"夫が書いた私の退職届" 第6話
と話していたのだ。
部は任候補との引き継ぎを考え始めていた。私は事を説し、退職のはないと正式に伝えた。
「庭の事があるなら、主任をれた方が楽ではないですか」
善に見える提案だったが、私はすぐ受けなかった。照子の通院へ同するが必になれば休暇を使う。しかし、まだ起きていない介護を理由に職責をりれば、元へ戻るのは難しい。
私は事へ相談し、族介護休暇や勤務の条件を確認した。利用するかどうかは、照子の状態と本の希望が決まってから考える。制度をることと、介護者になることは別だった。
方、浩は返済のため残業を増やした。帰宅が遅くなり、事を私へ戻そうとしたが、私は以のように黙って引き受けなかった。
事は各自で用するを週にし、洗濯も分けた。浩は「夫婦なのにたい」と言ったが、私の退職を勝に決めたと、何もなかったように暮らすことはできない。
照子は回復期病院へ移り、毎リハビリをした。最初は若い理学療法士へ文句を言い、歩器を嫌がった。だが、自宅へ戻るには自分で台所とトイレを移する必があると分かると、訓練を休まなくなった。
私は週に度だけ見いへった。洗濯物は病院のサービスを利用し、必品はネット注文か浩と奈津子が用した。
広告
「嫁なのに週度」と照子は皮肉を言った。
「週度なら続けられます。毎来て仕事を辞めるより、その方がいいです」
照子は満そうだったが、次の週には必な物をメモへまとめていた。私たちは好だけでなく、続けられる回数を基準に関係を作り始めた。
会社で退職の噂を訂正したも、部のは私がく働けないとい、な案件を別の主任へ回していた。悪ではなく、急に休むへ負担をかけない配慮のつもりだった。
私は部と面談し、現の通院予定と利用できる休暇を共した。介護の能性を隠さず、同に退職も格も希望していないと確にした。
品卸の繁忙期には急な欠勤が響する。私は自分だけが抱えていた取引先の注事項を共し、誰でも引き継げる順を作った。仕事を守るとは、私が休まないことではなく、休んでも業務が止まらない形を作ることだった。
若い社員の麻は、私が介護のため辞めると聞き、自分も将来は族ができれば管理職を諦めるものだとったと話した。
「まだ何も決まっていない段階で、女性側が辞める話になるんですね」
その言葉は、私たちのだけの問題ではないと気づかせた。浩は収入がいから自分が働くと言ったが、私が積みねたはの差だけで消せるものではない。
広告
私は順作成を麻とめ、彼女にも部の取引先を任せた。自分の位を守るため仕事を囲い込むのではなく、経験を渡しながら残る。介護を断ったを、誰かの成を止めるために使わないようにした。
数か、部は私へしい受注システム導入の担当を依頼した。庭が落ち着いたからではない。庭に問題があっても、働き方を調して成果をしたことが評価されたのだった。
しい受注システムの導入では、私も失敗した。使ったの台帳に慣れた社員へ説を急ぎ、初週には件の入力漏れが起きた。部からは、庭の問題で集できていないのではないかと聞かれた。
私は庭だけを原因にせず、研修がりなかったことと、自分が操作を理解しているつもりで説を省いたことを認めた。麻と緒に練習用の注文データを作り、は旧台帳と並して確認した。
か、入力漏れはなくなり、話確認のも減った。私は主任として残ることを、休まず完璧に働くことで証したのではない。失敗を記録し、ほかのと修正できることで示した。
浩はその話を聞き、「君は会社ではを頼れるのに、では僕を頼らない」と言った。私は、頼るためには相が引き受ける内容を理解し、断る権利も必だと答えた。
「あなたが言う『頼って』は、最には私が処理する提だった。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 449 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 612 -
完結第16話
十字の紙片と売られた生家
「母さん、老人ホームに入れ。この家も売る」息子夫婦はカナダ移住を前に、相場の半値以下の査定書と山奥の隔離施設のパンフレットを突きつけてきた。共働きで多忙な彼らに代わり、十年間孫娘を育て上げ、遺産から数百万円を用立ててきた私への仕打ちがこれだった。絶望に沈む私の手に、高校生の孫娘が震えながら押し込んだのは、固く折られた「十文字のチラシの紙片」。「明日の朝までに、実印と通帳は絶対に渡さないで」。深夜二時、一人で開いたその紙には、全てを覆す戦慄の計画が記されていた。私は仏壇の隠し金庫に手を伸ばし――。祖父母と孫|介護2.4万字5 426 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2860 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695 -
完結第15話
元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘
モラハラと不倫を重ねた夫・裕二と離婚し、独身としての平穏な生活を取り戻してちょうど一年が経ったある休日の朝。主人公・マナのスマートフォンに、元義母・文から突如「結婚式になぜ来ないの! 早く来ないと離婚させるわよ!」と怒鳴りつける狂気の電話が入る。 「私はもう独身ですが」と告げるも、来なければ自宅や職場に押しかけると脅され、指定された高級シティホテルの式場へ向かうマナ。黒留袖姿で激怒する文は、新郎となった息子の晴れ舞台を元嫁が邪魔しに来たとロビーで激しく罵倒し、白タキシード姿の元夫も腕力で追い出そうと詰め寄る。 だが、文のスマートフォンの発信履歴を確認させた瞬間、事態は暗転。人身事故で遅延していた本当の新婦「まみ」が泥だらけのパンプスで駆けつけた時、元夫が隠し続けていた致命的な大嘘が白日の下に晒される――。嫁姑|修羅場2.5万字5 358 -
完結第11話
「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転
結婚前は優しく誠実だった夫・誠。 しかし結婚後、彼の本性は少しずつ姿を現していった。 子どもを望めない妻を「役立たず」と罵り、家では暴言を浴びせながら、自分は若い女性との時間を楽しむ。 かな子は「自分が悪いのだ」と耐え続け、愛した人との生活を守ろうとしていた。 だが、ある夜、夫の裏切りを示す決定的な証拠を見つける。 そして離婚を決意したかな子のもとに、長年知らされていなかった父からの連絡が届く。 そこで明かされたのは、彼女自身も知らなかった巨大な財産と、人生をやり直すための力だった。 すべてを失ったと思っていた妻が、実は何も持たない弱者ではなかったと知った時――。 誠の傲慢な要求と、隠されていた真実が次々と崩れ始める。 愛だと信じた結婚の終わりから、かな子の本当の人生が始まる。夫婦|第二の人生|不倫1.6万字5 397