"「ただの用務員でしょ?」卒業式で笑われた72歳――アルバムを開いた生徒たちが泣き、校長は壇上を降りた" 第12話
最の勤務
卒業式から3、会議に12が集まった。
、教、養護教諭、学主任、奈緒、学法の担当者、そして卒業アルバム委員の代表者たちだった。PTA会の佳代も、自分から席を申した。
議題は佐藤への記品ではない。
「佐藤さんが退職した、で見つけてきた異変を、どうすれば組織として見落とさずに済むか」
がそう切りすと、奈緒はこれまでの連携記録を代別に理した資料を配った。個報は除かれ、発見所、帯、最初に気づいた職員だけが集計されている。
最もかった所は正付。は710分から810分に集していた。相談で待っているだけでは会えない徒が、そこにいることを数字が示していた。
「佐藤さん個の観察力に依していた部分は否定できません」
奈緒は率直に認めた。
「でも、同じをもう1探すことが目ではありません。教員、事務職員、用務員、警備員が、気づいた変化を全に専職へ渡せる仕組みを作るべきです」
学法側は、度から朝の登支援当番を設ける案をした。すでにっている2回の研修は、期の委託スタッフや警備員も必須とし、記録様式を統する。緊急性の判断は、必ず養護教諭か管理職が担うことも確認された。
また、く登した徒が相談までかなくてもち寄れるよう、昇くに職員の当番席を置くことになった。
広告
そこを「第2の佐藤さん」にするのではない。誰が当番でも、異変を見落とさず次の支援へつなげるための所だった。
佳代は、卒業式に提した反対見を取りげる面を机へ置いた。
「私は今朝、清掃や修理は料を受け取ってう当然の仕事だと言いました。その考え自体は変わりません。ただ、当然の仕事を30続けただから見えたものがあることを、私は評価していませんでした」
彼女はPTAとして、保護者向けの相談窓案内と、朝の登支援制度の周に協力すると申した。娘の経験を宣伝に使わないことも条件に加えた。美羽が話した事実は、美羽自のものであり、母親の反省を示す材料ではないからだ。
会議が終わる頃、舎にはが差していた。
会議をた佳代は、美羽と並んで廊を歩いた。すぐに事を聞きそうとはせず、「に帰ってから、話せるところだけ聞かせて」と伝えた。美羽が「今は疲れたからでもいい?」と尋ねると、佳代は初めて予定を決めずにうなずいた。
佐藤は用務員で、30使った私物をさな鞄へ詰めていた。替えの軍、古い筒、修理したラジオ。壁から勤務表をすと、く残った角い跡が現れた。
そこへ卒業180がやって来た。
全員は入りきれず、廊と庭まで列が続く。先の蓮が、佐藤の古いアルバムを差しした。
には徒たちが1ずついた言葉が並んでいた。
「180通の返事です。今は読まなくていいです。でも、捨てないでください」
佐藤は受け取ろうとして、伸ばしたを途で止めた。朝から何度も涙をこらえてきたが、今度は隠せそうになかった。
「分かった。で読む」
それだけ言って、両でアルバムを抱えた。
午6、佐藤は用務員の照を消した。机のには、体育館、倉庫の鍵をまとめた返却箱が置かれている。
倉庫の鍵をし、体育館の鍵もした。
しかし最まで、正の鍵だけは返却箱に入れなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
不当解雇された高卒技術者の特許逆転劇
精密機械メーカーの技術者・中村誠は、高卒叩き上げであることを理由に、名門大卒のエリート上司・北川部長から「掃除とオイル交換しかできない無能な雑用係」と見下されていた。ある日、大口顧客向けの製品に二百個超の大量不良が発生。北川は自らの設定ミスを隠蔽し、誠を犯人に仕立て上げて責任を押し付ける。深夜に真相を暴くアクセスログのUSBメモリーを確保した誠だったが、直後に車に撥ねられ全治三ヶ月の重傷を負ってしまう。病室から連絡を入れると、北川は「好都合だ、クビにしておく」と嘲笑し電話を切った。だが誠が病室のベッドから特許庁へ出願した一枚の技術書類と、彼が去って完全沈黙した工場の製造ラインが、欺瞞に満ちた組織に前代未聞の崩壊をもたらす――。職場逆転|人生逆転2.5万字5 430 -
完結第14話
高卒エースを掃除係に落とした無能社長
大手玩具メーカーの営業エース・篠田零司は、高卒叩き上げながら十二年間にわたりトップの成績を維持してきた。だが、恩師である先代の矢吹会長が病で倒れ、新社長に就任した倉島哲也から全社報告会で突如「先月の達成率は三十パーセント、部内最下位のお荷物だ」と虚偽の数字で公開処刑される。強烈な学歴コンプレックスと嫉妬を燃やす倉島は、篠田を社長室の雑用係へと追いやったばかりか、彼が一年かけて心血を注いだ総額百億円の大型独占契約を故意に破談へ追い込む暴挙に出る。しかし、篠田の手元には「確定売上高一億四千二百万円」を証明する売上管理ファイルの原本が存在していた。理不尽の極みの中で静かに退職届を差し出した篠田。だが、現場の異変を察知した車椅子の矢吹会長が立ち上がり、握りつぶされた証拠が暴かれたとき、欺瞞に満ちた社長室に前代未聞の鉄槌が下される――。職場逆転|人生逆転2.9万字5 208 -
完結第23話
締め出された新社長
父から印刷会社を継ぎ、代表取締役として誰よりも早く出社した初日の朝、私のカードキーだけが赤く点滅して通用口が開かなかった。清掃員や入社三カ月の新人、配送トラックが次々と通過していく中、古参の会計は「先代の指示で権限を削除した」と告げる。社内では判断を下せる者がおらず、営業と現場の怒号が響き合い、輪転機が完全に停止した。私は閉ざされたガラス扉の脇にパイプ椅子を置き、冷たい缶コーヒーを握りしめた。職場逆転|人生逆転|怒り|親子関係|修羅場3.5万字5 216 -
完結第14話
年商一兆円の父にワインをかけた婚約者
創業家の御曹司との顔合わせ当日。ボロ車で駆けつけた私の父を見た義母は、「貧乏人の娘が」と父の頭から赤ワインを浴びせかけた。婚約者も冷笑し、父を詐欺師呼ばわりしてロビーで土下座を迫る始末。 だが、父は一言も取り乱さず、静かにワインを拭った。 「この縁談はなかったことに」 指輪を投げ返し、父の向かった先は日本中が恐れる巨大財閥の最上階。傲慢な親子が信じていた“金と権力のルール”で、静かな断罪劇が幕を開ける。因果応報|人生逆転|金銭問題|修羅場2.1万字5 129 -
完結第13話
二十七年目の嘘
58歳で急死した夫の遺品を整理していた美智子は、引き出しの奥から27年前の「採用内定通知書」を見つける。当時不合格だと思い込んでいた東京の出版社からのものだった。封筒の裏には夫の筆跡で「辞退連絡済」。夫はなぜ私の人生を勝手に奪ったのか。さらに、夫の出世作となった伝説の住宅企画が、かつて自分が書いた企画ノートそのものだったことを知る。奪われた名前と人生を取り戻すため、妻が下した決断とは。人生逆転|夫婦|真実|第二の人生|親子関係2.0万字5 57