"その家、私のです" 第4話
美が見せたのは融資の申込の写しだった。担保予定物件として絵里の所がかれているが、所者の署名欄は空だった。融関へ正式提されたものではなく、相談段階の資料にすぎない。
つまり、それ枚で犯罪を証できるわけではない。だが、修司がを欲しがる理由は分かった。
「あのメッセージの『計画』は?」
「私が修司さんへ、所者の同なしではめられないと伝えた件です。奥さんがを譲ると聞かされていました」
美は自分のスマートフォンを見せた。修司は《絵里はむ気がない》《婚届をせば名義変更にも応じる》《母をませると言えば断れない》と送っていた。
絵里は画面を撮させてほしいと頼まなかった。美が会社の内部資料を勝に渡せば、彼女のが悪くなる。代わりに、自分の弁護士から正式に連絡してよいか尋ねた。
「構いません。私は恋扱いされていることも、今初めてりました」
美は苦笑した。曜のについて聞くと、取引先のショールームで使われる芳剤が同じりらしい。絵里が浮気だとっていた兆候はれたが、真実はそれより悪かった。
修司は別の女を選んだのではない。会社で作った穴を埋めるため、妻のを選んだのだ。
弁護士は翌、美と面談し、会社の代理を通して事実確認をめた。
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絵里には、申込が未提なら慌てて刑事問題にせず、登記識別報と印鑑証の管理を徹底し、産登記の通制度も確認するよう助言した。
絵里は実印を変更し、印鑑登録証を自分で保管した。法務局で登記事項を確認すると、抵当権や所権移転の異常はない。危険が迫っていたことと、すでに被害が成していることを混同しないようにした。
次の調で、絵里側はの譲渡には応じないと確にした。修司へは、改装費の原本と支払記録、会社の会計処理をすよう求めた。
修司の顔が変わった。「会社のことは婚に関係ない」
「を担保にする話をしたなら関係があります」
「誰から聞いた」
調委員が止めるまで、修司は美の名を何度もにした。その反応だけで、話をっていることはらかだった。
帰り際、修司は廊で絵里を待ち伏せした。「を売れば全部片づく。俺たちが暮らしたなんだから、度くらい助けてくれてもいいだろ」
絵里はち止まらなかった。
「私と婚したいが、『俺たち』を借のだけ使わないで」
帰宅、修司から件の着信が残った。絵里は話へず、弁護士へ転送した。最の留守番話には、「美にそそのかされたんだろ。あの女も責任を逃れたいだけだ」と入っていた。
翌には声の調子が変わり、《を売る必はない。
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名義だけに貸してほしかった》《半で解除できた》とメッセージが来た。担保に入れたは、返済できなければ失う。という言葉に、危険をさくする力はなかった。
絵里は融関の相談窓にも確認した。所者本の確認なしに正式な担保設定はまないと聞き、しした。同に、修司が婚と名義移転を急いだ理由も確になった。
修司は周到な犯罪者だったわけではない。計画の穴を考えず、絵里が最には折れると決めつけていた。、の問題を絵里が片づけてきたため、今回も自分に都のよい結末を用してくれるとった。その甘えが、浮気より絵里をたくした。
渡し期限まで残りかとなり、弁護士から修司と千鶴子へ正式な通が届いた。期限もみ続けるは、渡しを求める法続きを検討すると記されている。
千鶴子は絵里の勤務先へ話した。受付で私な連絡は取り次げないと言われると、昼休みに玄関まで来た。
「修司の会社が変なら、妻が助けるのが普通でしょう。あなたはを買えるほど貯があるんだから」
絵里は同僚の目がある所で言い争わず、くのベンチへ移った。を買ったのはではなく結婚で、今の預に余裕はないことを伝えた。
「でも、を売ればおになる。私たちはい賃貸へ移ってもいいのよ。
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