"月8万円の町工場社長" 第8話
父が残した黒い学ノート。
3冊。
俺は父がんでから4、度もまともにけたことがなかった。
読めば、自分が父に届いていないことをいらされる気がしたからだ。
しかし今は。
そんな見栄を守っているではなかった。
俺は事務所へり、引きしから3冊のノートを机へ並べた。
最初の冊をくと、父の癖のい文字が目に入った。
付。
材料。
失敗した加条件。
次回試す方法。
ページをめくるたび、父が何も失敗を捨てずに残していたことが分かった。
3冊目の真ん。
俺のが止まった。
肉の円筒が描きされていた。
材料はチタン。
付は22。
精の試作品だった。
俺が声をげると、田辺さんたちが事務所へ集まってきた。父のノートには、22に同じような肉チタン部品を加した際の失敗と対策が細かく記録されていた。度成功した条件だけではなく、最初に何が駄目だったのかまで残しているところが、いかにも父らしかった。
《側だけで持つと逃げる。内側にも当てを入れて、両方からく支える》
《械は30分以。えた状態で仕げるとで寸法が戻る》
《仕げは度で落とさない。く2回》
田辺さんが指でを追っていった。
最には、父らしい乱暴な文字でこうかれていた。
《材料は逃げる。逃げるのを止めるな。
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逃げを作ってやれ》
「正さんだな」
田辺さんが笑った。
その午、俺たちは治具を作り直した。側だけで支えていた部品に内側からも軽く当てを入れ、加の変形を逃がす構造へ変えた。械は止させず温度を定に保ち、仕げ代も度に削らず2程に分けた。
7本目。
真円度4ミクロン。
まだ届かない。
田辺さんは品の刃物へ交換した。
「最だけ、これでいく」
8本目。
検査担当者が測定器の数字を何度も確認した。
「2.6ミクロンです。格です」
の奥で島が声をげた。
そこから流れが変わった。
9本目、2.8ミクロン。
10本目、2.5ミクロン。
しい治具へ変えてから、残りの材料は次々に3ミクロン以内へ入った。
15本目を終えた点で、規材料から取れた格品は8個。
まだ4個りない。
残るのは最初に失敗した7本だった。
全数をもう度測り直したところ、3本はすでに寸法がりず使えなかった。削りすぎた属は度と戻せない。残る4本には、わずかだが再加できる余裕が残されていた。
つまり。
4本全部を成功させなければ。
12個は揃わない。
田辺さんは最初の1本をしい治具へ固定した。
格。
2本目も格。
3本目も3ミクロン以内へ入った。
これで11個。
最に残ったのは、最初の加で4ミクロンだった7本目だった。
誰も話さなかった。
田辺さんは械のにち、いつもより段階遅い送り速度で刃物を当てた。
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切削音がのに定のさで響き、加が終わると島が部品を洗浄し、俺が分を拭き取って精の測定器へ載せた。
検査担当者が画面を見る。
「3.0ミクロン。格です」
12個が揃った。
誰かが歓声をげるとっていた。
でも実際には。
数秒。
誰も声をさなかった。
それから田辺さんが子へ座り、「腹減ったな」と言った。
全員が笑った。
計は午11を回っていた。
そこから洗浄と全数検査をもう度い、1個ずつ包装して箱へ詰めた。終わった頃にはがわずかにるくなり始めていた。
俺は事務所へ戻り、父のノートを閉じた。
4。
読むのが怖くて。
引きしへ押し込んだノート。
父に追いつけていないことをるのが嫌だった。
でも違った。
父は。
追いつかせるために。
残したのではなかった。
自分がいなくなったも。
誰かが続けられるよう。
失敗まで。
全部。
置いていったのだ。
「親父、まだにいたんだな」
自然に声がた。
子さんはしれたところにっていたが、何も言わなかった。
翌朝8、12個の部品を精へ届けた。
最終検査には2かかった。
やがて社が廊へてきた。
「浦さん。12個、全数格です」
俺はく息を吐いた。
「ありがとうございます」
「こちらの台です」
社は腰を折るほどくをげた。
そのろに黒川がっていた。
俺と目がった。
だが。
あのの数千万円の話について。
どちらからも。
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