"毎月20万円送っていたのに、82歳の母は皿を洗っていた" 第5話
「任せておけ」と言った
。
業務分担表で確認した名が、翌朝届いた支払方法変更の控えにも記されていた。申請した担当者は別だったが、最の承認欄にはの署名がある。
健はその類を机のに置いた。管理会社には、彼の個資産に関する控えが度別に保されていた。弁護士の求めに応じて取りされた古い綴りのに、この1枚が残っていた。
母への振込額が変わり始めた期となっている。
ただ、承認したというだけで、自がおを取ったとまでは言えない。健は母の通帳の写しを並べ、確認できたところにだけ印を付けた。最終な送先の照はまだ続いていた。
は6歳で、会社を始めた頃から緒に働いてきた。最初のホテル改装で資がりなくなった、自分の貯から社員の与をつないでくれたでもある。
事業が軌に乗り、健の張が増えた頃、は私用の支払いもまとめて管理する仕組みをえた。
『のことは任せておけ。お母さんにも困らせるようなことはしない』
その言葉を聞いて、健はした。族について尋ねるたび、変わりなく暮らしていると報告を受けた。いつしか確認する回数さえ減っていた。
机の端には、が昨回してきた事業計画があった。
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そちらの署名も、母への支払いを変えた類と同じ跡だった。
健は計画をねず、別の所へ移した。
午、相談していた弁護士が、資調査を担当する部の会計士とともに来た。健は自分の支払記録と母から許を得た写しを渡し、調べてほしい範囲を伝えた。
「の記録だけで、母に届いたことにはしないでください。最に誰が受け取ったかを確認したい」
会計士は通帳の写しを見て、管理会社への入と、そこから先の支払いを分けて追うと答えた。古い資料にがあれば、その期は未確認として扱う。母の計簿だけで結論をすこともしない。
健は承し、原本の保管先と複製した資料の管理を確かめた。自分の机から類がなくなっても、調査が止まらないようにしておきたかった。
2が帰ったあと、母に話をかけた。しれた所から、勝が母を呼ぶ声が聞こえた。
「今は、勝に気代を頼まなくて済むよ」
ふみはそう言ってから、何か分かったのかい、と尋ねた。
「調べるに資料を渡した。まだ途だから、分かったことだけ伝える」
「私が覚えていることで必なら、また聞いておくれ」
健は礼を言い、約束した通院の刻を確認して話を切った。母はを責める言葉も、息子を慰める言葉もにしなかった。
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ただ、自分の活に起きたことを確かめようとしていた。
午、へ面談を求めた。相はすぐに来ると答えた。
ドアをたたく音がした、健は類を隠さなかった。は事業計画の封筒を持って入り、机のの古い用へ目を留めた。
「管理会社から聞いたよ。活費の扱いを変えるんだって?」
「はい。母には、僕から直接振り込むことにしました」
「急な話だな。何か都があったなら、先に言ってくれればよかったのに」
いつもの穏やかな調だった。は向かいの子に座りかけ、いたままの通帳の写しに気づいた。封筒を置く位置を変え、そのを隠すようにねようとした。
健は先に写しを引き寄せた。
「15分、確認したいんです。母が受け取った額を」
は封筒からをした。廊を誰かが通る音がすると、いったんってドアを閉めた。それから戻り、今度は健の正面に座った。
「健。お母さんから、何を聞いた?」
健は送方法の変更類と、母が残した話のメモを並べた。承認欄がから読める向きになるよう、類を静かに回した。
「送の変更と、母からの話。その両方を決めたのは、さんですか」
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