"亡き義母の口座を洗う女" 第8話
第章:追跡と接触
次の曜。私はパートの休みを取り、夕方からを始した。
雅志には「体調が悪いからめに休む」と伝え、自分の部に鍵をかけた。雅志がリビングでテレビを見ている隙に、勝から静かにへ抜けす。
今夜、あの「女」と直接会う。
組織『株式会社再』に雇われ、義母の「役」を演じている傀儡(キャスト)。雅志から証拠を固めるだけでなく、現の証言を得る必があった。
夜1140分。私は国沿いのセブンイレブンの向かい、灯のに潜んだ。
8終わりの夜はぬるく、肌にまとわりつく。元のスマホの画面には、これまで集めた音声データと契約の写真が保されていた。
05分。
の向こうから、の女が歩いてくるのが見えた。
違いない。エンジのアクリルカーディガン。首のろのきなホクロ。そして、をわずかに引きずる独特の歩。
女は迷いのない取りでコンビニに入り、わずか2分、ATMで現をろしててきた。
女が国を渡り、宅の暗いへと入っていく。
私は音を殺し、距を保ちながらを追った。灯が途切れ、宅の塀のが濃くなる裏。
「待ちなさい」
私が静かに声をかけると、女の肩がきくねがった。
女は振り返り、脱兎の如く逃げそうとした。だが、私は7の介護で鍛えられた腕で、女のカーディガンの袖をく掴み、暗がりへ引きずり込んだ。
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「放して! なになに!? 警察!?」
女が鳴をげる。灯のので見た女の顔は、化粧の塗りが荒く、目元にい隈が刻まれていた。30代半に見えるが、精神に追い詰められた者の独特の焦燥が漂っている。
「警察じゃないわ。……あなた、坂本子の名義でいくらもらっているの?」
その名をした瞬、女の顔からサッと血の気が引いた。
「な、なんのこと……私、ただの通りすがりで……」
「そのカーディガン。その首のホクロ。を引きずる歩き方。そして、指のの指輪」
私はややかな声で追い詰めた。
「それ、全部私が7介護して、3に葬した義母・坂本子のものよ。あなたが今ろしたおも、んだ義母の座からたものね」
女はガタガタと震えだし、壁に背を打ち付けた。
「違っ……私は、頼まれただけ……っ! 派遣されただけなんです!」
「誰に頼まれたの? 株式会社再? それとも、坂本雅志?」
「再です! バイトのアプリで……『提示されたマニュアル通りに指定のATMでカードを使うだけの簡単な仕事』って……!」
女はパニックになり、堰を切ったように喋りした。
「週に回、1回5,000円の当がるんです! 渡されたを着て、ホクロのシールを貼って、歩き方と癖のビデオを見せられて『この通りにけ』って指示されて……! 座がきていることをシステムに認識させるための『フラグ維持』だって……」
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「……フラグ」
「私だけじゃないんです!」
女は泣きしそうな声で叫んだ。
「あの会社には、んだ老の名義が何百個もあるんです! 親族が借やのために売った『者の名義』が! 私はそのの『坂本子役』を任されただけで……!」
「親族が売った……」
「そうです! 坂本子名義の元データと遺品を会社に売ったのは、あのの息子だって聞きました! 毎マージンを受け取って、んだ母親をゾンビみたいに働かせてるのは、あんたの旦でしょ!?」
暗のに、女の叫びが虚しく響いた。
やっぱりそうだった。
雅志は単に座を貸しただけではない。義母の体データ、類、遺品、そして『きている振り』をさせるシステム全般を組織に売却し、定期収入を得ていたのだ。
「……きなさい」
私は女の首をした。
「え……?」
「警察には、私が直接通報する。あなたもすぐに警察へきなさい。自首した方がのためよ」
女は怯えた目で私を瞬見つめると、脱ぎ捨てたようにカーディガンをに落とし、夜ののへ逃げっていった。
アスファルトのに残された、エンジのカーディガン。
私はそれを拾いげ、丁寧に畳んだ。
義母がきている、何度も私が洗った。
「お義母さん……ごめんなさいね。あんな奴を息子に育ててしまって。でも、もうすぐ終わらせるから」
カーディガンを抱きしめ、私は自宅へとをめた。
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