"息子の婚約者の母は、20年前の女だった" 第10話
「これは、おが俺からを持ちした直の写真だ。そのも俺ので買った」
恵子は黙った。
元夫は肩を落とした。
「俺は全てを失った。もも族も」
声が震えていた。
「でも、俺が番悪い。恵子に騙されたとしても、ゆみと健を捨てたのは俺自だ」
そして初めて私を見た。
「ゆみ。本当にすまなかった」
私は何も答えなかった。
謝罪を20待っていたわけではない。
りをぶつけたいともわなかった。
ただ、い昔の来事を見ているような覚だった。
元夫は健へ線を移した。
「健。派になったな」
健はしばらく父親を見つめた。
その目にりはなかった。
「僕にとって、父親はもういません」
元夫の顔が歪んだ。
「そうだな」
「僕を育ててくれたのは母です」
「分かってる」
元夫はくをげた。
「謝る資格もない」
それ以、健は何も言わなかった。
元夫も求めなかった。
弁護士がをいた。
「20のことについては、今から法に争うことが難しいものもあります。しかし今回の件は別です」
恵子の顔が張った。
「健さんの印鑑の無断使用、融続き、誠さんの会社名義の類利用。現形の問題です」
恵子は子へ座ったまま、周囲を見回していた。
それでもまだ、最の言い逃れを探しているようだった。
突然ちがる。
「実印は盗んでないわ!」
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全員が彼女を見た。
「健さんが落としていたのを拾っただけよ。切に保管していただけ!」
誰も答えない。
恵子はさらに続けた。
「会社の類だって、誠が好きに使っていいって言ったことがあるのよ!」
誠はため息をついた。
反論する気も失ったような顔だった。
その、苗がちがった。
「お母さん、もうやめて」
にはスマートフォンが握られていた。
「私、お母さんの話を録音しました」
恵子の顔が固まった。
苗は震える指で画面を操作した。
そして再ボタンを押した。
個に、恵子自の声が流れた。
『あの医者の印鑑はに入れたわ。簡単だった』
恵子のがいた。
『あの親子、を疑わないから』
さらに続く。
『誠の会社の類も使える。5000万円がけば、あとはどうにでもなる』
苗は涙を流しながら、それでも止めなかった。
『あの子たちには借を払わせればいい。私はだけ確保して、頃いを見て誠と婚すればいいのよ』
そして最に。
『苗? あの子は医者の嫁になればいいじゃない。私の老には関係ないわ』
音声が止まった。
誰も話さなかった。
恵子の顔は真っだった。
「違う……」
かすれた声。
「これは……偽物よ。最はAIとかで声だって作れるって」
弁護士は落ち着いて答えた。
「必であれば、音声について専へ確認を依頼します」
恵子は完全に黙った。
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私は子からちがった。
そして彼女のまで歩いた。
「恵子さん」
ゆっくり名を呼ぶ。
「あなたは20、私から全部奪ったとっていたでしょう」
恵子が顔をげた。
「夫も、も、おも。あなたが勝って、私が負けたと」
私は健と苗の方を見た。
2はを握っている。
「でも、あなたは何も奪えていなかった」
私はもう度恵子へ向き直った。
「私に残った番切なものは、健だったから」
恵子の唇が震えた。
「私はこの子と20、きてきた。あなたが持っていたおより、より、ずっと切なものを作ってきた」
そして苗を見る。
「今はしく、娘になってくれるもいる」
苗の目からまた涙が落ちた。
「あなたは自分の欲のために、夫も娘も利用した。だから今、誰もあなたを信じられなくなったんです」
恵子の目から初めて涙がこぼれた。
けれど私は、勝ったとはわなかった。
ただ、20胸の奥に残っていたいものが、しずつ消えていくのをじていた。
「くぞ」
誠が恵子へ言った。
「必なことは、これから正式に説する」
恵子は子に沈み込んだままかなかった。
「嫌よ……」
かすかな声だった。
「私が悪者になったら、苗まで傷つくのよ」
そして娘を見た。
「苗。あなたからもお父さんに言って。お母さんを守ってって」
苗はしばらく黙っていた。
やがてゆっくりちがった。
母親のまで歩いていく。
恵子はすがるようにを伸ばした。
苗は歩がった。
「お母さん」
声は震えていた。
「私はずっと、お母さんが怖かった」
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