"元警察官の父が娘に渡した一枚の封筒" 第9話
「それで待ってたの?」
「ああ」
「かも?」
「かったぞ」
珍しく、父がし笑った。
「何度の鍵を持ったか分からん」
目の奥がくなった。
私は、父が静だったのだとっていた。
全て分かったで、職業に距を取っているのだと。
違った。
父もっていた。
私以に。
そのりを、ただ抑えていただけだった。
「俺ができるのは、おが自分で決めるまで帰る所を空けておくことくらいだ」
私はうつむいた。
涙が膝へ落ちた。
「ありがとう」
父は気まずそうに急須を持ちげた。
「礼を言われることじゃない」
私の湯呑みにお茶をす。
「俺は何もしてない」
私は首を振った。
何もしなかったのではない。
何もしないことを選び続けたのだ。
私のを、父の正義で奪わないために。
がづく頃。
私は弁護士を通じて、拓也へ今の話しいをしたいと伝えた。
数、返事が来た。
拓也も代理へ相談したらしい。
それはだった。
私はてっきり、また文のメッセージか突然の訪問が来るとっていた。
初回の話しいでは、拓也は以より落ち着いていた。
「婚したいわけじゃない」
彼は言った。
「カウンセリングでも何でも受ける」
私はすぐには答えなかった。
数かなら、その言葉を聞くだけで期待しただろう。
しかし今は、拓也が変わるかどうかと、自分が戻りたいかどうかは別の問題だと分かっていた。
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「受けたいなら受けたらいいとう」
私が答えると、拓也は驚いた。
「緒に受けようってだよ」
「私はかない」
「何で」
「あなたが変わるために必なら、あなたでけばいいから」
拓也の顔が張る。
彼はしばらく黙った、別の条件をした。
「半だけ待ってほしい」
「何を?」
「半別居して、その俺が変わる。半にもう度考えてくれ」
見、理な提案に聞こえた。
でも私は気づいた。
半に私が戻る能性を残すことが、拓也には必なのだ。
「半に考える約束はできない」
「どうしてそこまでたいんだよ」
久しぶりに、昔の拓也の声がた。
しかしすぐに自分で抑えた。
「……ごめん」
その瞬。
私は議なほどしくなった。
彼は努力している。
確かに努力している。
でも私の体は、声がしくなっただけで固まる。
それが答えだった。
好きだった記憶がなくなったわけではない。
優しかった期も嘘ではない。
それでも私は、もうあのでして眠れない。
「拓也」
私はゆっくり言った。
「私はあなたが悪いだかられたいんじゃない」
彼が顔をげる。
「あなたと暮らしているの自分に、もう戻りたくないの」
拓也は何も言わなかった。
がけた。
別居は4かを超えた。
私は自分のノートを最初から読み返した。
最初の頃は、拓也の言葉ばかりいていた。
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《仕事で疲れていた》
《反省していると言った》
《度としないと言った》
途からしずつ、自分の言葉が増えていた。
《怖かった》
《帰りたくなかった》
《今はして眠れた》
《自分で決めた》
変化はらかだった。
私はようやく、を拓也の気持ちではなく自分の覚で記録するようになっていた。
その頃、拓也から通のいが届いた。
《物の残りを送ります。必な続きについては代理を通じて連絡します》
それだけだった。
い謝罪もない。
戻ってきてほしいともかれていない。
数、きな段ボールが届いた。
コート。
セーター。
本。
化粧品。
マンションに置いたままだった私の物が、つずつ丁寧に梱包されていた。
箱の底から、結婚5目の旅で買ったさな写真てがてきた。
で笑っている。
私はい、それを見ていた。
このの笑顔まで偽物だったとはわない。
拓也は拓也なりに私をしていたのだろう。
私も彼をしていた。
だからこそ難しかった。
があったことと、して暮らせなくなったことは両する。
いいいがあるからといって、今の苦しさが消えるわけではない。
私は写真だけをした。
捨てなかった。
アルバムの最へ挟んだ。
過まで否定する必はない。
ただ、過を理由に未来まで差しさない。
父の枚のも、同じ引きしへ入れた。
あのは涙で読んだ文章を、今は静かに見られる。
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