"裏口に回された仕立て屋" 第4話
帰り、美から《ママのお、できなくなるの?》と届いた。既にのが子どもへ流れている。佐子は返事を急がず、まず拓也へ子どもので祖母を原因にしないよう求めた。
佐子は話を録音していなかった。拓也の告だけで、すべてを証できるわけではない。もう度問い詰めれば、そんなでは言っていないと変える能性もあった。
相談窓の紹介で弁護士へき、確認、メッセージ、制作ノート、材料の領収を見せた。弁護士は、まず内容証で使用止と説を求め、額と責任範囲を交渉する方法を提案した。
の補助窓には、佐子本が署名していないことだけを伝えた。担当部署は申請を即座に正認定せず、理奈へ追加説を求め、審査を保留した。
崎は保護者説会をきたいと言ったが、佐子は子どもので犯探しをしないよう求めた。装の全確認と銭説は必でも、美が祖母と母の争いを背負うべきではない。
理奈と拓也は、弁護士事務所の会議へ来た。理奈は最初から腕を組み、「署名は夫が勝にしたことです」と言った。
「っていたの?」
「提に聞きました。でも、お義母さんが制作責任者なのは事実でしょう」
「責任者にしたなら、なぜ私の名を保護者へさなかったの」
理奈は答えず、企画、デザイン、顧客対応は自分がったと主張した。
広告
佐子も、理奈の仕事を否定しなかった。デザインの原案、採寸会の調、撮、サイト作成には労力と費用がかかっている。
問題は、その費用を差し引くに、佐子へ何を頼み、いくら払うかをしていなかったことだった。
拓也は「族で裁判なんてやめよう」と繰り返した。弁護士から、族だからこそ署名を勝に使ってよいわけではないと言われると、目を伏せた。
佐子はつの求を文で渡した。材料費の返還、賃の協議、収支細、制作表示の訂正、写真利用の再確認、本の署名を使った類の撤回である。
理奈は賃を拒んだ。「それを払ったらを始められません」
「始められない価格でに作らせたなら、まだ始められる状態ではなかったのよ」
交渉はそのでは終わらなかった。理奈は週考えると言い、拓也は母を睨んだまま席をった。
帰宅すると、美から音声メッセージが届いていた。《おばあちゃん、装ありがとう。次の発表会も作ってね》。佐子は胸が痛んだが、《次のことは同士で相談して決めるね》と返した。
孫の笑顔を守ることと、孫の名を使われて無償労働を続けることは違った。
その夜、佐子は代の同僚、君へ話した。事をすべて話すに、着をかで縫ったと言うと、「でやったの」
広告
と驚かれた。
君は、佐子が頼まれると断れない性格だったことをっていた。若い頃も、納期が遅れた班の仕事を黙って持ち帰り、司からは処理能力がいとしてさらに仕事を回された。
「理奈さんが悪いのは当然。でも、あんたも着が着になった、値段を決めるべきだったよ」
佐子は責められたようにじた。しかし君は続けた。「だからって、勝に署名していいことにはならない。次に同じことをさせないために、自分の断れなかった所も見た方がいい」
翌、佐子は制作ノートへ、頼まれたの返事もき加えた。《いいわよ》《何とかする》《美のためなら》。理奈が無理を押しつけた記録だけでなく、自分が条件を確認せず引き受けた経緯も残した。
弁護士との回目の面談で、佐子は理奈を罰したいのか、報酬を得たいのか、表示を直したいのかを尋ねられた。全部と答えたくなったが、優先順位を考えた。
第は自分名義の類を撤回すること。第は保護者へ制作と費用を正しく説すること。第は材料費と理な賃を受け取ること。ネットを永久に潰すことは目に入れなかった。
目を言葉にすると、りがしだけ扱えるきさになった。佐子は理奈のを決めたいのではない。自分の名とを、本のへ戻したかった。
週、理奈から収支表が届いた。保護者からの入は百万千円。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 413 -
完結第14話
「死産」と告げた院長と20年目の出生記録
20年前、出産した娘を「死産でした」と告げられた私・佐藤しず子。しかし私は、麻酔の中で確かに聞いた産声を一度も忘れられなかった。 真実を確かめるため、私は清英産婦人科医院の清掃員として20年間働き続け、誰にも気づかれず院内の秘密を探ってきた。そんなある夜、若い看護師から「まだ間に合います。あなたの娘さん生きています」と書かれた紙を渡される。 やがて地下の保管庫へ忍び込んだ私は、自分の出産記録の隣に「佐藤女児――転送」と記された手帳を発見する。 さらにそこには複数の新生児と金銭の記録まで残されていた。娘を奪ったのは誰なのか。そして病院は20年間、何を隠してきたのか。見下され続けた“掃除婦”は、集めた証拠を手に院長・安藤剛と対峙する――。真相|修羅場2.1万字5 407 -
完結第15話
二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました
義母から「家族のお祝いだから」と押し付けられたのは、二十人分の料理作りと高額な費用負担。 夫も義妹も、私を一人の家族ではなく、都合よく使える存在として扱っていた。 五年間、我慢し続けた嫁・美咲は、ある決断をする。 それは、義妹の息子の一歳祝いの前日に、すべてを捨てて家を出ることだった。 しかし、静かに準備を進める中で、美咲は夫と義母が隠していた驚くべき事実を知る。 そこには、単なる身勝手な家族関係では終わらない、彼女を縛り続けるための計画が隠されていた。 そして迎えた祝いの日。 親戚二十人が待つ食卓に残されたのは、豪華な料理ではなく、誰も予想しなかった「空っぽの祝い膳」だった。 奪われ続けた人生を取り戻すため、美咲が選んだ静かな反撃とは――。嫁姑|親子関係|修羅場2.2万字5 284 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第25話
底辺受付嬢を見下す役員たちの誤算
父の会社は、最も信頼していた人間の裏切りによって無惨に食い物にされた。巨額の負債を背負い、絶望の中で病に倒れた父。私はその冷酷な真相を暴くため、ハーバード大の博士号を隠し、ただの「受付嬢」として敵の中枢である星空グループに潜入した。 誰からも見下され、理不尽な侮辱に耐え忍ぶこと3年。息を潜めて集めた証拠が示したのは、あまりにも残酷な真実だった。父を破産に追い込み、私から全てを奪った黒幕の正体は、父が家族のように慕っていた古参役員だったのだ。 「黒幕は役員会の中にいる」――私を守るため、父が命懸けで残してくれた最期のメッセージを知った時、胸の奥の悲しみは絶対的な冷酷さを持つ復讐の炎へと変わった。私の素性を知る新社長のハルトや、父の旧友たちと共に、私は決して逃れられない完璧な包囲網を密かに築き上げていく。 そして迎えた運命の役員会。全てを掌握したと信じ、私の前で勝ち誇る黒幕。だが彼はまだ知らない。無力な受付嬢だと思っていた私が、彼を社会的死の淵へと突き落とす致命的な罠を仕掛けていたことを。仮面を脱ぎ捨てた時、強欲な悪魔を地獄の底へと引きずり下ろす、容赦なき反撃が幕を開ける――。因果応報|真相|修羅場3.8万字5 1809 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695 -
完結第15話
元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘
モラハラと不倫を重ねた夫・裕二と離婚し、独身としての平穏な生活を取り戻してちょうど一年が経ったある休日の朝。主人公・マナのスマートフォンに、元義母・文から突如「結婚式になぜ来ないの! 早く来ないと離婚させるわよ!」と怒鳴りつける狂気の電話が入る。 「私はもう独身ですが」と告げるも、来なければ自宅や職場に押しかけると脅され、指定された高級シティホテルの式場へ向かうマナ。黒留袖姿で激怒する文は、新郎となった息子の晴れ舞台を元嫁が邪魔しに来たとロビーで激しく罵倒し、白タキシード姿の元夫も腕力で追い出そうと詰め寄る。 だが、文のスマートフォンの発信履歴を確認させた瞬間、事態は暗転。人身事故で遅延していた本当の新婦「まみ」が泥だらけのパンプスで駆けつけた時、元夫が隠し続けていた致命的な大嘘が白日の下に晒される――。嫁姑|修羅場2.5万字5 358 -
完結第23話
義母が突然、結婚指輪をくれた
夫が亡くなった日、義母は「もう家族じゃない」と私と娘を雨の中に追い出した。それから二年、一度の連絡もなかった義母が娘の小学校入学を控えた夕暮れ、四十年間外さなかった結婚指輪を私の指に無理やり嵌めて頭を下げた。翌日、親族が集まる祝いの席で和解を受け入れようとした私の前で、義母は冷たい笑みを浮かべ、夫が生前に娘の氏の変更書類を用意していたのではないかと問い詰めてきた。私の手の中で箸が止まった。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場3.5万字5 127 -
完結第21話
母がナイフで砕いた自分の名前
母の七十歳の祝いで、私は家族に尽くし続けた母に自分の人生を取り戻してほしい一心から、ケーキのプレートに書かれた夫の姓を削り落とし、母の旧姓を書き直した。これで母は喜んでくれるはずだった。しかし母は青ざめ、「誰が戻りたいなんて言ったの」と私を睨みつけると、ナイフを掴んで自分の名前を何度も突き刺し粉々に叩き割った。家族全員から責め立てられた私は、母の部屋で底面を無残に削り取られた大量の人形を見つける。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係|修羅場3.1万字5 137