"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第6話
そのをどけろ
「そのからをどけてください」
私の声に、健造の革靴が止まった。
庭にいた3が斉にこちらを見る。私は砂利を踏んで佐藤さんのまでみ、健造と向かいった。17は見げることしかできなかった男と、今はほとんど同じ目のさだった。
「誰だ、おは」
「先に、この方をたせます」
私は質問に答えず、濡れた面へ片膝をついた。佐藤さんの細い腕を支えると、体は驚くほど軽く、え切っていた。自分のコートを肩に掛け、玄関脇の子までゆっくり歩かせる。
佐藤さんのには浅い切り傷があり、爪のにが詰まっていた。玄関までって実印を取りにけと命じられ、転んだのだという。私はハンカチで血を押さえながら、りで力の入る指を識して緩めた。ここで健造を殴れば、証拠を集めてきた3週が無駄になる。
「お怪はありませんか」
「私は丈夫です。でも、あなたは……」
佐藤さんは私の顔を見つめたものの、気づかなかった。無理もない。彼の記憶にある私は、頬を腫らした15歳のだ。今ここで名乗れば、健造は警戒して類を隠すかもしれない。
「このたちは何をするか分かりません。今のうちに帰ってください」
自分が座させられているでさえ、佐藤さんは私のを案じていた。あの、10万円を押し返そうとした私へ「慮はあとでいい」
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と言った声が、17のを越えて胸になった。
「関係のないが、勝に入ってくるな」
健造が私の肩をつかもうとしたため、私は半歩がってかわした。若い男もにたが、健造は私のスーツと腕計を見てで制した。を持っている相かもしれないと考えたのだろう。態度から骨な乱暴さが消え、代わりに探るような笑みが浮かんだ。
「この老のりいか? だったら話はい。息子が作った2000万円の借を、保証の親父から回収しているだけだ」
「請求額が2000万円であることは確認しています」
私は鞄から振の切を入れたケースを取りした。数字を見せるようにしだけくと、健造の目が「2000万円」の印字に吸い寄せられた。
これは健造へ無条件に渡すではない。鈴が正当な債務の弁済や供託に使えるよう準備したものだった。それでも2000万円という数字を目にすれば、に執着する健造は必ず契約をす。私はその性格を17からっていた。
「法に支払う義務のある額なら、今に処理できます」
「ほ、本当に払えるのか」
「ただし、元の契約、返済細、保証契約、それから今お持ちの産譲渡類を確認させてください。2000万円をかす以、当然でしょう」
健造はすぐには答えなかった。私を疑っているのではない。
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切の数字と、元にある類を秤にかけている顔だった。
佐藤さんが背から私の袖を引いた。
「やめてください。見ずらずの方に、そんな迷惑はかけられません」
17、自分の全財産にい10万円を差ししたが、今ものを受け取ることを恐れている。その変わらない優しさが胸に刺さった。
私は振り返らず、袖に触れたをそっと握った。
「配しないでください。これは私にとって、無関係な話ではありません」
「何を格好つけてやがる」
健造はを鳴らしたが、欲には勝てなかった。若い男へ顎をしゃくると、類鞄から4つのファイルを取りさせた。
「そこまで言うなら見せてやる。ただし、確認したらすぐ払え。逃げようとしたら、この町からられなくしてやる」
分い契約の束が、私の胸へ乱暴に投げつけられた。
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