"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第3話
ドアが々しい音をてて閉まり、オートロックの鍵がかかる音が響く。
私は10の活を過ごした所から、完全に締めされた。
もう度と、あの部に戻ることはできない。
私は傘も差さないまま、駅の方向へ向かってゆっくりと歩きした。
ののブリキ箱だけが、異様なほどのさを持ってじられる。
く当てはない。
頼れるもいない。
それでも私は、父が残したあのメモの所へ向かうことだけをに決めていた。
の夜の気が、い喪を通して肌を刺す。
私はたさに肩を震わせながら、駅のネオンが滲む通りを歩き続けた。
分ほど歩いたところで、古びたビジネスホテルの板が目に入った。
私は迷う余裕もなく、ホテルのガラス扉を押しけてフロントへ向かった。
カウンター越しにスタッフへ声をかけ、空があるか尋ねる。
幸いにも空があり、私は番いシングルルームの鍵を受け取った。
暗い廊を歩き、指定された狭い部のに入る。
私は濡れた着を脱ぎ、壁のハンガーにそっとかけた。
のスイッチを入れ、ベッドの端に静かに腰をろす。
静寂に包まれた部ので、私は自分の提げ鞄を取りした。
鞄のをけ、に入っている財布のを確認する。
現は3万円と、しの銭だけだった。
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結婚していた、私が持たされていたクレジットカードは、志名義の族カードだった。
それを持ってきたところで、彼に利用細を見られるのは目に見えている。
すぐにカードを止められることもわかっていた。
だから私は、をるにリビングのテーブルにそのカードを置いてきたのだ。
今、私の元にあるのは、このわずかな現と自分の携帯話だけだった。
私はく息を吐きし、提げ鞄のからもう1つのものを取りした。
父が最期に残した、錆びついた物のブリキ箱だ。
私はそれをベッドのにそっと置き、緒に渡されたさなメモ用をいた。
そこには、父の震える字で方の所がかれていた。
私はその文字を指先でなぞりながら、父の姿をい返した。
父は、油まみれの作業着を着て、さな町で黙々と働く職だった。
私が幼い頃に母をくしてから、父は男つで私を育ててくれた。
休にどこかへ遊びにくような経済な余裕はなかった。
それでも、父はいつも私のことを番に考えてしてくれていた。
その実直な父が、の際になって内縁の妻と娘がいると告げたのだ。
しかも、そのしい族にこのブリキ箱を届けて欲しいという。
真面目で嘘がつけない父のからた言葉とは、到底えなかった。
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何か、私には計りれない事があるに違いない。
私は携帯話を取りし、図の検索画面をいた。
検索窓に、メモにかれたの所を正確に入力し、検索ボタンを押す。
画面が切り替わり、目周辺の図が表示された。
それを見た瞬、私はわず画面に顔をづけた。
表示された所は、駅からくれた部だった。
しかし、私が像していたような田舎の集落や、古い民が並ぶ所ではない。
を切りいたような広なが、図で自然に区切られている。
周囲には何もないのに、その角だけが巨なの敷として表示されていた。
私は指で画面を操作し、図を何度も拡してみた。
しかし、建物名や施設名は切表示されない。
ただの空帯として扱われているかのように、詳しい報が完全に隠されているのだ。
私は画面を見つめたまま、わず声にしていた。
「これは、体どういうことなの?」
私の呟きは、狭い部のに虚しく響くだけだった。
父の内縁の妻は、こんな図にも載らないような所で暮らしているのだろうか。
それとも、父の記憶がの際で混乱し、違った所をいてしまったのだろうか。
疑問は次々と湧いてくるが、ここでで考えていても答えはない。
私にはもう、帰るがない。
頼れる友も、相談できる親戚もいなかった。
志に全てを管理され、社会から孤させられていたことに、今更ながら気づかされる。
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