"3人の息子は、夫の隠し子だった" 第5話
総郎は、を私が無断で連れったと主張し、親権を求める向を示していた。さらに私が精神に定で、育児能力に問題があるという診断まで添付されていた。
診断を作成した医師の名を見て、私は息をのんだ。斎藤と付きいのある医療法の理事だった。3のに関する送先と同じ法である。
「診察を受けたことはありますか」
「ありません。顔をわせたのも、斎藤の会で度だけです」
「それなら、この診断はむしろ相の正を示す材料になります」
田弁護士は静だった。だが、私は総郎がここまでして娘を奪おうとする理由が分からなかった。にを示したことなど度もない。誕を忘れ、病気の夜も帰宅せず、息子たちがを泣かせても見て見ぬふりをしていた。
答えは、斎藤の古い定款と、義父が残した遺言の写しから見つかった。
義父の隆は、私が結婚した翌にくなっていた。は数のないで、静子や総郎のでは私にほとんど話しかけなかった。ただ度、を妊娠していた私が庭で休んでいると、温かいほうじ茶を置き、「このでは、自分の名を忘れてはいけない」と言ったことがある。
当はが分からなかった。けれど義父は、息子と妻が会社を私物化し始めていることに気づいていたのだろう。
広告
遺言には、株式を次世代へ移す条件だけでなく、子供本のを尊し、養育者が財産を自由に処分できない仕組みまで細かく定められていた。
田弁護士は、義父が利用していた信託へ照会をかけた。すると、義父が私宛てに封を残していたことが分かった。しかしその封は義父の、総郎が私の代理を名乗って受け取っていた。
「委任状の署名も、あなたのものに見せかけてあります」
私はコピーを見て息をのんだ。跡は似ていたが、最の払いが違う。結婚、静子から冠婚葬祭の礼状を何百枚も代させられたため、私の字をまねる材料はいくらでもあった。
義父の封に何がかれていたのかは、まだ分からない。だが総郎が隠したという事実そのものが、彼にとって都な内容だったことを示していた。
斎藤が経営する斎藤ホールディングスの議決権付き株式の部は、「総郎の法律の子のうち、創業の血縁が確認された最者」に信託されることになっていた。3の息子が由の子であることは問題ではない。総郎の血を引いている以、条件は満たすようにえた。
ところが、遺言にはもうつ条件があった。婚子については、創業の名誉を著しく損なう事がある、信託の対象から除する。
広告
そして現、正式な婚姻関係のでまれ、に疑義のない子供はだけだった。
「だから総郎はを元に置きたいんですね」
「ええ。娘としてしているからではありません。将来、株式を支配するための名義が必だからです」
胃の奥がたくなった。あの男にとって、息子たちは跡取りの候補で、は保険なのだ。子供のを、会社を継ぐための札としか見ていない。
さらに調査をめると、奇妙な事実が分かった。蓮、蒼太、陽斗のに関する記録には、それぞれ異なる病院名が記されていた。由の民票の移期とも致せず、総郎が保管していた親子鑑定にも、検査関の登録番号が欠けている。
「鑑定そのものが偽造という能性があります」
田弁護士の言葉に、私はを疑った。
「でも、総郎と由の子供ではないのですか」
「由さんの子供であることは、当の写真や入院記録からほぼ確かです。しかし父親まで総郎さんとは限りません。鑑定は、3を斎藤の継者にするために作られた能性があります」
私は子の背にもたれた。総郎は、由とのにまれた息子だと信じて育ててきた。だが、由はさらに別の秘密を抱えているのかもしれない。
そのの帰り、保育園から話が入った。
「藤原さん、ちゃんのお迎えですが、先ほどお父様の代理という女性が来られまして……」
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 418 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 609 -
完結第15話
二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました
義母から「家族のお祝いだから」と押し付けられたのは、二十人分の料理作りと高額な費用負担。 夫も義妹も、私を一人の家族ではなく、都合よく使える存在として扱っていた。 五年間、我慢し続けた嫁・美咲は、ある決断をする。 それは、義妹の息子の一歳祝いの前日に、すべてを捨てて家を出ることだった。 しかし、静かに準備を進める中で、美咲は夫と義母が隠していた驚くべき事実を知る。 そこには、単なる身勝手な家族関係では終わらない、彼女を縛り続けるための計画が隠されていた。 そして迎えた祝いの日。 親戚二十人が待つ食卓に残されたのは、豪華な料理ではなく、誰も予想しなかった「空っぽの祝い膳」だった。 奪われ続けた人生を取り戻すため、美咲が選んだ静かな反撃とは――。嫁姑|親子関係|修羅場2.2万字5 284 -
完結第16話
血染めの写真と三文字のSOS
夕方のコンビニの床に落ちていた一枚の写真。微笑む少女の横には、まだ乾ききっていない赤黒い生血がべっとりと付着していた。 裏返した瞬間、息が止まる。震える筆跡の住所と、指先の血で擦り付けられた『SOS』の三文字。 妻に捨てられ、八歳の息子と写真館を営む私には分かった。この血は付着して数分も経っていない――今すぐ行かなければ手遅れになる。 警察に通報し駆けつけた古い民家の階段下には、右足を骨折し倒れ伏す母親と、自らの手のひらを切り裂いた六歳の少女がいた。 「……だれ?」 母を庇い、血まみれの手で私を睨み据える少女の瞳が訴えていた、あまりに残酷な真相とは。親子関係|金銭問題2.4万字5 199 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2748 -
完結第19話
深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児
心臓の不整脈で消防士を辞め、故郷の民宿「緑海荘」へ戻った27歳の相馬蒼太。 ある深夜2時、隣家から突然途切れた赤ん坊の泣き声に異変を感じて駆けつけると、物置のような暗い部屋で、全身に青あざを負った4歳のひなが、痩せた妹メイを必死に抱いていた。 「泣いたらまた叩かれるんですか?」――その一言に、蒼太は2人を必ず守ると決意する。民宿へ連れ帰り、常連客の旅行ライター・りんや両親と共に食事と温かな寝床を与え、児童相談所へ連絡。 しかし保護の朝、ひなは「お兄ちゃんと離れたくない」と蒼太の服を握りしめる。初めて見る海の前で、ようやく声を上げて泣いた少女を前に、蒼太とりんは“助ける”だけでは終われない未来を選び始める――。親子関係|修羅場2.8万字5 251 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695 -
完結第11話
「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転
結婚前は優しく誠実だった夫・誠。 しかし結婚後、彼の本性は少しずつ姿を現していった。 子どもを望めない妻を「役立たず」と罵り、家では暴言を浴びせながら、自分は若い女性との時間を楽しむ。 かな子は「自分が悪いのだ」と耐え続け、愛した人との生活を守ろうとしていた。 だが、ある夜、夫の裏切りを示す決定的な証拠を見つける。 そして離婚を決意したかな子のもとに、長年知らされていなかった父からの連絡が届く。 そこで明かされたのは、彼女自身も知らなかった巨大な財産と、人生をやり直すための力だった。 すべてを失ったと思っていた妻が、実は何も持たない弱者ではなかったと知った時――。 誠の傲慢な要求と、隠されていた真実が次々と崩れ始める。 愛だと信じた結婚の終わりから、かな子の本当の人生が始まる。夫婦|第二の人生|不倫1.6万字5 397