"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第11話
掛かりな設備も優秀な助も持たず、油まみれので鉛を握りながら。
どれほどの孤独と、どれほどのい志が、彼を支えていたのだろう。
「このデータがあれば、グループの技術は世界の頂点にちます」
京子さんが帳を閉じ、私に向かってくをげた。
「お父様は自分の命がくないことを悟り、この最の財産をあなたに託したのです」
彼女は顔をげ、私を見た。
「あなたがオーナーとしてこのグループを率いる、誰も文句を言えない絶対な実績として」
私はテーブルののブリキ箱と、その横に置かれた帳を見つめた。
志が汚いゴミと呼び、私と共にから放りしたもの。
それは、才な脳を持った父が命を削って完成させた、数千億円の価値を持つ技術だったのだ。
志の酷な声が、私の脳裏に蘇る。
『隠し子だと?おの親父は貧乏なに、倫理観もない底辺のだったのか』
あいつは級スーツを着て、社の娘と再婚することで、自分が偉くなったとい込んでいる。
目に見える肩きや表面な見栄だけでしか、の価値を測れない。
だから、真の偉さやいの形に気づくことなど、できないのだ。
私ので対する抹の恐れや、妻としての罪悪は完全に消えった。
代わりにまれたのは、極の氷のようにたく静かなりだった。
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あいつは父の尊厳を踏みにじり、私のをゴミのように捨てた。
私は無識のうちに、両をく握りしめていた。
「希さん、どうかされましたか?」
京子さんが私の表の変化に気づいて声をかけてきた。
私は顔をげ、彼女の静な瞳を真っ直ぐに見つめ返した。
「京子さん、私をから追いした元夫の勤務先は、京にある堅の通信設備会社です」
私が志の会社名をにすると、京子さんの眉がわずかにいた。
「その会社なら、よくっています」
京子さんは即答した。
「がグループの通信インフラ事業部が、部の施を委託している請け企業の1つです」
その言葉を聞いて、私は自分のを疑うと同に、たい笑みがこぼれそうになるのを必に抑えた。
志が誇っていたエリートとしての位。
私を寄虫だと見し、自分が世界を回しているかのように振るっていたその基盤。
それは全て、私の父が築きげ、今私が頂点にっているこのグループからの発注によって成りっていたのだ。
「彼はいうちに、うちの社の娘と結婚して次期社になると言っていました」
私が静かに告げると、京子さんは元のタブレット端末を素く操作し始めた。
画面には、暁グループの巨な組織図と取引先のリストが表示されている。
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「その会社からの報告では、来週、当グループの本部とので来期に向けた型契約の更交渉が予定されています」
京子さんが画面を見つめながら、淡々とした声で読みげた。
「交渉の窓として登録されている営業部の名は志……お違いありませんか?」
「はい。違いありません」
私ははっきりと答えた。
彼らは、自分たちの殺与奪の権を握る絶対なオーナーが誰であるかをらない。
底辺の女だと嘲笑して追いした私が、この巨グループの頂点で彼らを待ち受けていることなど、像もしていないだろう。
私はテーブルのに置かれた黄の鍵を、に静かに握り込んだ。
属のたい触が、私のの決をさらに固なものにしていく。
「京子さん、オーナーとしての最初の仕事をお願いできますか?」
「何なりとお申し付けください」
京子さんは居ずまいを正し、私に向かってく頷いた。
私は窓のに広がる巨な敷を見ろし、静かに指示をした。
「彼の勤める会社の財務状況と、これまでの取引履歴の全てを極秘に監査してください」
父の偉な功績を汚し、私を虐げてきた男を、私は決して許さない。
任せに鳴るのではなく、逃げのない完全な事実と証拠によって、彼が誇るっぺらい世界を砕する。
私のので、反撃のための歯が確実に回り始めていた。
翌朝、私は総本部ビルの最階にあるオーナー専用にいた。
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