"「ただの用務員でしょ?」卒業式で笑われた72歳――アルバムを開いた生徒たちが泣き、校長は壇上を降りた" 第9話
母がらなかった100
「ずっと隠しておくことはできない」
佐藤は美羽の願いを、そので受け入れなかった。
のには朝から湿ったが通り、植え込みの葉にさな滴が残っていた。美羽は柱のにち、登してくる徒に顔を見られないよう俯いている。
「今すぐ話せとは言わない。ただ、倒れるまで黙っているのは秘密を守ることとは違う。井先と、いつ、どう伝えるかを決めよう」
美羽は返事をしなかった。それでもその、保健へ向かうに、初めて自分から佐藤の横を歩いた。
奈緒との面談は週に1度続いた。担任は朝番のテストを別に受けられるようにし、養護教諭は美羽が教へ入れないの席を保健に用した。医療関にも相談し、呼吸が乱れたの対処と、無理に登を続ける危険について説を受けた。
佳代には、最初は本の希望を尊して詳しい事を伏せた。ただし学側は、状態が悪化したには保護者へ連絡する条件を美羽と確認していた。秘密を無期限に抱え込むのではなく、美羽が自分の言葉で話す準備をするためのだった。
そのも、美羽は毎朝同じ刻にをた。佳代が先に勤するは、玄関から「ってきます」とメッセージを送った。母が宅しているは制をえ、弁当を持ち、何事もない顔で靴を履いた。
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だから佳代は、娘が登できないがあるとは像もしなかった。
美羽は欠席こそしなかったが、から保健へ向かい、1目を休んだ朝が何度もあった。調子の良いは教までけた。翌にはまた柱ので息が詰まった。
佐藤は、できただけを数えた。
「今はを越えるまで3分だったな」
「昨は1で昇までけた」
美羽がまたけなくなっても、「元に戻った」とは言わなかった。昨できたことまで消えるわけではないと、淡々と伝えた。
休みを挟み、がまる頃には、美羽はほとんどのを教から始められるようになった。それでも佐藤は720分になると、必ず正付にいた。美羽を待っているとは誰にも言わず、落ち葉を掃き、の蝶番へ油を差した。
入試がづいた11、美羽は奈緒と担任の同席で、ようやく佳代へ体調のことを伝えた。ただ、症状が最もかった期や、佐藤が毎朝待っていたことまでは話せなかった。
佳代は驚いたものの、「受験期には誰でもになる」と受け止め、塾の数を1減らした。それで分対応したつもりだった。
美羽はその夜、母が塾へ欠席連絡を入れるろ姿を見ながら、やはり最も苦しかった頃のことは話せなかった。佳代はすぐに解決策を探し、予定を組み直したが、美羽がどんなに怖くなり、何を選びたいのかを尋ねなかったからだ。
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それでもしずつ、自分の言葉で伝える準備はんでいた。第1志望への格が決まった、美羽は佐藤へ1通のをいた。には内容を見せたが、卒業式で名をかすかどうかは、当の自分に決めさせてほしいと頼んだ。そのが、箱に加わった127通目だった。
美羽がで佐藤の姿を探した朝は、まもなく100に達していた。
そして卒業式当。
美羽は奈緒からマイクを受け取り、母と向きった。
体育館には、じろぎする音さえなかった。佳代は娘を止めようと度ちかけたが、美羽のがもう震えていないことに気づき、そのに残った。
「お母さん。私が3、何の問題もなく学へ通ったとっているなら、それは違う」
佳代の唇がわずかにいた。
美羽は佐藤の隣へち、体育館にいる全員へ告げた。
「127目は、私です」
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