"亡き義母の口座を洗う女" 第2話
いるのか。
をびした私のは、がくがくと震えていた。そのままくの公園のベンチに崩れ落ち、もう度、のの通帳を凝する。
見違いであってほしかった。だが、黒々と印字された文字は消えない。『08-26 00:07 ATM オヒキダシ 18,000』。昨——曜の夜、確かに誰かがこの座から現をろしている。
警察に駆け込むべきか。それともの窓に泣きつくべきか。
だが、のどこかでややかな声がした。『警察になんて説する? 3にんだ義母の座に、見らぬ会社からおが入っていて、誰かがろしていると? 族の座を放置していたアナタたちの過失でしょ、と笑われて終わりだ』
何より、気が悪かった。おを振り込んでいる『カブシキガイシャ・サイセイ』とは何なのか。そして、毎週曜の夜07分に、どこのATMで誰がこのおをろしているのか。
次の曜。
私は夕の準備をしながら、がそわそわして落ち着かなかった。
「由里、今の噌汁、ちょっとが濃くないか?」
卓で聞を広げながら、雅志が眉をひそめた。
「あ……ごめんなさい。し煮詰めちゃったかしら」
「頼むよ、疲れてるのか? 最なんかぼーっとしてるぞ」
雅志はそう言いながら、テレビのバラエティ番組に線を戻した。呑気な顔。3、義母がくなった「これで母さんも楽になったよな」
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としだけ涙を浮かべていた夫。このは何もらない。義母の通帳が今もきていることも、私がそのに気づいたことも。
夜11。雅志がイビキをかき始めたのを確認し、私は静かにベッドを抜けした。
黒いパーカーを羽織り、フードをくかぶる。向かったのは、自宅から徒歩7分ほどの所にある国沿いの24営業の便利——セブンイレブンだ。
がの周辺で、夜にATMが使える所は限られている。もし昨と同じ舗で引きされているとしたら、この国沿いのコンビニか、駅のATMコーナーのどちらかだ。
私は内に入り、缶コーヒーを本買ってレジからしれた雑誌コーナーにった。防犯カメラの角にならないよう配慮しながら、内奥にあるATM端末を観察できる位置を確保する。
内には、夜勤の若い男性員が。客は私のほかに、トラックの運転らしき男がいるだけだった。
1150分。
1155分。
折、自ドアがいて客が入ってくるが、誰もATMには目もくれず、清涼料や弁当を買ってていく。
やっぱり、こんな所に現れるわけがない。私のい過ごし、あるいは所が違うのか。
そう諦めかけた、そのだった。
『ポーン』
午06分。自ドアがく子音が響いた。
入ってきた物を見て、私の臓がドクンときくねがった。
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い黒髪をろで束ねた、柄な女だった。齢は30代半ばから40代半ほどに見える。だが、私の目を釘付けにしたのは、その女の「格好」だった。
真の夜だというのに、女は代遅れののアクリルニットのカーディガンを着ていた。くすんだエンジ。のポケットのフチが、しだけ解れて糸がている。
(あのカーディガン……!)
息が止まりそうになった。見違えるはずがない。認症がする、義母が肌寒い季節に決まって羽織っていた、あのカーディガンだ。私が何度も洗濯し、破れた箇所を縫い直そうとして「触るな!」と鳴られた、あのだった。
女はレジや棚には目もくれず、直線に奥のATMへと向かった。
私は雑誌を持つにギュッと力を込め、物から女の背をい入るように見つめた。
午07分。
女はバッグから慣れた作で冊の通帳とカードを取りし、ATMの挿入に入れた。
画面を操作する女のき。
その、女がをふっと持ちげ、自分の首のろを指先でポリポリと擦った。首の側、きなホクロがあるあたりを、決まって回指で撫でる仕。
さらに、テンキーを押すためにしを移させた際、をひきずるように歩引いた。
「……ッ!」
私はをで覆った。鳴が漏れそうだった。
首のろを擦る癖。を引きずる歩き方。
そして、あのエンジのカーディガン。
それは、私が7、毎毎イヤというほど向きい、介護し続けた義母・坂本子の「全く同じ体の癖」
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