"追い出された妊婦の家" 第7話
私は未使用分の返還を優先し、残りは俊介と久美子の連帯した返済として面にすることを求めた。
「母さんを借取りみたいに扱うな」
「借りたへ返済を求めています。族なら借という言葉が消えるわけではない」
交渉の結果、設備のキャンセルで戻った万円と、舗保証の部万円が返還された。残る百万円は、俊介が万円、久美子が万円ずつ支払うことになった。業は延期され、物件の契約も解除された。
久美子は親戚へ、私がを潰したと話した。の計画を聞いて応援していたのには、私を責める者もいた。私は全員へ録音や座履歴を見せて回らず、必な続きだけめた。
方、由佳は元の居の期限が切れるに、のひとり親相談へった。希望する公営宅へすぐ入れるわけではなく、民のさなDKを借りることになった。賃はく、男は転せずで通う必があった。
彼女は私へ、敷を貸してほしいとは言わなかった。代わりにベビーベッドの修理費万千円を分割で払うと申した。私は回払いを認め、期を面にした。
美しい解ではなかった。由佳は、子どもを抱えている自分へしくらい譲ってくれてもよかったと今もっている。私も、彼女が困窮しているにを守ったことへ罪悪がないわけではない。
広告
それでも、罪悪と責任を混ぜないようにした。助けるなら、自分で範囲を決める。相が先に使ったで、族だからと支払いを消さない。それが子どもを迎えるに守りたかった線だった。
産休へ入った、俊介から面会を求める連絡が来た。指定した喫茶に現れた夫は、婚届ではなく、育児休業の申請を持っていた。
「か休む。俺が変わるところを見てから決めてくれ」
私は申請を見た。休業始は産予定ので、それまでの健診や準備を支える計画はどこにもなかった。
さらに勤務先へ確認するための連絡先欄には、育児を補助する族として久美子の名がかれていた。
私は俊介に、育児休業のを定して予定をいてもらった。夫のには、午の沐浴と午の散歩しかなかった。授乳の片づけ、洗濯、哺乳瓶の消毒、買い物、通院、夜対応は、すべて《美咲》か《母さん》になっていた。
「俺には母乳はないだろ」
「授乳以のことはできる。夜に起きて、おむつを替え、私がむを持ってくることもできる」
俊介は、自分は翌に運転するから夜は眠る必があると言った。休業でも、夫の眠は仕事に備えるものとして守られ、私の眠は赤ちゃん次第で仕方ないと考えていた。
私は産支援員からもらった資料を渡し、父親向け講座へ申し込むよう勧めた。
広告
夫は、や講座より母の経験の方が役つと反論した。久美子が子育てをしたのは以であり、今の全基準や私の希望をっているわけではない。
話しいの途、俊介の会社から話が入った。育児休業申請に備があり、本と配偶者の産予定を確認したいという。夫は私へ話を渡そうとしたが、私は本が自分で説するよう戻した。
俊介は予定を週違えていた。母子帳の写真を久美子へ送ったのに、自分は正しい付を覚えていなかった。会社へは、妻が細かいことを管理しているからで確認すると答えた。
私はその姿を見て、育児休業を取れば父親になれるのではないと分かった。制度はを作るが、そのに何を見るかまでは決めてくれない。俊介自が、母ではなく子どもと妻へ目を向ける必があった。
私は予定表をき直すよう求め、完成するまでは産の滞を約束しなかった。夫は面接を受けているようだと満を言った。
「あなたが私を母親として審査するのではなく、私もあなたと育児できるか確かめるの」
俊介は初めて、父親にも信頼されるための準備が必だとった顔をした。
俊介は、母の名をいたのは会社へしてもらうためだと説した。育児休業は父親が子どもを育てるために取るものなのに、彼は最初から母親を補助者として差ししていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 459 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 612 -
完結第16話
四十九日の追放、母の隠し遺言
「十年世話しただけの妹に、実家の取り分はないわ」 母の四十九日、喪服の兄夫婦は親族の前で澄子を指差し、台所の冷えた板の間へ追いやった。信金を辞め10年間、720万円の私財を投じて母を看取った澄子に、兄は「今週中に出て行け」と冷酷に通告する。 母のキャッシュカードは7年前から兄が独占し、消えた年金は1240万円。 家財すべてが二束三文で業者に売り払われようとする中、母が50年愛用した古い足踏みミシンの奥底から、厳重に隠された「ある物」が滑り落ちた。 「その言葉、そっくりそのままお返しします」 あの日からちょうど49日後、審判の幕が上がる――。兄弟姉妹|修羅場2.3万字5 439 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2905 -
完結第10話
洋食屋の絆と、高級寿司屋の逆転
岡田悠斗は、高校生の時に両親を交通事故で亡くし、高卒の自動車整備士として働きながら、三歳下の妹・真央をたった一人で大学の法学部まで育て上げた。真央は猛勉強の末に難関の司法試験を突破し、弁護士として初任給をもらう。悠斗への感謝を込めて予約した高級寿司屋の席で、悠斗の職場の傲慢な上司・西村が偶然居合わせ、「工場で油まみれになって働く底辺の作業員」と悠斗と真央を激しく侮辱する。絶望と怒りが交錯する中、隣の席に座っていた一人の客が立ち上がり、西村を冷徹に一喝する。その男の正体は、かつて両親の営む洋食屋「ひまわり」で無銭の少年時代に助けられた大手IT企業の社長・藤井宗介だった。過去の恩返しと、血を分けた兄妹の絆が奇跡を引き起こす感動のヒューマンドラマ。兄弟姉妹|修羅場1.5万字5 641 -
完結第10話
従妹に貸した部屋が、半年で40回又貸しされていた
国家試験の勉強に使う――そう約束した従妹・さやが、私のマンションを他人に使わせ、密かに金まで受け取っていた。半年間、家賃も取らず信じて鍵を預けた私を待っていたのは、生活感が消えた不自然に綺麗な部屋だった。光熱費の異常な少なさ、玄関脇に残されたキーボックスの跡、そして靴箱の奥から見つかった、知らない5人宛ての郵便物。調べるほど、さやの「1人で勉強していた」という言葉は崩れていく。さらに彼女は、私の知らない人間に鍵を渡し、住所まで使わせていたことを認め始めた。親族だからと目をつぶることは、もうできない。私は写真、通話記録、利用履歴を残し、警察や関係機関へ相談することを決意する。だが、問題は無断利用だけでは終わらなかった。私の住所は、いったい何のために使われていたのか――。調べた先で、さらに不穏な事実が動き始める。兄弟姉妹|修羅場4.1万字5 318 -
完結第14話
月二十五万を貪る偽装役員一家の転落
外資系コンサルティングファームで働く小笠原萌子は、お見合いで大手企業勤務のエリート・東野広夢と結婚した。しかし新婚早々、夫の経歴が全て嘘で、定職すら就いていない無職だと発覚する。さらに広夢は「大企業の役員に抜擢された」と両親に大嘘を吹き込み、見栄を張る義父母は都心のタワマン家賃二十五万円や、百万円の旅行代を萌子の給料から平然と搾取し始めた。夫の度重なる深夜帰宅に不審を抱いた萌子が財布を探ると、そこには見知らぬ甘い香りと、黒地に金箔押しされた高級シティホテルの会員カードが。探偵の分厚い報告書によって夫のキャバクラ通いと裏切りが露呈したとき、萌子は離婚を決意する。だが、金の蛇口を止められた元夫と義家族の強欲は暴走し、SNSでの悪質なデマ拡散、そして新居への土足侵入へとエスカレートしていく。すべてを奪おうとする寄生虫たちに、萌子が下す冷徹な鉄槌とは――。嫁姑|夫婦2.4万字5 695