"金曜日の一冊" 第4話
としした顔をした。
「やっぱりってました?」
「どうして私が探してるってってるんですか?」
千紘の声がった以にくなった。
直も気づいたらしい。
「気悪かったですか?」
「し」
千紘は正直に答えた。
直はすぐ弁解せず、「すみません」とをげた。
事は拍子抜けするほど単純だった。
以でった古本で、千紘は直と別の棚を見ている、主から「何か探している本ありますか」と聞かれた。千紘はそので写真集のタイトルをにし、「父が好きだったんですけど、ずっと見つからなくて」と話していた。
直は隣の棚にいた。
「聞くつもりじゃなかったんですけど、聞こえました」
その、修理の仕事で札幌へった際、取引先のくにある古へ寄った。そこで偶然同じ写真集を見つけたという。
「値段、結構したんじゃないですか?」
「普通の古本よりは」
「何で買ったんです?」
直はし困ったように笑った。
「見つけた、藤原さんの顔が浮かんだからです」
千紘は何も言えなくなった。
直は続けた。
「でも買ったのは僕が勝にしたことです。受け取るかどうかまで僕が決めるのは違うとったので、欲しくなければそのまま戻してくださいってこうとってたんですが」
「いてないですよね」
「入れ忘れました」
千紘はわず笑いそうになったが、まだ胸の奥には引っかかりが残っていた。
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「私が断ったらどうするつもりだったんですか?」
「僕が持ちます。写真集として好きなので」
「本当に?」
「半分くらい本当です」
以の牛乳と同じ答えだった。
そこで千紘は、直の首へ線を向けた。
「それ、どうしたんですか?」
直は仕事に首を痛め、に細かい作業が来なくなったという。きな怪ではないが、修理の仕事を休み、実へ数週戻っていたためマンションにもいなかった。
「何で何も言わなかったんですか?」
千紘が聞くと、直は議そうだった。
「言う必あります?」
その言葉に、今度は千紘が黙った。
確かに恋でも族でもない。
毎週本をやり取りするだけの隣。
それでも3週、千紘は直がいないことを気にしていた。
「箱、ずっと空だったから」
千紘が言うと、直はし笑った。
「見てたんですね」
「毎週の習慣だったので」
「それだけですか?」
千紘は答えられなかった。
直もそれ以聞かなかった。
「写真集、どうします?」
千紘は表を撫でた。
「借ります」
「借りる?」
「今すぐもらうのは嫌なので」
「分かりました」
直は笑った。
「じゃあ返したくなったに返してください」
その夜、千紘は写真集を最初から最までゆっくり見た。
最のページへ、父の字はない。
いもかれていない。
それでも、い失ったとっていたものが、全く別ののから戻ってきたことが議だった。
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そして翌朝。
千紘は写真集の最へ枚の付箋を挟んだ。
《しばらく借ります。たぶん期になります。》
直から返ってきた返事はかった。
《延滞料はプリンで。》
首が治った直は仕事へ戻り、曜の箱も再した。
以とし違ったのは、が付箋の返事を待たずに普通に話すようになったことだった。直が「今週の本、かなり暗いので疲れてるはやめた方がいいですよ」と先に注したり、千紘が「それならるいのにしてください」と注文したりする。
になる頃には、で夕をべる回数も増えた。
きっかけは特別ではない。
千紘がカレーを作り過ぎた。
直が計の客から梨を量にもらった。
商のしいラーメンが気になる。
そういう理由を繰り返すうち、に度だった事が週に度ほどになった。
直の部へ初めて入った、千紘はし驚いた。
計職だから几帳面なだとっていたが、活スペースはと散らかっていた。具はきれいに並んでいるのに、洗濯物は子へ積まれ、読み終えた本がへ何冊も置かれている。
「仕事と活で精度が違いすぎません?」
千紘が言うと、直は「仕事で全部使い切ってるんです」と真顔で答えた。
千紘は勝に片づけなかった。
以なら気になって本を棚へ戻したかもしれないが、相の部なのだから本が困っていないなら放っておけばいいとった。
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