"母の保険金3,000万円、夫は「もう諦めろ」と言った" 第6話
佳代は軽やかな取りで、くのコインパーキングにめてあったへと乗り込んでいった。
駅への帰り、幸介がどこか誇らしげな顔で麻紀に言った。
「いやあ、これでだな。それにしても麻紀、おもとちゃっかりしてるよな。内相に公正証まで作らせるなんてさ、そこまでやるかってちょっと驚いたよ」
幸介はからかうように笑っていた。
その笑みを見た瞬、麻紀はすべてを悟った。
幸介も、佳代も、この公正証を「ただの形式な切れ」だと侮っているのだ。
『弟の嫁が、族相に本当に制執なんて起こせるはずがない』 『最は内のに訴え、泣き落とせばどうにでもなる』
そうをくくっているからこそ、これほど過酷な法続きに、交じりでサインしたのだ。
麻紀は夫の横顔をややかに見据え、ので静かに呟いた。
(ええ、笑っていられるのも今のうちよ。あなたたちが踏み越えようとしている線が、どれほどい獄へ続いているか、そのでいることになるわ)
翌、麻紀はの窓から、佳代の会社の指定座へ、千万円を満額振り込んだ。
母の遺した通帳の残は、瞬にして数百円の端数だけになった。
約束のかの末。
午から、麻紀は何度もスマートフォンのオンラインバンキング画面を更していた。
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しかし、正午を過ぎ、の窓業務が終する午を回っても、座の残に変化は切なかった。千万円の着記録は、どこにもしない。
麻紀は静かに息をえ、佳代のLINEへメッセージを送信した。
『お義姉さん、本が返済期となっておりますが、入が確認できませんでした。何か違いがございましたでしょうか?』
送信から分、佳代から返ってきたのは、拍子抜けするほど軽い文面のメッセージだった。
『麻紀ちゃんごめーん!>< 取引先の自治体からの入処理がちょっとずれ込んじゃってて! 来週の曜には絶対に振り込まれるから、数だけ待っててくれる!? 本当にごめんね!』
語尾に付けられたふざけたキャラクターのスタンプ。
数千万円というを借りておきながら、期の当に自分から連絡も入れず、催促されて初めて言い訳のスタンプを返してくる。
麻紀のので、たいりが静かに澱のように沈殿していった。
『承いたしました。それでは来週の曜までお待ちします。これ以の遅延は困りますので、よろしくお願いいたします』
しかし、その約束の曜になっても、入はなかった。
麻紀が話をかけると、佳代は慌てたような声で「経理の担当者が類をし忘れてて! 今週には必ず!」と言い訳をねた。
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そして、その「今週」が過ぎると、佳代からの自発な連絡は完全に途絶えた。
週が過ぎ、かが過ぎた。
麻紀は週に度、事務に事実のみを記したメッセージを送り続けた。
『お義姉さん、期からかが経過しました。いつ入になりますか? 現状の捗をご説ください』
最初は「もうし待って」「今バタバタしてて」といったい返信があったが、か目を迎える頃には、麻紀のメッセージに「既読」がつくだけで、返信すら来なくなった。
そしてか目に入ったある、話をかけると、呼びし音が数回鳴ったに「ただいま話にることができません」という無質なガイダンスが流れるようになった。着信拒否に設定されたのだ。
メッセージの「既読」すら、つかなくなった。
佳代は、完全に麻紀との連絡を遮断し、逃を決め込んだのだ。
「……やっぱりね」
リビングのテーブルので、麻紀は帳をいた。
そこには、これまでに送信したメッセージの送受信、通話履歴、の記帳、そして佳代との会話内容が、分単位で克に記録されていた。
麻紀はこのか、ただ指をくわえて待っていたわけではなかった。
返済期を過ぎた翌朝の点で、麻紀はすでに弁護士の事務所を訪れ、次の段階への法続きを着々とめていたのである。
内容証郵便による最通告の送付。
公証役での執文付与の続き。
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