"消えたアナウンサー" 第3話
「絵里がいなくなって、週くらいあと。病院のことを何度も聞かれました。救急を呼んでいないかとか、娘が献体の話をしたことがないかとか」
「献体?」
「私はそんな話、聞いたこともありません。あの子、そういうことを自分だけで決める子じゃなかった」
母親は名刺を見つめた。
「野さん、最にこう言ったんです。『もし病院から連絡が来ても、類にはすぐ署名しないでください』って」
「その、野さんから連絡は?」
「度だけ。詳しいことが分かったら、必ずまた来ますって」
「来ましたか」
母親は首を振った。
「そのしあと、テレビであのまでいなくなったってりました」
帰りので、真紀は窓に映る自分の顔を見ていた。
、自分は紗季の倫をっていた。
だから彼女の失踪を、ずっと私活の延で考えていた。
けれど紗季は、その直まで、別の失踪した妊婦を追っていた。
しかも献体と遺体の扱いを調べていた。
真紀はスマートフォンの古いバックアップをいた。
の着信履歴。
午零分。
野紗季。
そののメッセージ。
〈真紀、しだけ会えない? 話したいことがある〉
真紀は初めて、その文面の続きを像した。
――私、あのの子を妊娠してるの。
、そうだとっていた。
だが、本当は違ったのではないか。
――消えたのき先が分かったかもしれない。
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そう言おうとしていたのではないか。
第章 黒川誠郎
黒川誠郎は、より痩せていた。
衆議院議員会館の応接で、真紀の名刺を見た瞬、彼の目がわずかに曇った。
「野さんの件ですか」
「まだ何も言っていません」
「あなたが来る理由は、それ以にいつかない」
秘が茶を置いて退する。
真紀は録音を机に置いた。
「、野紗季さんと交際していましたね」
「その質問には、当から答えている」
「否定していました」
「今も同じです」
「彼女のお腹の子の父親では?」
黒川は表を変えなかった。
ただ、の親指がの指輪を度だけなぞった。
「週刊誌の推測でしょう」
「野さんが失踪直、央仁誠会央病院について調べていたことはっていましたか」
そこで初めて、彼は真紀を見た。
秒。
ほんの秒だったが、政治の顔から何かが剥がれた。
「何を調べていたと?」
「失踪した妊婦と、献体記録です」
「私は医療法の運営には関わっていません」
「でも、奥様は関わっている」
「妻は財団の理事です。医療法は別組織だ」
「実質な脈は同じでしょう」
「さん」
黒川の声がくなった。
「あなたは報のだ。関係があることと、犯罪があることを混同しない方がいい」
きれいな言葉だった。
真紀はにも、似た言い回しを何度も聞いた気がした。
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「野さんは、失踪のに私へ連絡してきました」
黒川の指が止まった。
「あなたにも連絡していたんじゃありませんか」
「覚えていません」
「、彼女が消えたあと、本当に度も個に探さなかったんですか」
「警察が捜査していた」
「質問に答えてください」
黒川はしばらく黙った。
窓ので、蝉の声がかすかに聞こえた。
「には、できることと、できないことがあります」
「どういうですか」
「それ以は話せません」
取材はそこで打ち切られた。
議員会館をると、真紀はすぐにメモした。
〈医療法の質問で反応〉
〈“できることと、できないこと”〉
〈否定より沈黙の方がい〉
黒川は怪しい。
そうった。
と同じように。
ただし、今回は怪しさの形が違った。
彼は何かを隠している。
だが、それが「自分が何かをした」の隠し方なのか、「何かをっている」の隠し方なのか、真紀にはまだ判断できなかった。
その夜、のカメラマンから標本展の資料が届いた。
妊婦標本の提供元は、確かに都メディカルアーツ。
提供期は。
さらに、標本管理票の拡画像もあった。
〈MA-214 / Female / 32W〉
週。
真紀は背もたれに沈んだ。
紗季の失踪の妊娠週数と致している。
しかも提供元は、紗季が調べていた医療法と取引のあった会社。
偶然がなりすぎていた。
もし、あの標本が紗季なら。
政治との倫。
妊娠。
医療法。
献体記録。
失踪。
すべてがつの線になる。
真紀はその瞬、自分が答えを見つけかけているとった。
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