"愛人とタイへ行った夫の10日後" 第10話
「産会社からも連絡来たわよ。あなたの状況じゃ話をめられないって」
「待て」
「会社も危ない、おもない、奥さんにも捨てられたと、どうやってしい活するのよ」
「美穂!」
「私、あなたが会社で偉くて、おがあるから付きってたの。もう連絡しないで」
話は方に切れた。
浩司はスマートフォンを持ったまま、しばらくかなかった。
そして突然、膝が崩れた。
ドサッ。
そのに両膝をついた。
「由美……」
声がかすれていた。
「俺にはもう、おしかいない」
私は目のの男を見た。
28。
このの嫌を損ねないように暮らしてきた。
鳴られないように。
嫌われないように。
族が壊れないように。
けれど、今へ座り込んでいる男は、私が恐れていたほどきなではなかった。
「会社も美穂もなくなった。お願いだ、俺を見捨てないでくれ」
浩司は泣きした。
「おがいないと、俺はどうやってきていけばいいんだ」
私は胸のを探した。
かわいそう。
助けなければ。
そんながどこかに残っているのではないかとった。
何もなかった。
「浩司さん」
私は静かに言った。
「の朝までに荷物をまとめて、このをてください」
浩司が顔をげた。
「由美……」
「もう私は、あなたの世話をしません」
その言葉を告げた。
初めて本当に、28の結婚が終わったのだとった。
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翌朝。
今度は義妹の美から話がかかってきた。
浩司より4歳の妹だった。
義母の介護が始まってから3、「仕事が忙しい」「腰が悪い」と言い、ほとんど伝ったことがない。
話にた瞬、鳴り声がんできた。
「ちょっと由美さん! お兄ちゃんに何てことしてくれたの!」
私はスマートフォンをしからした。
「お母さんを放りして実へ逃げた挙げ句、お兄ちゃんまでから追いすってどういうつもり?」
浩司は最の頼みとして妹へ話し、自分に都のいい話だけしたらしい。
「今すぐに来なさい。親戚も呼んだから。佐藤を舐めるんじゃないわよ」
「分かりました」
私は話を切った。
林弁護士と健も同した。
へ着くと、リビングには美と親戚の男性が座っていた。
浩司はソファの隅でさくなっていた。
「来たわね」
美は私を見るなりちがった。
「お兄ちゃんから全部聞いたわよ。通帳を勝に止めて、財産を1占めしようとしてるんでしょう?」
「それだけですか?」
「は?」
「浩司さんから聞いたのは、それだけですか?」
美は眉をひそめた。
「それに、お母さんの介護が嫌だから施設へ放り込んだって」
私はわずさく笑った。
3、度も義母のおむつを替えなかったが、私を「介護から逃げた嫁」と責めている。
「由美。俺は族として穏便に済ませてやろうとってる」
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浩司がし気になってをいた。
方ができたことでしたのだろう。
「慰謝料とか遺産とか、全部取りげろ。そうすればまたこので――」
「浩司さん」
林弁護士が遮った。
「事実を理しましょう」
テーブルへ3つのファイルを並べた。
「まず、浩司さんは会社の経費を私に流用していたことが判し、厳しい処分を受けています」
美の顔が変わった。
「え?」
「会社から返還も求められています」
親戚の男性が浩司を見る。
浩司は目を逸らした。
「次に、由美さんのお父様が残した約1500万円」
林弁護士は資料をいた。
「かなりの部分が、由美さんのらないところでかされていました。そのには田美穂さんへの送や、マンション関係の支もあります」
「お兄ちゃん……」
美の声が震えた。
林弁護士はさらに、ピンクの便箋のコピーを置いた。
そこには、
〈邪魔なおばあちゃん〉
〈奥さんにたっぷり働かせておこう〉
とかれている。
美はしばらく黙った。
「お母様が施設へ移ることになった直接のきっかけは、由美さんがをた、浩司さんが旅で連絡が取れなかったことです」
林弁護士の説を聞くうち、美のりの方向が変わっていった。
「お兄ちゃん」
い声だった。
「私にそんな話、言もしなかったじゃない」
「美、違うんだ」
「何が違うのよ!」
美はちがった。
「会社の問題も、おの問題も、のことも全部隠して、私に由美さんが悪いみたいに言ったじゃない!」
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