"軍艦島、命をつないだ白い飯" 第4話
だから制度の段階から、坑夫にはくべさせる理由が用されていた。
だが、それだけではない。
終戦、本全体が刻な糧に陥った、炭には別のが加わった。
をかす。
列をらせる。
鉄を作る。
戦の経済をて直すには、まずエネルギーが必だった。
そのに炭があった。
昭21末、本は炭と鉄鋼へ資材や資、労働力を優先に投入する政策をめる。いわゆる傾斜産方式である。
炭の増産は国の最優先課題になった。
掘るが腹を空かせて倒れれば、炭はない。
そこで炭鉱には、主の米だけでなく、酒、煙、類などの物資まで優先に回された期があった。
つまり、男の米穀通帳に記されたさなは、単なる福利ではなかった。
《労働》
その文字の裏には、本という国が炭を必としているという事があった。
坑夫の体は、自分のものではない。
国の産業を回すための労働力として数えられていた。
だからわせる。
だから米を回す。
だから待遇もくする。
男は翌、坑内で仲と休憩を取っていた。
筒のをみ、握り飯をへ入れる。
昨夜までなら何も考えずべていた飯が、妙にくじられた。
隣の坑夫が笑った。
「どうした。わんとか」
「いますよ」
「わんと体もたんぞ」
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まさにその通りだった。
制度がどうであれ、国策がどうであれ、ここでは米をわなければ体がかない。
目のにある握り飯は、贅沢品ではない。
坑へ戻るための燃料だった。
それでも男は、し考えた。
自分たちは恵まれている。
同に、その恵まれ方には理由がある。
危険な所へりていく者だから、くべさせてもらえる。
い料も同じだった。
ただ「炭鉱景気で羽振りがよかった」と片づければ簡単だ。
だが、坑夫の当がかったのは、命の危険と切りせない。
歩違えば帰れない仕事を、毎誰かが続けなければならない。
だからをす。
飯をす。
族が暮らせる居を用する。
娯楽もえる。
端島の豊かさは、善だけでできたものではなかった。
必だったから、豊かにしたのである。
そのの仕事を終えた男は、坑へてから商へ寄った。
料がい。
にはし値の張る品物も並んでいる。
本ならい物から売れそうな代に、この島ではむしろい物から先に売れることさえあったという。
男の財布にも、まだはあった。
だが島には、を買う所もない。
自を持ったところでらせるもほとんどない。
を使う先は自然と限られる。
べる。
む。
遊ぶ。
族へ物を買う。
そしてまた、次のには底へりる。
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男は先に並ぶし等な魚を見ながら、昨夜の米穀通帳をいした。
たくさんべられる。
たくさん稼げる。
それは確かだった。
しかし、その豊かさの根っこには、いつも坑の暗がつながっていた。
端島では、を持っていても使える所が本とは違っていた。
菱の炭鉱をに成りったさな島には、広いもなければ、庭付きの戸建てを買うという発もほとんどない。自用を持ってする暮らしとも無縁だった。
その代わり、狭い島のには驚くほどくの娯楽が集まっていた。
映画館。
パチンコ。
麻雀。
玉突き。
酒をめる。
に囲まれていながら護岸のため自由に泳げない所では、を汲みげたプールまで設けられていた。
仕事が終われば遊ぶ。
料が入れば使う。
端島ではそれが特別な放蕩というより、常の部だった。
男も若い頃は、仲と映画を見た。
料のには酒をみ、にはパチンコへ寄った。
妻と子どもができてからは、同じがしずつ別の物へ変わった。
ラジオ。
扇。
蔵庫。
そしてテレビ。
昭30代、化製品がまだくの庭にとって憧れだった頃、この島ではテレビが急速に普及したと伝えられている。狭い社宅の部にきなテレビが置かれ、所の子どもが集まって相撲や番組を見ることも珍しくなかった。
「お父さん、今は映画かんと?」
息子が聞いた。
「今はかん」
「じゃあテレビ見よう」
「宿題してからな」
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