には、どうしても引っかかった。
健が8歳の頃。
所の百で、おじさんからみかんを1つもらった。
何も言わず受け取ろうとした健を、子は止めた。
「健。何て言うの?」
顔を赤くした健は、
「ありがとう」
と言った。
帰りでも教えた。
「物をもらったからお礼を言うんじゃないのよ。あなたのために何かしてくれた、その気持ちにありがとうって言うの」
健はさくうなずいていた。
あれから40。
その子が今、
「5分遅れたのは本当なんだろ」
と言っている。
「……私が気にしすぎなのかしら」
子はさくつぶやいた。
代が違う。
子育ても違う。
自分の価値観を押しつけてはいけない。
その夜は、そう自分に言い聞かせた。
第3章 6800円のランチ
翌。
健が言った。
「せっかくだから昼はでべよう」
で20分ほどの所にある、最気のレストラン。
ランチコースは16800円。
子はメニューを見てし驚いた。
「お昼からこんないもの、いいの?」
「母さん、たまにはいいだろ。俺がすから」
その言葉が嬉しかった。
1200万円。
500万円。
300万円。
それ以にも、健には何度もおを使ってきた。
だから6800円のランチをご馳してもらうだけで、
「息子もになったんだな」
とえた。
そんな自分がし笑しかった。
料理が運ばれてきた。
涼太の子供用プレートには、トマトが入っていた。
「これいらない」
「残せばいいでしょう」
美奈が言う。
「汁ついてるからやだ」
ちょうど若い女性スタッフがを注ぎに来た。
涼太は皿を指さした。
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