"千五百円の仕送りと暴かれた嘘" 第14話
「これで、すべて終わりよ。財産分与と慰謝料、そしてリリカから盗み取った仕送りの全額返還については、弁護士を通じてきっちり請求させてもらうわ。今すぐ、の回りのものだけを持ってこのからてって」
背を丸め、うようにして玄関へと向かう直太の姿に、かつての威厳は欠片も残っていなかった。
婚届が正式に受理された、元夫・直太を待ち受けていた運命は、れというほかない惨なものだった。
登美という妻を失い、完全に独りとなった直太は、何をトチ狂ったのか、「俺にはもう彼女しかいない」「でこれほどした女はいない」と自分に言い聞かせ、その勢いのまま倫相の部女性のもとへ向かったらしい。 直太は料の全額を注ぎ込んで購入した婚約指輪をに、社のカフェでその女性に堂々とプロポーズをしたのだという。
だが、返ってきたのは、直太の甘い妄を々に砕する酷な現実だった。 「は……? 結婚? 何言ってるんですか、気持ち悪い」 女性は指輪を瞥もせず、底からの侮蔑を込めて吐き捨てたという。 女性にとって、直太は単に「ねだれば価なブランド品や級ホテルをホイホイ買い与えてくれる、都のいいづる」に過ぎなかったのだ。女性には最初から、同世代のちゃんとした本命の彼氏がしていた。
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さらに女性は、直太が婚して退を断ったことをるや否や、即座に会社の事部とコンプライアンス委員会へ駆け込んだ。 「司というを利用され、執拗に交際を迫られ、断りきれずにハラスメントを受けていました。婚したから結婚しろと付きまとわれていて、の危険をじています」 を利用した優越位の濫用、パワーハラスメント、そしてセクシャルハラスメント。女性は被害者としてのポジションを完璧に確保し、会社に対して直太の処分を求めたのである。
社内の会議に呼びされ、事実を突きつけられた直太は、完全に逆した。 「嘘をつくな! おも好きだって言っただろうが! 今まで俺がおにいくら貢いできたとっているんだ! を返せ! 俺のを今すぐ全額返せぇッ!」 理性を失った直太は、オフィスフロアで声をげて暴れ回り、女性に掴みかかろうとしたところを、駆けつけた複数の男性社員たちに取り押さえられた。警察に通報され、パトカーで連されるという、最悪の警察汰となった。
警察からストーカー規制法に基づく接禁止命令がされ、企業におけるコンプライアンス違反の性から、直太は懲戒解雇の処分をされた。 退職は幅に減額され、その半も登美への慰謝料とリリカへの返還、そして弁護士費用へと消えていった。
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社会位を失い、を失い、族を失い、むすら失った直太は、かつてのたちとも完全に連絡を絶ち、そのの消息は杳としてれない。の噂では、雇いの現を転々としながら、アパートで孤独に暮らしているとも言われているが、登美にとってはどうでもいいことだった。
それから、のが流れた。
登美のむアパートのリビングには、柔らかい朝のがり注いでいた。 直太と暮らしていた郊の軒は売却され、宅ローンの残債を精算した残りの資と、元夫から回収した慰謝料を元に、登美は駅からほどい当たりの良いコンロの部で、気ままなシングルライフを送っていた。 スーパーのパートは継続していたが、今ではチーフに昇格し、職の仲たちと笑いいながら、自分のペースで充実した々を過ごしている。直太から取り戻したおと、パートで蓄えた資は、毎きっちりと、今度こそ正規の満額でリリカのアメリカの座へと送され続けた。
リリカはその、見事に現のを優秀な成績で卒業した。 登美の送と、リリカ自の努力による返還の奨学を獲得し、カリフォルニア州の難関学へと学。報学とビジネスを専攻したリリカは、学学から角を現し、卒業と同にシリコンバレーに本社を置く世界なIT企業へと現採用で就職を果たしたのである。
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