"四十二歳の妊婦を捨てた機長と二十年後の息子" 第6話
「なんだよ、これ」
私は彼の顔を真っ直ぐに見て言った。
「説して。結ちゃんとホテルに入るところが、こんなにはっきり映ってるのに」
翔は瞬、言葉を失ったように見えた。
しかし次の瞬、彼は肩をすくめ、馬鹿にしたように笑う。
「お、わざわざ探偵なんて雇ったのか?そんなに嫉妬いババアになったのかよ」
私は彼の信じられない態度に、声を震わせた。
「嫉妬い?そうじゃない。あなたが私を裏切っていたからよ」
翔は悪びれる様子もなく、反論した。
「は?裏切り?何言ってんだよ。おだって気づいてただろ。もう終わってたんだよ、俺たちは」
翔は肩をすくめながら、まるで当然のことのように言い放った。
この期に及んで、罪悪すらないのか。
何も緒にいた私たちの関係を、こんなにもあっさりと「終わった」と言えるなんて。
私はりで声が震えた。
「終わってた?」
翔は私を見し、酷に言った。
「そうだよ。おはババアになったし、もう女じゃねえよ」
が真っになる。
臓がギリギリと締めつけられるような、い痛みをじた。
私は彼を睨みつけた。
「それ、本気で言ってるの?」
翔はら笑いを浮かべて答えた。
「当たりだろ。若い女の方がいいに決まってるだろ」
「は?」
翔はテーブルをく叩きながらニヤニヤと笑い、まるで勝ち誇ったような表で私を見ろす。
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「俺がいつまでもおみたいなババアといるとった?馬鹿じゃねえの」
さらに彼は、私のお腹を指差して残酷な言葉を吐いた。
「それに、勝に産むんだから自分で育てろよ」
私はを疑った。
「何それ?」
翔はたく言い放った。
「おが1で欲しがったんだろ?俺は別に頼んでねえし。俺は結としいを始めるからさ、おは好きにしろ」
そう言うと、翔はスーツのポケットから用していた婚届を取りし、私の目のに放り投げた。
「ババアなんか婚。もういらねえよ」
私は目のに落ちたを見つめ、尋ねた。
「もしかして、結と結婚するの?」
翔は得げに頷いた。
「ああ、そうだよ。若くてくて、俺にベタ惚れの女と結婚するんだよ」
翔はで笑い、婚届の隣に、慰謝料の額がかれたと封筒を置いた。
「これが慰謝料」
私はそれをに取り、額を見た瞬、屈辱で唇を噛みしめた。
たったこれっぽっちの額。
翔は私を見て言った。
「そうだ。文句あるか?」
私は封筒を指で押し返し、彼を睨んだ。
「なすぎる」
私は静かに、しかしはっきりと伝えた。
「こんな額で、15の結婚活も、私が耐えてきた苦しみも、全て帳消しにできるとでもっているのだろうか」
翔は面倒くさそうにを振った。
「ババアにやるなんてねえよ。それに養育費も払う気ねえな」
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私はお腹を守るようにを当てた。
「あなたの子供なのよ」
翔は全く悪びれずに言った。
「だから何?俺は結との活があるし、邪魔したくないんだわ」
呆れ果てた。
翔のからる言葉は、全てが最なものばかりだ。
このは本当に、私がした夫だったのか。
妊治療を支えうと言いながら、私が泣いた夜も、苦しんだ々も、全部無駄だったのだろうか。
私は彼への未練を完全に断ち切った。
「そう」
私は婚届を見つめ、く息を吸い込む。
そして、ペンをに取った。
「分かったわ。婚しましょう」
翔は満げにソファーに背を預けた。
「はっ、物分かりが良くて助かるわ」
私は震えるでお腹を優しく撫でた。
私ので、確かな決が固まった。
「丈夫。ママが守るから。この子を、私が全力で守る。たとえ翔が捨てたとしても、私は絶対に負けない」
私はちがり、翔を見ろした。
「でも、あなたは悔するわ」
翔は私をで笑った。
「はっ?」
私は静かに、予言のように言った。
「いつか必ずね」
翔は見したように笑い、私から目を逸らした。
でも、私はこのをちることを決めた。
翔がどうなろうと、もう関係ない。
私は息子のためにくきる。
そして、翔がどれだけ惨めな末を迎えようとも、私は絶対に振り返らない。
翌、私は結に会いにった。
結は空港くのカフェのテラス席で、涼しい顔をして座っていた。
私がづいて声をかけると、彼女は悪びれる様子もなく顔をげた。
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