"夫から届いた23年分の請求書" 第9話
再試験に格し、私は歳で正職員になった。最初の料は契約より万円ほど増えた。
隆司はさなケーキを買って帰った。卓に請求はなかった。
「おめでとう」
に聞きたかった言葉だった。遅すぎるとう気持ちもあったが、私は「ありがとう」と受け取った。
その夜、隆司が自分の与細を見せた。会社の業績悪化で役職当が減り、以より取りががっている。これまでなら隠したかもしれないが、計座への入額を来から見直したいという。
私たちは計表をき、固定費を減らした。使っていない保険をつ解約し、を台から台へ減らすことも検討した。私の負担額は万円増えたが、過の返済ではなく、今が暮らすための分担だった。
「僕は、君を養ったとっていた」
隆司が言った。
「違いだったと簡単に言うつもりはない。実際、を稼いだのは僕だった。でも僕が仕事だけできたのは、君がそれ以をしていたからだ」
「私も、のことを全部分かっているのは私だけだとってた。それでしていたところもある」
私たちは、過を同じ価値観で塗り直さなかった。隆司が働き、収入を得たことは事実。私が事と育児を担い、働く会を失ったことも事実。どちらかが相を養ったという文ではりなかった。
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悠斗はに度、へ事に来る。最初の頃は、母の料理を期待していたが、今は自分で品持ってくる。のい野菜炒めや、し焦げた卵焼きだった。
「父さん、母さんに活費返せって言ったの、本気だったの?」
ある、息子が尋ねた。
隆司は、本気だったと答えた。会社へ貸したを埋めたい焦りだけでなく、自分だけが族の責任を背負ってきたという満もあったという。
「俺、あの、父さんが正しいとった」
「おにそうわせたのは、僕の話し方もある」
悠斗は私へ謝った。
「母さんが何をしてたか、をてやっと分かった。ごみ袋が勝に補充されないのも、蔵庫の物がなくなるに買うがいるのも」
私は、分かったなら分だとは言わなかった。
「帰ってきただけ、客に戻らないでね」
悠斗は笑い、そのの器を洗った。
会社への貸付は、最終に百万円だけ返った。残りは会社の民事再続きので、部しか回収できない見込みになった。
隆司は百万円を失った。私は責めなかったが、計から補填もしなかった。彼は個の退職準備から損失を引き受け、老の趣に使う予定だったの購入を見送った。
結果が悪かったから罰を受けたのではない。自分で決めた貸付の結果を、自分の範囲で負う。それが、私たちのしいルールだった。
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正職員になって半、私の母が転倒し、期の入院が必になった。以なら私が仕事を休み、続きも洗濯物もで引き受けただろう。姉と相談し、面会、病院との連絡、退院の買い物を分けた。
隆司はをすと申したが、私の勤務表を見て、勝に休暇を取るよう勧めることはしなかった。必なだけ私がを使い、残りは姉と病院の支援へ頼った。
母は「娘なのに毎来ないの」と満を言った。胸は痛んだが、毎かなければ切にしていないことにはならないと説した。母はすぐ納得しなかった。
族の境界を作れば、相が成して謝してくれるとは限らない。にはたい娘、勝な妻とわれたまま選ぶ必がある。それでも私は仕事を辞めず、母の退院も週回の訪問を続けた。
、母は隆司へ「美は働き始めて変わった」と愚痴を言った。夫は以なら同しただろうが、「変わりました。でも、僕も今まで美が全部するのを当然にしていました」と答えたという。
その言で過が帳消しになるわけではない。ただ、夫がのだけでなく、でも同じ説をするようになったことを、私は静かに受け取った。
、隆司は会社を退職した。民事再の体制で経理責任者を続けるもあったが、自分がまた会社のを個で埋める役割へ戻るとじ、再雇用を断った。
退職の、私はで簡単な夕を作った。
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