"合格発表の日、父が消えた" 第10話
その、修は条件をにした。栞の答案を処分すること。格を守ること。族へ度とづかないこと。つを約束するなら、自分は帳簿を持っていないふりをして町をれる、と。
録音の終盤、原は幹線切符をすでにロッカーへ入れたと話していた。修が取引に応じなければ、の防犯映像を使い、彼が資料を盗んだように仕てる準備もしていた。脅迫はらかだったが、同に、修が自分の判断で証拠の公表を止めたことも否定できなかった。
音声には、もうつなやり取りがあった。修が「娘の本当の答案を返せ」と求めると、塚本は学の答案は採点に保管されており、自分たちが持っているのは千にかせた別だけだと答えていた。つまり塚本自が、そので偽答案の作成を認めていたことになる。
学は保管期限を過ぎた答案をすでに廃棄していたが、採点集計表は残っていた。栞の本試験の得点は格最点を点回り、漏洩が疑われた第4問では、学が仕掛けた識別用の誤答を選んでいなかった。彼女は正資料に触れず、自分の力で格していたことが数字でも確認された。
集計表を見た栞は、会議で泣かなかった。なら、これ枚があればは違ったかもしれない。しかし今の彼女が欲しかったのは、過の自分をれむ材料ではなかった。
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歳の栞が誰にも信じてもらえなかった言葉を、ようやく公の記録が追いかけてきたのだとった。
警察と学は同で事実関係を公表した。百万円の現窃盗はせず、栞が試験問題を購入した証拠もなかった。偽答案は千に架空の特別試験を受けさせて作られ、辞退届は青葉学会の久保田が偽造したものだった。
原は私文偽造や業務の正について改めて捜査を受けた。塚本についても、健康状態を考慮しながら事聴取が続けられた。すでに効となった為もかったが、何が起きたかを公式記録に残すことはできた。
邦学は栞へ謝罪し、当の記録を《正疑義による辞退》から《第者による続き妨害》へ訂正した。さらに、希望するなら入学を免除し、社会選抜で受け入れると提案した。
栞は、そので返事をしなかった。の格を返してもらうことと、歳の自分が学へくことは、同じではなかったからだ。失われたを埋めるためだけに入学すれば、再び誰かに決められたを歩くことになる。
千は記者会見にることを選んだ。顔と名は伏せられたが、自分が栞名義の答案をき、く沈黙した事実を語った。会見の夜、千は栞へ話をかけ、許してほしいとは言わなかった。
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「子どもに、怖かったから黙っていいこともあるって教えてきた。でも、怖くなくなったあとも黙ったことは、私自が選んだ。そこまで話す」
栞は「分かった」とだけ答えた。友が戻るかどうかは分からない。それでも、相の告を受け取ることと、関係を元に戻すことは別だと考えられるようになっていた。
真理子も警察に、目のを隠したことを話した。法な罪ではなくても、娘から父に会う能性を奪ったと認めた。帰宅、真理子は修に話をかけたが、へ戻ってほしいとは言わなかった。
「で度、話しましょう。ただし、の族に戻るためではありません」
数、修は藤原を訪れた。玄関で靴を脱ぐ所さえ迷い、以自分が使っていた茶碗がないことに目を留めた。真理子はしい湯呑みをし、は卓についた。
誰もすぐに謝らなかった。修は失踪夜の現から話し、真理子は返信を取り消したのことを話した。栞はの話を聞いたあと、父を英雄にするつもりも、母だけを責めるつもりもないと伝えた。
「私のためにした、という言葉を、これからは答えに使わないで。が自分で選んだこととして話して」
修と真理子は、別々に頷いた。
その夜、修はに泊まらず、駅の宿へ戻った。玄関をるとき、真理子は作業着を渡した。
に残されたものではなく、同じ紺の布でしく縫った着だった。
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