"断っただけで「要注意世帯」" 第7話
「ほら見ろ」
森田は自治会へ来るなり吐き捨てた。
「カード枚落ちてただけで棒扱いだ。誰か謝るのか?」
誰もすぐにはをけなかった。
森田は腹をてたまま帰っていった。
今度は別の物へ疑いが向いた。
川修だった。
夜にマンション内を歩いている。
民の写真を撮っている。
予定や予備鍵制度について妙に詳しい。
「川さんなら、のの留守くらい調べてそうよね」
そんな噂が広がり始めた。
健司も完全には否定できなかった。
川のが普通ではないのは事実だった。
だからこそ、今度は噂だけで判断せず、本から聞くことにした。
106号を訪れると、川はしそうな顔をしたが、「入れ」とだけ言った。
内はっていたより頓されていた。
ただ、棚には量のファイルと写真が並んでいた。
廊。
ごみ置き。
駐。
エントランス。
「これ全部、マンションの記録ですか?」
「気持ち悪いだろ」
川が先に言った。
「正直、ちょっと」
「俺もそうう」
川が記録を始めた理由は、5にあった。
当、川の妻・が宅配物の盗難を疑われた。
別のが玄関へ置き配された荷物をなくし、防犯カメラを確認すると、その帯にが同じ階を歩いている姿が映っていた。
代は掲示板へ、
《当たりのある方は速やかに返却してください》
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と貼りした。
名こそかなかった。
しかし噂はすぐへ向かった。
「結局、荷物は配送会社の誤配だった。3に別の部からてきた」
誤解は解けた。
だが度広がった噂は消えなかった。
はもともと付きいが苦だったこともあり、廊へるだけで線が気になるようになった。
翌、娘ののくへで引っ越した。
「婚じゃないぞ」
川はを押した。
「今も週に回は会ってる。ただ、あいつはこのマンションへ戻りたくないって言う」
その来事以来、川は何か起きるたびに記録するようになった。
誰が何を言ったか。
何に誰がいたか。
で噂が事実へすり替わるに、残しておく。
「今回も誰かが濡れを着せられるとったんですか?」
「もう森田が着せられただろ」
川は冊のノートをいた。
3件の盗難について、発、留守予定、鍵の保管状況がかれている。
「共通点がもうつある」
「予定表以に?」
「全部、防災ボックスへ予備鍵を預けてるだ」
健司は言葉を失った。
304号。
井静。
501号。
3世帯とも予備鍵を自治会へ預けている。
「でも防災ボックスをけるには、自治会側の鍵が必ですよね」
「通常はな」
川は古い防災ボックスの写真をした。
「森田に聞いた。あの箱には非常用の管理キーがある」
管理会社や設備会社が使うマスターキーだった。
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通常、が持つものではない。
しかしマンション建設当初、防災設備の納入に関わった会社へ勤めていたがいるという。
「402号の田隆志」
52歳。
現は物流会社勤務。
健司も廊ですれ違ったことがある程度の、目たない男性だった。
以は鍵メーカーの代理へ勤め、このマンションの防災設備にも関わっていた。
「じゃあ、田さんが?」
「まだ何も言ってない」
川は健司を真っ直ぐ見た。
「識があるってだけで犯にしたら、俺たちも5と同じだ」
その言葉はかった。
嫌われ者と呼ばれている男が、番慎にを疑っていた。
健司はその夜、川の言葉を何度もいした。
疑うなら、証拠がる。
そして証拠は今、自治会の仕組みそのものを指していた。
田隆志については、管理会社を通して調べることになった。
同士で勝に辺を探れば、またしい噂をむだけだ。健司と川は、これまで分かった事実を理して管理会社へ提した。
防災ボックスには子な利用記録はなかった。
しかし集会の子錠には、過2か分の入退記録が残っていた。
夜の入は数回。
代。
現役自治会役員。
設備作業を頼まれた森田。
そして、田の名もあった。
田は現、役員ではない。
臨の確認会へ呼ばれると、彼は骨に困惑した。
「どうして夜に集会へ入ったんですか?」
管理会社の担当者が尋ねると、田は代を見た。
「自治会のパソコンが調子悪いから見てくれって頼まれました」
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