"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第13話
しかしその裏で、彼は私の父が育てたグループの資を盗みし、罪のない々をい物にしていたのだ。
自分はのを正に掠め取りながら、私を見し、最はゴミのようにから捨てた。
その欲と勝さに、吐き気すら覚えた。
同に、この男には何の同の余もないという酷な事実が、私ので完全に確定した。
「田部、この正の全容を完全に裏付ける証拠を集めることはできますか?」
私が静かに、しかしい志を込めて問いかけると、田部は自信に満ちた表で頷いた。
「もちろんです。当グループには、審な取引先の座報を融関に照会する、契約のい権限があります」
田部は胸を張った。
「徹底に洗えば、ダミー会社からの裏の流れや、個の座の着履歴も全て特定できます」
しかし、と田部はしトーンを落とした。
「ただ、それをうには、オーナーによる正式な特別監査の承認が必となります」
彼はそう言って、1枚の分い決裁類を私に差しした。
類の表題には、『特定取引先に対する特別監査及び座照会実施承認』と記されている。
私はテーブルのにあった、オーナー専用の黄の万をに取った。
この類にサインをすれば、志の会社に対する容赦のない徹底調査が正式に始まる。
広告
彼の嘘にまみれたの全てがのにさらされ、逃げは完全に塞がれる。
もう戻りはできないし、するつもりもなかった。
私は迷うことなく、承認の決裁欄に自分の名をき込んだ。
そして、引きしに用されていたしい代表印を取りし、力く朱肉を押した。
類に赤い印が押された瞬、志を社会から抹殺するための巨な歯が、々しい音をてて回り始めた。
「承認しました。直ちに特別チームを編成し、裏付け調査に入ってください」
「かしこまりました。来週の契約交渉のまでに、言い逃れできない完璧な証拠を揃えます」
田部は類をうやうやしく受け取り、々とをげて部を退していった。
ドアが閉まると、京子さんが茶を私の元へそっと置いた。
「希様、堂々とした素らしいご決断でした」
「ありがとうございます。でも、まだ始まりに過ぎません」
私は茶のカップを両で包み込み、窓のの景を見つめた。
来週、志は次期社の座を確信し、気揚々とこの所へ乗り込んでくる。
彼は自分を迎える巨グループのオーナーが、底辺だと嘲笑した元妻だとはにもっていないだろう。
私は彼が最もくいがった瞬に、そのっぺらい羽を完全に叩き折る。
父の残してくれた力と証拠を使い、彼が奪い取ってきたものを全て吐きさせるのだ。
広告
静かな部ので、私のしい計の針が、対決のに向かって酷にを刻み続けていた。
特別監査の承認にサインをしてから、5が経過した。
私は総本部ビルの最階にあるオーナーで、グループの膨な資料を読み込む々を送っていた。
京子さんの丁寧な指導のおかげで、当初は暗号のように見えていた経営の数字が、しずつ理解できるようになってきた。
私が父から受け継いだものは、権力という名に隠れたい責任だ。
何千もの社員とその族の活が、私の判断1つにかかっている。
その事実をにすると、かつて事だけを押し付けられていた頃の無力は、完全に過のものとなっていた。
午1を回った頃、静かなノックの音が部に響いた。
「希様、田部が最終な監査報告をお持ちしました」
京子さんに促され、監査部の田部が入してくる。
彼の表は数よりもさらにく、抱えている黒いファイルにはただならぬ緊張が漂っていた。
「お待たせいたしました。特定取引先である京の通信設備会社について、全ての裏付け調査が完しました」
田部はデスクのにみると、分いファイルを私の目のにいた。
「結論から申しげます。営業部である志による正は、私たちの像を遥かに超える悪質なものでした」
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
午前五時の朝餉
母・加奈子を理不尽に追い出して七日目の朝。二重ロックで施錠されたはずの台所で、炊飯器のランプが黄色く灯っていた。「保温:28分」。蓋を開けると、湯気を立てる筍ご飯と、包丁立てから消えた一番重い三徳包丁。電源を抜いても、暗証番号を変えても、毎朝午前五時に届き続ける温かい米。やがて米の底から現れた“ある金属片”を境に、父と祖母の顔から血の気が引いていく。母はどこから入り、この家で何を見つめているのか。因果応報|嫁姑|真実|修羅場1.8万字5 0 -
完結第11話
亡き義母の口座を洗う女
3年前に7年間の壮絶な介護の末に他界し、この手で骨壺に納めたはずの義母。だが解約し忘れていた古い通帳を繰り越すと、死後も毎月「生前給与」が振り込まれ、毎週水曜の深夜に即座に引き出されていた。深夜のコンビニで張り込んだ私が見たのは、義母の服を着て義母と全く同じ体の癖を持つ見知らぬ女。死者は生きているのか。真実を追う私は、隣で眠る夫が隠していた、狂気と冷酷に満ちた「生前名義ビジネス」の底なし沼へと引きずり込まれていく。ミステリー|嫁姑|夫婦1.6万字5 0