"「姉は他人」と治療費を拒んだ夫――姑の救急搬送で800万円を求められた私は、通帳を閉じた" 第5話
受理されない婚届
役所の戸籍窓は、午の柔らかな差しに照らされていた。番号札を握って待つも、バッグののスマートフォンには浩司から着信が続いていた。
〈勝なことをするな〉
〈母さんに謝れ〉
〈今に300万円を戻せ〉
届いたメッセージは、30分で11件。姉の容体を尋ねる言葉は、1つもなかった。
番号を呼ばれ、私は窓に婚届の受理申を差しした。本確認を終えると、職員は類を確かめながら静かに説してくれた。
「これで、佐藤様ご本が窓に来られたことを確認できない限り、協議婚届は受理されません。取りげをされるまで効です」
私はくをげた。
浩司が私の署名を真似た婚届をいつ提するつもりだったのかは分からない。しかし、なくとも突然戸籍から追いされることはなくなった。
庁舎をると、そので駅から2つ先の町へ向かった。直子が自宅の登記や両親から受け継いだのことを相談している、法律事務所がある。
姉から名刺を渡されたのは半だった。
「私が入院したり、話せなくなったりしたは、先に連絡してね」
あのは気な冗談だとっていた。直子は、自分の体の異変に気づいていたのかもしれない。
応接で向かいった慎弁護士は、髪交じりの髪をえた、物静かな男性だった。
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私は500万円の送細、4500万円のマンション申込、偽造された婚届、彩佳からのメッセージ、病での録音を順番に並べた。
は1枚ずつ確認し、最に録音を止めた。
「ご主は、お姉様名義のを売却させ、その代まで取得しようとしているのですね」
「はい。姉はまだ術なのに、んだの相続までにしました」
声にした瞬、喉の奥が痛んだ。りで耐えていたものが、現実の言葉になって胸に落ちてきた。
「佐藤さん。お姉様のを、ご主や義母様が勝に売ることはできません。まずはしてください。座についても、名義であるあなたが残る300万円を保全した対応は正しいです」
「500万円は、取り戻せますか」
「すぐ全額とは言えません。ただ、あなたの承諾なく族の貯蓄を婚関係の相との居に使ったことは、財産分与や慰謝料の交渉でな事になります。産会社へも、資の帰属に争いがあると通しましょう」
は証拠を理し、私の目を見た。
「偽造された婚届の原本には、まだ触れずにおきましょう。ご主は、あなたが受理申をしたことをりません。その油断が、次の証拠につながるかもしれません」
は、私のスマートフォンに保した写真を事務所の端末へ移し、撮と順番が分かる形で保管してくれた。
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500万円の送記録と病の録音も複製され、証拠覧の番号が振られていく。
「今夜はご自宅へ戻られますか」
「はい。姉の着替えも取りにかないといけませんから」
「ご主がっている能性があります。の危険をじたら、そので対抗せず警察へ連絡してください。切な類と印鑑、通帳は自宅以へ移しましょう」
私はそこで初めて、自分が浩司と同じへ帰ることに恐怖をじていると気づいた。これまで庭を守るためにみ込んできた違が、もう見過ごしてはいけない危険へ形を変えていた。
私はうなずいた。
は席をち、鍵のかかった庫から古い茶封筒を持って戻ってきた。表には直子の字で、私の名がかれている。
「これは半、お姉様から預かったものです。自分に何かあった、由美さんへ渡してほしいと頼まれました」
胸の奥がざわついた。
「には、5のお義母様の治療に関する記録も入っています」
が封筒のをいた。
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