"3人の息子は、夫の隠し子だった" 第6話
「娘はどこですか」
自分の声が別のように響いた。
話の向こうで、保育士が息を詰まらせた。
「申し訳ありません。斎藤様のお母様が、ご族であることを示す類をお持ちでしたので……ちゃんは、もう園をています」
私は話を握ったまま、ちがることさえできなかった。
を連れったのは義母の静子だった。保育園の防犯映像には、品なのコートを着た静子が、園に類を見せている姿が残っていた。は嫌がっていたが、静子は「母親が事故に遭った」と嘘をつき、無理にへ乗せていた。
警察は族の問題として慎だったが、田弁護士が親権争いと脅迫状の記録を提示すると、対応が変わった。斎藤の敷へ警察官が向かい、私は別のでを追った。
、何度も総郎へ話をかけた。12回目でようやくつながった。
「を返して」
「母が勝にやったことだ。俺はらない」
「今、はどこなの」
「資料を返せば教える」
その言葉で、総郎がすべて承していると分かった。私は通話を録音しながら、声を震わせないように努めた。
「娘を取引材料にするの」
「げさだな。は俺の娘でもある。父親のに戻しただけだ」
「父親なら、あの子が何を怖がっているか言える? 好きなべ物は? 夜、眠れないときに何を抱くかっている?」
広告
総郎は答えなかった。代わりに、3の鑑定と記録媒体を持って敷へ来いと命じた。
「警察には連絡するな。余計なことをすれば、おが育児放棄した証拠を世にす」
「もう警察は向かっているわ」
総郎はく罵り、話を切った。
敷へ着くと、玄関にパトカーが止まっていた。静子は応接で警察官に囲まれながらも、「孫を保護しただけ」と繰り返していた。だが、の姿がない。
「由先が落ち着かせると言って、別宅へ連れていっただけよ」
「別宅はどこですか」
「嫁のくせに私を尋問する気?」
静子は最まで私を見していた。私は机に両をつき、彼女の目を見た。
「に何かあれば、私はあなたを許しません。斎藤の名も財産も、全部失わせてでも娘を取り戻します」
そのとき、玄関の方で陽斗の泣き声がした。3の息子たちは騒ぎに怯え、使用のろに隠れていた。蓮が私を見ると、「が悪いんだ」と叫んだ。
「がいなくなったせいで、パパもおばあちゃんもってる。ママがちゃんと連れて帰ればよかったんだ」
私は初めて、蓮を鳴りつけたい衝に駆られた。けれど唇をかみ、息をえた。この子たちも、の欲望ので歪められた被害者なのだ。ただし、だからといってを傷つけた事実が消えるわけではない。
「蓮。
広告
は誰の具でもない。あなたも同じよ。が勝に決めた役割のためにきなくていい」
蓮はが分からないという顔をした。その背で、蒼太がさくつぶやいた。
「由先、駅のくのおにくって言ってた」
総郎が振り返り、蒼太をにらんだ。だが遅かった。警察はすぐに由名義の産を調べ、駅側にあるマンションを特定した。
部のに着いたとき、からの泣き声が聞こえた。私は呼吸が止まりそうになった。警察官が呼びかけても返事はなく、やがて管理会社のち会いで扉がけられた。
は寝の隅に座り、両腕でを守っていた。由は窓際でスマートフォンを握り、青ざめていた。
には割れたコップと、途までかれたが落ちていた。そこには子供らしい震えた文字で、「ママといたくありません。パパのに帰ります」とかれている。由は、にその文章をき写させようとしていたのだ。
警察官がを拾いげると、由は「本がそう言った」と主張した。しかしは私にしがみついたまま、激しく首を横に振った。机のには、総郎から届いたメッセージが表示されたスマートフォンも残っていた。
――泣いてもかせろ。綾音が無理に連れしたことにすれば、親権はこちらへ戻せる。
由は画面を消そうとしたが、警察官が制止した。総郎は話では母が勝にやったと言っていた。その方で、裏では由に指示をしていたのである。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 418 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 609 -
完結第15話
二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました
義母から「家族のお祝いだから」と押し付けられたのは、二十人分の料理作りと高額な費用負担。 夫も義妹も、私を一人の家族ではなく、都合よく使える存在として扱っていた。 五年間、我慢し続けた嫁・美咲は、ある決断をする。 それは、義妹の息子の一歳祝いの前日に、すべてを捨てて家を出ることだった。 しかし、静かに準備を進める中で、美咲は夫と義母が隠していた驚くべき事実を知る。 そこには、単なる身勝手な家族関係では終わらない、彼女を縛り続けるための計画が隠されていた。 そして迎えた祝いの日。 親戚二十人が待つ食卓に残されたのは、豪華な料理ではなく、誰も予想しなかった「空っぽの祝い膳」だった。 奪われ続けた人生を取り戻すため、美咲が選んだ静かな反撃とは――。嫁姑|親子関係|修羅場2.2万字5 284 -
完結第16話
血染めの写真と三文字のSOS
夕方のコンビニの床に落ちていた一枚の写真。微笑む少女の横には、まだ乾ききっていない赤黒い生血がべっとりと付着していた。 裏返した瞬間、息が止まる。震える筆跡の住所と、指先の血で擦り付けられた『SOS』の三文字。 妻に捨てられ、八歳の息子と写真館を営む私には分かった。この血は付着して数分も経っていない――今すぐ行かなければ手遅れになる。 警察に通報し駆けつけた古い民家の階段下には、右足を骨折し倒れ伏す母親と、自らの手のひらを切り裂いた六歳の少女がいた。 「……だれ?」 母を庇い、血まみれの手で私を睨み据える少女の瞳が訴えていた、あまりに残酷な真相とは。親子関係|金銭問題2.4万字5 199 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2748 -
完結第19話
深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児
心臓の不整脈で消防士を辞め、故郷の民宿「緑海荘」へ戻った27歳の相馬蒼太。 ある深夜2時、隣家から突然途切れた赤ん坊の泣き声に異変を感じて駆けつけると、物置のような暗い部屋で、全身に青あざを負った4歳のひなが、痩せた妹メイを必死に抱いていた。 「泣いたらまた叩かれるんですか?」――その一言に、蒼太は2人を必ず守ると決意する。民宿へ連れ帰り、常連客の旅行ライター・りんや両親と共に食事と温かな寝床を与え、児童相談所へ連絡。 しかし保護の朝、ひなは「お兄ちゃんと離れたくない」と蒼太の服を握りしめる。初めて見る海の前で、ようやく声を上げて泣いた少女を前に、蒼太とりんは“助ける”だけでは終われない未来を選び始める――。親子関係|修羅場2.8万字5 251 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695 -
完結第11話
「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転
結婚前は優しく誠実だった夫・誠。 しかし結婚後、彼の本性は少しずつ姿を現していった。 子どもを望めない妻を「役立たず」と罵り、家では暴言を浴びせながら、自分は若い女性との時間を楽しむ。 かな子は「自分が悪いのだ」と耐え続け、愛した人との生活を守ろうとしていた。 だが、ある夜、夫の裏切りを示す決定的な証拠を見つける。 そして離婚を決意したかな子のもとに、長年知らされていなかった父からの連絡が届く。 そこで明かされたのは、彼女自身も知らなかった巨大な財産と、人生をやり直すための力だった。 すべてを失ったと思っていた妻が、実は何も持たない弱者ではなかったと知った時――。 誠の傲慢な要求と、隠されていた真実が次々と崩れ始める。 愛だと信じた結婚の終わりから、かな子の本当の人生が始まる。夫婦|第二の人生|不倫1.6万字5 397