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"千五百円の仕送りと暴かれた嘘" 第5話

その目は、らかに「すべてはおの教育が悪いのだ」と告げていた。

登美ので、何かが音をてて千切れた。 買いしの荷物をに置いた登美は、無識のうちに歩みて、リリカの斜めちはだかっていた。

「ちょっと……私が悪いって言うの?」 登美の声は静かだったが、底れぬ気が孕まれていた。 「体、私だってリリカの方だわ。のお遣いとして、百円なんてらかになすぎるもの。お友達付きいだってあるし、教材の予備費だって必頃よ。それを全部『無駄遣い』の言で片付けるなんて、あまりに横暴じゃない!」

これまで沈黙を守ってきた登美の確な加勢に、リリカの張っていた表が驚きに見かれ、微かに崩れた。 対して、直太の顔は屈辱とりで真っ赤に染めげられた。

「うるさい!」 直太は首筋に青筋を浮かべ、登美を激しい勢いで指さした。 「おのその甘やかし方がすべての元凶なんだよ! どいつもこいつも、稼ぎの俺に向かって反抗してきやがって! リリカが気になったのは、全部おの教育がなっていないからだ! 罰として、お夕飯禁止だ!」

吐き捨てた直太は、を踏み鳴らしながらリビングをくと、ドアを蝶番が壊れんばかりの勢いで叩きつけて閉めた。ドン、という暴力音が廊に響き渡り、やがて奥の自の鍵がガチャリと閉まる音がした。

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静まり返ったリビングで、リリカが震える声で呟いた。 「お母さん……ありがとう。私の方をしてくれて」 登美が振り返ると、娘の瞳には謝のとともに、父親に対するい絶望と寂しさが滲んでいた。 「リリカ……辛かったわね。あなたの気持ちはよく分かっているわ」 登美は娘の華奢な肩を抱き寄せた。 「お父さんはやりすぎよ。このだって、あなたに本格な英語力をつけさせたくて、民のスクールに通わせたいって相談したのよ。そうしたら何て言ったとう? 『授業料が無駄だ。勉はおが教えればタダですむ』ですって」 「何それ……ひどい」 「挙句の果てには、『そのために元英語教師のおと結婚してやったんだぞ』って……そう言われたわ」

登美がい溜息をつくと、今度はリリカが登美のを両で包み込んでくれた。 「お母さん……ごめんね。私のせいで、お母さんまであんなこと言われて」 「いいのよ。あなたが謝ることなんて何つないわ」

娘の温かなのひらに触れながら、登美は「この子がいてくれて本当によかった」とからった。 しかし同に、胸の奥には暗のようなち込めていた。 夫のには、男児がまれなかったことへの失望と怨嗟が、何経っても澱のように沈んでいる。「女はいずれに嫁ぐのだから、度な教育も教養も必ない」

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という歪んだ男尊女卑のは、もはや矯正のしようがないほど凝り固まっていた。 この男がいる限り、リリカの未来は狭く、暗い檻のに閉じ込められてしまうのではないか。登美のは、を追うごとに濃くなっていった。

庭内のえ切った空気が常化する、登美の胸にあるたな疑が芽え始めていた。 ここ数ヶ、直太の「張」の回数が異常なまでに激増していたのである。

「来週から、また張が入ったから。曜から曜までを空ける」 あるの夜、帰宅した直太は玄関で革靴を脱ぎながら、ネクタイを乱暴に緩めてそう告げた。 廊迎えた登美は、夫の横顔をじっと見つめた。 「……本当にいわね、最。先週も阪にっていたばかりじゃないの」 登美の懸を含んだ言葉に対し、直太は表つ変えず、スーツの着をハンガーにかけながらに応じた。 「役職ががれば、方の支社やを運ぶ会が増えるのは当然だろう。それに、昨今の景気で会社全体の張経費が幅に削減されてな。幹線代も宿泊費も、規定を超えた分は全部自腹でて替えなきゃならんのだ」 「自腹……? 会社の業務なのに?」 「仕方ないだろう、そういう代なんだから」

直太は淡々と言い放ち、ワイシャツのボタンをしながらリビングへと歩をめた。

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