"離婚した直後、奪われていた80億円が戻った――元夫の結婚式で私が取り返したもの" 第3話
「細かいの話は俺に任せればいい。夫婦なのに、自分の取り分ばかり気にするのか?」
その言に、私は黙った。するを疑う自分の方が卑しいのではないかとってしまったからだ。しかし2目の終わり頃、父の特許を使っているはずの型案件の契約に、まったくらない企業名が権利保会社としてかれているのを見つけた。
所を調べると、そこはさな貸しオフィスだった。代表者を辿れば、美智子の親族が役員に名を連ねる投資会社へつながり、さらにその先で泰成建設へ利益が戻る仕組みになっている。父の特許を直接使えば私への支払い義務がじるため、度別会社へ権利が渡ったように装い、使用料を内部で回していたのだ。
私はその、初めて弁護士へ相談した。父がきていた頃から顧問として付きいのあったで、父の遺言や特許関係の資料もり尽くしている。先は私の話を最まで聞いたあと、すぐに健吾を問い詰めろとは言わなかった。
「栞、でけば相に証拠を消すを与える。今見えているのが全体の割なのか割なのか、それすらまだ分からない。悔しいだろうが、まず自分のものを守る準備をしなさい」
そこから私の沈黙はを変えた。耐えるための沈黙ではなく、確認するための沈黙になった。
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健吾が持ち帰る資料の番号、関連会社の名、発注単価、会議でにする言葉を記録し、自分の作業に残っていた設計原本には作成を証できる子署名を付けた。
3目、私はもっと恐ろしいことに気づいた。泰成建設が父の技術を盗んでいるだけでなく、部の事で指定より価な防材や品質のコンクリートを使いながら、設計通り施したように記録を作り替えていたのだ。私がその危険性を指摘すると、健吾は初めて骨な苛ちを見せた。
「しくらい仕様を調したって、すぐ建物が壊れるわけじゃない。現をらない理論で会社を止めるな」
「問題は今壊れるかどうかじゃないでしょう。10、20にそこにむの全を、あなたはどう考えているの?」
「だから女は経営が分からないんだ」
その夜から、私は婚を考え始めた。しかしすぐにはなかった。私がをれば、健吾はんで私の名を消し、父の設計資料も会社のものにし、何事もなかったように事を続けるだろうと分かっていたからだ。
4目には、優奈との関係もった。彼女は泰成建設の企画にいたが、健吾の指示でしいデザイン会社の代表になり、そこへ私の図面の使用権が移されたように見せる契約が作られていた。私の夫と関係を持った女というだけなら、私は婚して終わらせることができた。
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だが彼女は、私の署名がない設計に自分の名で承認印を押していた。
その事実をった、私は泣かなかった。先に話をかけ、静かに言った。
「もう夫婦の問題ではありません。最までやります」
それからかけて、私たちは証拠を積みげた。会計士による独監査、特許使用料の流れ、設計ファイルの変更履歴、私の名をすよう指示した内部メール、そして健吾本の声が残った録音までそろった。父の特許によってじた収益のうち、争いようのない部分は保全命令とに基づいて信託座へ移され、婚成に私へ戻るようになっていた。
だから80億円は、私への慰謝料ではない。
彼らが私の父と私から取りげ、いをかけて自分たちのものに見せかけてきただった。
タクシーがホテル帝都の正面へ滑り込むと、いで飾られたエントランスの向こうを、勢のスタッフが慌ただしくき交っていた。級が次々とまり、財界らしい客、取材のカメラ、華やかな装の親族が入を埋め尽くしている。
私はなベージュのワンピースの裾をえ、をりた。
今、取り戻すのはだけではなかった。
ホテルのロビーは、結婚式というより企業の記式典にかった。泰成建設と優奈の実が経営する産会社の名がきく掲げられ、つの企業のたな結びつきを祝うという文句まで添えられている。
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