"旅行代を全額68万円出したのに現地で「年寄りはすぐ疲れて足手まとい」と別行動された" 第12話
の話をしない謝罪
それから1か、美咲が1で訪ねてきた。
以のようなブランドバッグではなく、類の入った布製の提げを持っている。い化粧のには疲れが見えたが、玄関に入る、彼女は背筋を伸ばしてをげた。
「今は、おのお願いではありません」
居で差しされたのは、系列ホテル3施設のスタッフへ宛てた謝罪文だった。自分が求した内容、相へ言った言葉、直の役職を使って圧力をかけたことが、それぞれ具体にかれている。言い訳はなかった。
には、対応した社員の名も記されていた。沖縄で部を用してくれた女性、京都で満席を説した男性、軽井沢で変更を断った。美咲は当、名札すらまともに見ていなかったが、コンプライアンス担当に問いわせ、1ずつ確認したという。
「あのたちを、サービスをする側としか見ていませんでした。お義母さんのことも、旅代をす側、迷惑をかけずに待つ側だと決めつけていました」
美咲は価な腕計とバッグを売り、その代を286万円の返還へ充てることも直に伝えていた。使ったのは自分でもあるから、夫だけの責任にはしないと言った。
「さんから、直接渡すのではなく、コンプライアンス担当を通すよう言われました。提するに、お義母さんにも読んでいただきたくて」
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美咲は実へ戻ったあと、以働いていた会社へ連絡し、勤務から復職することになったという。直とは別居したままだった。
「婚するかどうかは、まだ決めていません。でも、役員の妻になれるかどうかで決めるつもりもありません。自分の活費は自分で稼いでから考えます」
その言葉を聞いても、私は派になったとは褒めなかった。1かのだけで、3の態度が消えるわけではない。ただ、以ならに決めさせていた暮らしを、自分で引き受けようとしていることは伝わった。
「貧しいとったから見したわけではない、と最初は自分に言い聞かせていました。でも、支配がお義母さんへをげた途端、私は態度を変えました。あれが答えだといます」
私は謝罪文を読み終え、封筒へ戻した。
「謝る相は、まずスタッフの方たちです。私は、あなたがおのない老だったとしても、同じように謝ったかを、これからので見ます」
「はい」
美咲は涙を拭かずに頷いた。すぐに許してもらえるとはっていない、その顔だけは以と違っていた。
彼女が帰った夕方、今度は直から話があった。会社の返還計画へ署名し、286万円を毎5万円ずつ、最終だけ1万円で返すことになったという。管理職当を失ったため、は返却し、マンションも売却へ向けて査定を依頼したらしい。
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「母さんにしてもらった5400万円は、すぐには返せない。でも、あれを自分が稼いだだと美咲に言ったことは謝りたい」
直は担当職として社を続け、これまで部に任せていた施設別の集計作業を自分でしているという。肩のない名刺を渡され、以なら見向きもしなかった仕事をする毎が、っていた以に苦しいとも話した。
「辞めれば逃げられる。でも、迷惑をかけた会社で、返し終わるまでは働こうとう」
「私に謝れば、また元へ戻れるとっている?」
話の向こうで、直はしばらく黙った。
「今はっていない。謝ったから何かをもらえるなら、それはまた取引になるから」
初めて、彼の言葉に期限も役職も相続もてこなかった。
「分かりました。では、言葉ではなく、これからを見ています」
許したとは言わなかった。それでも話を切ったあと、胸に残ったのはりではなく、い疲れがしだけほどける覚だった。
玄関へくと、古いバッグの持ちから革の細い糸がていた。35使い続けたのだから、壊れても議ではない。私は捨てる代わりに、翌、夫が最初に買ってくれたへ修理を頼んだ。
受取票には、3週の付が記されていた。
ちょうどその週、昔の友から旅へ誘われていた。
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