みかん小説
本棚

"娘の十七万円を愛人に貢いだ夫の末路" 第7話

夫は、私の線を無して、テキパキとスーツを脱ぎ、部着への着替えを続けている。

が偉くなるというのは、こういう雑務が増えるもんなんだ。責任あるポストだからな」

夫は、背を向けたまま、いかにも自分はな仕事をしているのだと言わんばかりに答えた。

「それに、最は会社の業績も厳しくてな。張経費も幅に減らされて、りない分の宿泊費や交通費は、実質自腹になってしまうんだ」

夫は、ため息をつきながら、苦労をアピールした。

「まあ、世景気だもの。会社も厳しいのは仕方ないわね」

私は、夫の言葉を鵜呑みにし、同するように言った。

「でも、自腹の張がこれだけ続くと、さすがに計の貯を切り崩すことにもなるわ。このままじゃだし、私もスーパーのパートにでもて、しでも働かないといけないかとうんだけれど……」

私は、計のしになればとい、恐る恐る提案してみた。

私のその提案に、夫の反応は予のものだった。

「ああ、そうだな。そうしてくれると助かる」

夫は、振り返りもせず、あっさりとそう言うと、私に夕飯の支度を急かすようにで払う仕をした。

そして、夫はそのまま蔵庫からビールを取りすために、台所の方へと向かっていった。

私は、ポツンとリビングに取り残され、狐につままれたような気分だった。

広告

「女は専業主婦として、にいてを守るのが当たりだ」と、結婚以来ずっと言い続けてきた、あの亭主関だった夫。

その夫が、私がてパートで働くことを、こんなにもあっさりと承したのは、私にとってし、いや、かなりなことだった。

夫のプライドが許さないとっていたからだ。

私は、台所の方向を見つめた。

ひょっとして、夫もそれだけ計が逼迫した状況になりつつあるのだろうと、刻にじているのかもしれない。

私は、事態の刻さを自分なりに解釈し、自分を納得させた。

そうして、私はしでも計を助けるために、所のスーパーのレジ打ちのパートを急いで探し、働き始めたのだった。

慣れないち仕事は変だったが、私は族のために必で働いた。

ところが、そのの夫の様子や言に、どうしても矛盾をじるきな来事が起きたのである。

それは、娘のりりかがのことだった。

の片付けをしている、娘が真剣な顔つきで私と夫のに座った。

「実はお父さん、お母さん。私、のうちにに留学したいとってるの」

娘は、緊張した面持ちで、しかしはっきりとした調でそう切りした。

「お母さんが、さい頃からいつも私に言ってくれてたでしょ。これからの代は英語が絶対にになるって。

広告

世界で通用するスキルを持つことの切さを、ずっと教えてくれたよね」

娘は、私の目を見て、真摯に語った。

「だから、そのお母さんから教わった英語をかして、もっと広い世界を自分の目で見て、経験してみたいんだ。お願い!」

ある、娘が私たちに向かって、突然の留学の話を持ちしてきたのだ。

私は、元英語教師としてのびと、母親としての配で胸がいっぱいになった。

元教師の私としては、娘が私の教えを受け継ぎ、英語を切だとってくれたのは、の底から嬉しかった。

それに、若い頃の留学なんて、違いなく彼女のにとっての財産になる経験だ。

できることなら、親として非ともかせてやりたい、を応援してやりたいとった。

しかし、現実は厳しい。

私は、すぐにソロバンを弾いた。

の今の苦しい計の状況では、額の費用がかかる留学は、どう考えてもに難しいことは分かっていた。

それに、何よりもあの夫のがある。

そもそも、「女に学問はだ」という昭の凝り固まった価値観を持つ夫が、「女が留学にくなんて、言語断、もってのほかだ!」と、鳴り散らして猛反対するに違いない。

私は、夫の反応を像し、半ば娘のを諦めかけていたのだが。

「……いいんじゃないか」

沈黙を破った夫のからたのは、予を全く裏切る言葉だった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: