"消えた交換手と鳴らなかった電話" 第9話
美鈴は俊がくなるにいた封筒を持ってきた。表には《佐藤さんへ》、には鍵と、い謝罪がある。俊は澄子がへ話しようとしたことをっており、兄の指示でそれを妨げた、といていた。だが具体な方法には触れず、《あとで補償しようとしても取り返しがつかなかった》と続く。枝は直接の自として決めつけず、鍵や当の修理記録と緒に保管した。
さらに俊は、澄子を庄の宿へ運んだあと、片桐兄から「荷物だけ取ってこい」と言われたと記している。兄が欲しがったのは茶い封筒だった。俊は宿へき、澄子が用した聞社宛ての封筒を見つけたが、持ちらなかった。その代わり帰って兄に「もう燃やされた」と嘘をついた。兄に従った為と、初めて逆らった為が、同じ数のにあった。
枝は封筒を読む途、美鈴に度確かめた。故のをそのまま公にしていいのか。美鈴は、夫に代わって許しを求めるつもりはないが、を見せなければ枝がいつまでも切れた話のでを止めるとった、と答えた。枝は「読ませてくれてありがとうございます」とだけ返した。
帰りの列で、枝は良太へ話した。母を助けたが、同に話を切ったかもしれない。話が難しくなってきたと告げると、良太は「簡単なほうが怖いよ。
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誰かを悪者にしたら、父さんも母さんも話さなくて済む」と言った。弟は母の帰りを諦めていたように見えたが、姉とは別の形で族の沈黙を見つめていた。
聞社の元記者が貸してくれた帳には、取材を止めた理由も細かくかれていた。編集は、匿名の控えだけでは燃料に反論されると判断した。原簿を確認しに町役へ話すると、片桐自がて「くなったのを違えていた事務の誤り」と説したという。それでも同じ違いが何度も続いているのに、なぜ誰も調べなかったのか。元記者は、戦えるだけの証拠を集めるに別の支局へ異になったことを悔やんでいた。
枝は元記者から、聞にできなかった取材メモの写しをもらった。そこには当訪ねた軒のの言葉が残る。灯油が来ないため夜をつの部で過ごしたこと、子どもが邪を引いたこと、役へくため半仕事を休んだこと。帳簿の差額だけでは伝わらない暮らしがあった。
そのうち軒のは今も同じにいた。訪ねた枝に、老は澄子と交換局で話したことをいした。澄子は「必ずつなぎ直します」と言ったあと、自分の休憩に役へを運び、へ届くはずの灯油缶が燃料の倉庫に積まれていると教えたという。
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「お母さんは、話をつないだだけじゃなかったよ。これ以私たちが待たされないように、自分で歩いて確かめてくれた」
枝は母のしたことを聞くのがうれしい反面、自分のらない母を町のがっているのが寂しかった。自分が覚えているのは、夕の鍋や寝るのさな注だけだ。母を派な告発者として語る声に、庭のでには疲れて黙り込んだ澄子の姿も残してほしかった。
片桐の息子は、町で父の正を調べる枝へ話をかけてきた。くなったの名を使って記事をくなら、こちらも反論すると言う。枝は収集した資料を見せるため役の公会議で会うことを提案した。だけで会うのではなく、登美と佐久にも同席してもらった。
息子は父を善だったと信じ、帳簿の偽装も燃料の経理担当が勝にしたと考えていた。しかし佐久の運表には片桐自の文字で配送先の変更が記され、登美の通話メモには本が苦を受けた刻がある。息子は表をくし、もっとをかけて調べたいと言った。枝は期限を週延ばし、その、誰の証言も消さないと約束した。
翌週、片桐の息子は古い与袋を持参した。父の自宅から見つかったもので、燃料から毎現が渡された記録が残っていた。
息子は父をかばうためではなく、自分が資料を隠す側にならないため、警察と町へ提したという。
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