"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第16話
彼の暴言は、私の価値がいからたものではない。
のを横領しなければ成りたない自分のっぺらい虚栄を、私を見すことで必に保っていただけなのだ。
彼がグラスを傾けて祝っているそのエリートのは、私がたった言で吹きばせる砂の楼閣でしかない。
「田部、引き続き法務部と連携して、違約請求の最終準備をめてください」
「かしこまりました。すでに内容証郵便の配は完しております」
田部が退した、京子さんが温かいハーブティーを運んできた。
「希様、午のお迎えについてですが、どのような順になさいますか?」
私はハーブティーのりでを落ち着かせながら、京子さんに指示をした。
「まずは京子さんがで応接にち、彼らを迎えてください」
私はカップを置き、続けた。
「彼らがこの巨グループのトップに対してどのような態度を取るのか。社である郎が志の正をどこまでっているのか見極めたいのです」
京子さんは静かに頷き、元のスケジュール帳にメモをき込んだ。
「承いたしました。特別応接の準備はすでにっております」
彼女はし微笑んだ。
「彼らをお通しする部は、グループの威信を示すために最も豪華な設えにしてあります。
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自分たちが特別なとして歓迎されていると、完全に錯覚するはずです」
私はデスクの引きしをけ、50億円の違約請求が綴じられた黒いファイルにを触れた。
「応接のテーブルには、来客用のソファーのに、番奥に最座の子を1つだけ用しておいてください」
私は京子さんの目を見た。
「彼らが本性を分に表したところで、私がその子へ座ります」
「承いたしました。希様は隣のモニタールームでお待ちいただきます」
私たちは静かに線を交わし、完璧な迎撃の体制を確認した。
午245分。
オーナーの型モニターに、総本部の正面ゲートの映像が映しされた。
数に私がので絶望しながら見げた、あの巨な塞のようなゲートだ。
1台の黒いタクシーが、ゲートのにゆっくりとする。
タクシーの部座席の窓がき、志が警備員に向かって何かを告げているのが見えた。
解像度のカメラは、彼らの表をはっきりと捉えていた。
志は、目のにそびえつい壁と広な敷に、し気圧されているようだった。
しかし彼はすぐにネクタイを締め直し、隣に座る社の郎に向かって自信ありげに頷いてみせた。
『俺の顔パスで通れますよ』とでも言っているかのような、傲な態度だ。
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警備員が訪問者リストを確認し、々しい属のゲートがゆっくりといていく。
タクシーは敷内へ入り、ガラス張りの巨な本社ビルへ向かってみ始めた。
「希様、彼らが敷内に入りました」
京子さんが静かな声で告げた。
「ええ、ついに来ましたね」
私は革張りの子からゆっくりとちがり、自分ののシワを伸ばした。
デスクのに置かれていた黄の鍵をに取り、着の内ポケットにしっかりと納める。
属の確かなみが、私に父の温かいと、オーナーとしてのい覚悟を与えてくれる。
私は50億円の請求と正の証拠が詰まった黒いファイルを、脇にしっかりと抱えた。
「京子さん、応接へ向かいましょう」
「はい。私が先にご案内し、彼らを油断させておきます」
私たちは連れってオーナーをて、特別応接のあるフロアへ向かった。
彼らは今頃、エントランスの美しい理のや、黒の社員たちの然とした迎えを受けているはずだ。
自分たちが巨グループから必とされている選ばれたエリートだという、頂になっているだろう。
彼らはまだらない。
自分たちを待ち受けているのが、輝かしい未来の契約ではなく、完全な破滅の片切符であること。
そして、この絶対な権力の頂点に君臨しているのが、ゴミのように捨てた元妻であるという真実を。
私は応接の隣にある、暗く静かなモニタールームへを踏み入れた。
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