"「ただの用務員でしょ?」卒業式で笑われた72歳――アルバムを開いた生徒たちが泣き、校長は壇上を降りた" 第4話
消されかけた7分
「式を予定どおり始めます」
の落ち着いた声で、徒たちは座り直した。青蓮と岸真帆も涙を拭き、アルバムを膝のに置いた。
国斉唱、卒業証授与、式辞。式は20分遅れでんだが、誰ひとり計を気にする者はいなかった。徒の名が呼ばれるたび、佐藤は体育館の方でさく拍を送った。
卒業代表の答辞を読むのは美羽だった。
壇へ向かう取りは乱れていない。けれど、を持つ指先はわずかにくなっていた。佳代は娘の緊張だとい、保護者席から励ますようにうなずいた。
美羽は用した文章を字も違えずに読み終えた。ただ最に度だけ、体育館方へ線を向けた。佐藤と目がうと、張りつめていた肩がほんのしがった。
佐藤は美羽に向け、いつもの朝と同じように度だけうなずいた。励ますためのげさな笑顔ではない。それでも美羽は、答辞の用を演台に置く、指の震えが止まっていることに気づいた。
答辞が終わると、教は表をめくった。
「続きまして、本度をもって本を退職される、佐藤隆さんへの謝のといたします」
佳代の表が固まった。
卒業式の1週、彼女はで同じ表を見ていた。予定は7分。そこには「用務員・佐藤隆氏への謝辞、記録映像」
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とかれていた。
佳代はそので削除を求めた。
「卒業式は徒が主役です。個な送別会を入れれば、式の品位ががります」
はを表にさず、企画が卒業アルバム委員会から提案され、卒業学の教員会議でも承認されたものだと説した。それでも佳代は、PTA会として反対見を記録に残すよう求した。
「の勤務には謝します。ただ、清掃や修理をして料を受け取るのは当然でしょう。それを教育の功績と同じように扱うのは違うといます」
その、は度だけ鏡をした。
「黒田さん。あなたは、佐藤さんが30、何を見てきたかごじですか」
佳代が「内の設備でしょう」と答えると、はそれ以説しなかった。
そのの夕方、佳代の反対見は議事録に残された。しかし、徒から選ばれたアルバム委員8は企画を取りげなかった。彼らがへ持ってきたのは、華やかな送別案ではなく、佐藤に助けられた卒業たちの言葉だった。
は1通ずつ読み、予定どおり実施することを決めた。ただし、本の許が取れないや、庭事を特定できる内容は使わない。それが、この7分を守る条件だった。
現の体育館で照がし落とされ、正面スクリーンがるくなった。
の朝、まだ誰もいないので融剤をまく佐藤。
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台の翌に折れた枝を片づける佐藤。に濡れた徒へ、自分のタオルを差しす佐藤。舎裏のベンチで、徒の隣ではなくしれた所に座る佐藤。
写真のくは、歴代の写真部員や教員が撮ったものだった。
最に、30のあせた1枚が映った。42歳の佐藤が、まださかった正のにっている。今より背筋は伸びていたが、徒を見送るの目は変わっていなかった。
壁際の佐藤は、映像から目をそらした。謝されるために残した写真ではない。自分がらないところで撮され、今まで保管されていたことのほうがだった。作業を持つ指に力が入り、子の縁がわずかに曲がった。
教がマイクを持ち、に登壇を促した。
ところがは壇央へ向かわなかった。
マイクを置き、階段を1段ずつりていく。向かった先は来賓席でも、卒業代表席でもない。
体育館方の壁際につ、佐藤のだった。
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