"消えた交換手と鳴らなかった電話" 第7話
枝のに、んだ母を運ぶための毛布が浮かんだ。だが佐久は続けた。翌朝、を返しに来た片桐は、助席にが座っていたと話していた。その物は子をくかぶっていたが、髪は肩まであり、膝のに茶い封筒を抱えていたという。
澄子は翌朝まできていた。なくとも、片桐とに乗る選択をしたように見える。
枝がその話を父へ伝えると、清は受領控えを燃やそうとしていたと打ちけた。母は片桐と逃げた、という疑いを抱いていたからではない。控えを公表すれば、偽の受領印に自分の名が使われたことがられ、仕事を失い、子どもがべていけなくなるとったのだ。
「守ったつもりだった。でも、おたちは母さんを捨てただとって暮らした」
父の懺悔を枝は受け取ったが、許しは言わなかった。真相が父の恐怖を説しても、母からの話を待つ娘ので加入権を放した事実は消えない。
仙台の元記者を訪ねるまで、枝は母が聞へ告発したという事実をらなかった。役に届けた苦は担当者の机で止められる。町のにいるへ話せば、片桐の言い分だけで終わらない。母が町へた理由は、男との待ちわせよりずっと具体だった。
元記者は、資料が届いたときの封筒をまだ保していた。
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消印と宛名は読めるが、差の欄には名がなく、い部分が残っている。に入っていたメモには、報するに相談したいがあるとかれていた。枝は跡から母のものだと判断したが、署名がない以、に示すときは《澄子がいたとわれる》と述べるようにした。
「相談したい」のつは、当の町議のだった。町議は役の予算を審議するで、燃料と親類関係はない。枝が訪ねたとき町議はすでにくなっていたが、妻は澄子から届いた留の控えを見せた。町議は調査の始を求めるつもりで、翌の議会へ資料を持っていった。しかし会議で扱われたのはによるの維持費だけで、灯油の件は議題にならなかった。
妻によれば、町議が資料をそうとした朝、片桐が自宅へ来た。偽の受領印に清の名があるから、表へせば澄子のまで調べられると言ったという。町議は実際に清へ会いにったが、清は内容を確かめるに関与を否定し、もう訪ねてくるなとった。澄子と清が対しているとった町議は、本たちの解なしに提するのをためらった。
枝は町議の判断に苛った。だが彼が資料を捨てなかったおかげで、妻の元には印の複写が残った。を並べると母のきにない軒目の所があり、その所だけが何も《配達止》と《配達済み》を繰り返していた。
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帳簿をき換えたが本当に欲しかったのは、軒から取るだけだったのか。枝は初めて、配送の帳簿が別の支払いを覆うためにも使われた能性を考えた。
そのは空きではなく、町の側にあるさな集会所だった。の夜、齢者がストーブを囲む所で、灯油は寄付で賄われていた。片桐は町の補助費でも同じ灯油を購入したように申請し、に支払いを受けていた。会計担当をしていた女性は、町と寄付者のどちらからがているからず、自分たちの善が帳簿の隠れ蓑に使われたことを悔やんだ。
枝の名を記した話帳を閉じ、元記者は「当は軒の話から始まった。ここまでつながるとはわなかった」と言った。枝は、母も最初から全体をっていたわけではないと気づいた。疑いが増えるたびに向き、聞き直し、の数字との声を照らした。その順をなぞることが、母の考えにづくだった。
枝は空きから帰ったあと、町内会の古い回覧簿を借りた。燃料の配達記録と並べると、灯油がりなかったはい集落に集していた。から役へ直接話できず、苦を伝えるためを歩かなければならないばかりである。がければ歩くことさえできず、つの集落で声をげても、別の集落に同じことが起きたとはらなかった。
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