"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第11話
17件の秘密台帳
「ふざけるな。これはが仕組んだ復讐だ!」
健造は突然、私のから類を奪おうとした。私がファイルを引くと、彼の指が表をつかみ、濡れたがきな音をてた。
若い部もいた。玄関脇に置かれていた佐藤さんの印鑑ケースへを伸ばしたため、捜査員がその腕を止める。部は抵抗せず、健造を見ながら「社に言われただけです」と繰り返した。
「お、岩! 余計なことを言うな!」
若い男は岩と名乗った。鈴のスタッフが氏名と到着刻を記録すると、彼は急に数がくなった。今朝8、健造から「印鑑を取りにく」と命じられたこと、抵抗されたら男で2で押さえるよう言われたことを、途切れ途切れに話し始めた。
健造は「余計なことを言うな」と叫んだが、岩はもう目をわせなかった。力で支配してきた関係は、が事実を話し始めただけで、目に見えるほど崩れていった。
田刑事が健造のからファイルをし、透な証拠袋へ入れた。
「佐藤さんへ実印を持ってこさせ、押印を迫ったことは録音されています。肩を靴で押した為についても、ご本と目撃者から確認します」
「押していない。勝に転んだだけだ」
「それも含めて調べます」
健造が逃げるようにへ向かったが、2の捜査員がを塞いだ。
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その、田刑事の無線に事務所側から報告が入った。
保管庫から見つかった台帳には17件の貸付けがあり、契約に記載された利とは別に、実際の回収額が管理されていた。産を取得した6件については、社内用の査定額と顧客へ示した査定額がきく異なっている。さらに、回収の部が会社座を経由せず、健造個の座へ流れていたという。
佐藤さんの欄には、「元500」「入420」の横に、赤字で「1000で回収」とあった。別の欄には社内査定2800万円、転売予定3500万円と記されている。健造は貸したを返してもらうのではなく、初めから佐藤さんのを差額として奪うつもりだったのだ。
数字が読みげられるたび、健造の肩が落ちていった。それでも彼は私を指さし、声を張りげた。
「こいつは俺の甥だ。昔から俺をんでいた。録音も類も、全部こいつが作ったんだ!」
「私の母が残した類を、あなたの会社の保管庫へ入れることはできません」
「黙れ!」
健造は私へびかかろうとしたが、田刑事たちに両腕を押さえられた。に滑った革靴が空を切り、そのまま膝をつく。17、私を見ろしていた男が、今は同じ庭のから私を見げていた。
「黒川健造。佐藤さんに対する暴と、押印を迫った為について、まず署で事を聴きます。ほかの貸付けも、押収資料と関係者の供述に基づいて捜査します」
錠がかけられると、健造は初めて佐藤さんへ顔を向けた。
「おい、あんたからも違うと言ってくれ。を取られたくないなら、余計なことは話すな」
最まで謝罪ではなく脅迫だった。佐藤さんは怯えてを閉ざしかけたが、私のに残る空の封筒を見ると、ゆっくり首を横に振った。
「もう、あなたの言うとおりにはしません」
健造は捜査両へ連れていかれ、岩も別ので事を聴かれることになった。がりったあと、佐藤さんはだらけの庭を見つめた。
「君。あの男が連れていかれても、になればは取られてしまうのかい」
私はすぐに答えず、鈴を見た。
まだ、最の1枚を止めなければならなかった。
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