"姉の代わりに嫁いで6年――総支配人夫人の姉と再会した日" 第3話
資料のにある名
翌朝、ホテルの会議で、私は窓際に積まれた資料を各席へ配った。客運用の説会には、宿泊部の責任者と林さん、それに経理担当者が席していた。
敬吾さんは私の資料をめくり、途でを止めた。
「お部への苦は承しています。ただ、この建物も古いので。最のお客様は、予約サイトの写真とし違うだけでも厳しいことをおっしゃいます」
私は壁に映した覧を、1ページ先へ送った。
「設備についてのご見は別にまとめています。こちらは、ご予約が確定していたのに、ホテルの都で部を変更されたという27件です」
机の向こうで、林さんがペンを置いた。
「過3分の控えから確認しました。そのうち20件が同じ角部に集しています。理由には、ご関係者の利用とあります」
敬吾さんが背もたれから体を起こした。
「現には、同等以のお部をご案内するように伝えていたはずですが」
「では、実際にどのお部へ移っていただいたのか、予約と料の記録を確認させてください」
私は隣の席の芦田さんを見た。買収から資料の調査を担当している芦田康弘さんは、必な記録をいたを経理担当者へ渡した。
敬吾さんはを受け取りかけて、を引いた。経理担当者が自分で内容を確かめ、準備できますと答えた。
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「差額をお返しできていないは、こちらからご連絡します。今は、確定済みのご予約を関係者のためにかさない。その点を運用の最初に置きます」
画面を切り替えると、宿泊部の男性が顔をげた。
「その項目は、先届いた本社の指示にありましたね」
「はい。実するで困っていることを、今は伺いたいとっています」
「ただ、都のホテルと温泉旅館では、お客様のお付きいも違いますから」
敬吾さんの目が、私の隣にいる馬へいた。私への質問の形をしていても、答えは夫に求めていた。
さんが資料の表をいた。
「この案を作ったのは倉統括です。運用については、統括にお話しください」
をめくっていたが、いくつか止まった。
私は机ので、えた指をねた。結婚、勤務先でもらった表彰状を母に見せたことがある。母は賞がないとると、話台へ裏返して置いた。姉のしいの話が始まり、私は自分で表彰状を持ち帰った。
今、目のの資料には私の名がある。裏返すはいなかった。
「最初に担当した宿は、11しかありませんでした」
私は説を続けた。
「連泊のお客様から、2泊目にすることがないというご見が届いていました。観を増やすより、宿で休める選択肢が必だと考えたんです。朝を選べるようにして、昼の貸切呂も案内しました」
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賃78000円の部で、その文章を直した夜を覚えている。私はメーカーの仕事から帰ったばかりで、馬は旅館の帳面をいていた。
もっと豪華な事をつける案を私が消すと、彼は理由を尋ねた。原価ではなく、お客様の声を見てほしい。そう言ってを渡すと、彼は最まで読み、鉛を持ち直した。
「連泊の予約は、導入から半で2倍になりました」
さんが当の集計を示した。私が夜ごと直していた文章は、今は社内の実績資料になっていた。
林さんがをげた。
「特別なご依頼を断った、理由を残して、本部へ確認してもよろしいでしょうか。現だけでは、お断りしきれないがございます」
「お願いします。担当者だけに判断を背負わせないための窓も、この資料に入れました」
馬が頷いた。敬吾さんも、異論はないと答えた。
説会が終わる頃には、誰が記録を提し、誰が問いわせを受けるかまで決まっていた。林さんは自分の資料に付箋をつけ、事そうに閉じた。
私は芦田さんのに、別にしていた1枚を置いた。個名を伏せた、きの苦の控えだった。
「この方のご予約から、確認していただけますか」
の裏まで文字が続いている。最初に読んだから、忘れられないきしだった。
〈結婚25の記に、半からあのお部を取っておりました。
〉
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