"「異物が入ってる!」老舗そば屋を潰した“32秒の嘘”" 第5話
午217分の
保健所から話を受けた、私は翌の営業を休むことにした。
属片の写真がどこで撮られたのかは分からない。それでも、の材や器具に異常がないと確認できるまでは、1杯のそばもすべきではなかった。結と2で蔵庫を点検し、未封のそばの袋には仕入れをいたを貼る。柚子薬は容器ごと密封し、包丁やざるも位置が分かるよう撮した。
午9過ぎ、から歩いて10分ほどの私のへ戻った。結は今夜だけ緒に泊まると言い、座卓にノートパソコンを広げた。画面には、内と裏に設置した3台の防犯カメラが映っている。
2、夜にレジをこじけようとした者がいたため、結が自分で選んで設置した器だった。映像は内の録画だけでなく、きを検するたび部にも保される。私は当、そこまでする必があるのかとったが、今夜ほど結の慎さをありがたいとじたことはなかった。
「ここまでしなくても、は保健所のが見てくれるよ」
「相は1800万円のために画まで作ったんだよ。次に何をするか分からない」
結はい調で言ったものの、湯のみを包む指先はたかった。私はそのに触れ、無理に笑わなくていいと伝えた。怖いのは私も同じだった。ただ、怯えたまま眠らずにいるより、記録を残せる状態で待つほうがいい。
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付が変わっても異常はなかった。午1を過ぎ、結が座布団にもたれて目を閉じたため、私も照をつだけ残して横になった。
携帯話がく震えたのは、午217分だった。
《裏できを検しました》
通をくと、暗いに黒い子をかぶった男がっていた。男は周囲を見回した、裏のでをかがめる。数秒、扉が内側へいた。
「結、起きて」
私が声を落とすと、結はび起きて画面をのぞき込んだ。内のカメラには、携帯話のかりを頼りに歩くが映っている。男は客席を通らず、迷いなく厨の奥にある材庫へ向かった。
「警察に話する。おばあちゃんはへっちゃ駄目だからね」
結は110番へ連絡し、の所と侵入であることを伝えた。私は画面録画を始め、通刻が消えないよう携帯話を卓へ置く。
材庫の映像は暗く、男の背しか見えなかった。棚ので腕が2度き、いそばの袋がわずかに傾く。その直、カメラの表示が黒くなった。
午224分、裏のカメラに再び男が現れた。入より膨らんだ鞄を抱え、の奥へりる。警察官が到着したには、すでに姿はなかった。
私たちはへ呼ばれ、警察官と緒にへ入った。裏の錠にはしい傷があり、材庫のカメラは源コードを抜かれている。
未封だったそばの袋のつには細い裂け目ができ、そのすぐの棚に、を反射するさな属片が落ちていた。
「触らないでください。こちらで確認します」
警察官が材庫への入りを止め、袋と属片を別々に撮した。私は、保健所へ送られたという写真の話、切り取られた32秒の画、そして1800万円の契約について順番に説した。
午450分、事を話し終えてへ戻ると、結がクラウドに自保された画像を1枚ずつ拡した。男が裏へ入る直、子のつばをげた瞬だけ、横顔が鮮に残っている。
結の指が止まった。
「この、昨、黒川の隣に座っていた」
私も覚えていた。そばをべながら携帯話を横向きにてていた、5のうちの1だった。
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