"結婚翌朝の平手打ちと専務剥奪" 第3話
その言を聞いて、私は初めて義母の顔をまっすぐに見つめた。
「いつもと違うですか?」
義母はしだけ目を泳がせた。
「そうよ」
彼女は言い訳のようにでにした。
「嫁として転が利くか試しただけじゃないの」
台所に残してきたあの古いガラス瓶。
ラベルが半分剥がれかけ、賞期限も成分表示も見えない正体の調料。
それを義母は、嫁を試すという勝な目のためだけに私に渡したのだ。
の確認もせずに。
私はエプロンのポケットから自分のスマートフォンを取りした。
志が訝しげな顔をする。
「何をする気だ?」
私は誰の言葉にもを貸さず、画面を数回タップした。
配膳の直、台所で審にい、こっそりと撮しておいた画像がある。
ラベルの剥がれた調料の瓶と、あらかじめ確認しておいた義父の薬の写真だ。
私はそれを、たった言のいメッセージと共に送信した。
『確認して』
送り先は私の父である川敬吾。
全国の級旅館や病院の事施設を回り、監査と指導をう品の専だ。
志が私に向かってを伸ばしてきた。
「こんな状況でスマホなんていじって、本気でがおかしいんじゃないのか!」
私は歩ろへがり、それを避ける。
親族たちは私をややかな目で見つめていた。
事を作ったのに遅刻し、注されて叩かれた途端、逆して卓をひっくり返した最な嫁。
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今の彼らの目には、私がそう映っているはずだ。
弓が吐き捨てるように言った。
「せっかくの事が台無しね。本当にべ物をお粗末にするなんて許せないわ」
私はその言葉を静かに繰り返した。
「べ物を粗末にする」
そして弓の顔をまっすぐに見据えていった。
「命を粗末にするよりはマシです」
その言葉に、部の空気が瞬だけぴたりと止まった。
義父の正郎が初めて声をした。
「命?」
そのは薬を握りしめたまま、わずかに震えている。
志が戸惑いの混じった声で尋ねた。
「どういうだ? 美咲」
志の声から、先ほどまでの激しいりがしだけ消えていた。
私がをくよりもく、広のからバタバタと慌ただしい音がづいてきた。
廊をってきたのは、この黒崎の料亭本で腕を振るう料理の佐だった。
佐は血相を変えて広にび込んできた。
「失礼します!」
彼のただならぬ姿に、全員の線が釘付けになった。
佐の顔は完全に蒼になっていた。
「今朝の調料、体誰がしたんですか!」
佐の声はらかに焦っていた。
息を切らし、広の惨状を見るよりも先に部のを見回している。
なぜ料亭の料理が、こんな朝くに血相を変えて駆け込んできたのか。
親族たちが戸惑う、私は静かに息を吐いた。
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事を止めた私の判断が正しかったことが、これから証される。
夫の志が苛った声で料理の佐を咎めた。
「佐、急に血相を変えてどうしたんだ。親族の朝の席に入るなんて無礼だぞ」
しかし佐は、料亭の専務である志の言葉など全くに入っていないようだった。
彼は肩で激しく息をしながら、畳のに散乱した器とこぼれた噌汁を凝している。
佐がうわごとのようにつぶやいた。
「あの調料、古いガラス瓶の、誰が……」
義母のかよが満そうにため息をついた。
「なんだ佐。そんなことでわざわざ広まで来たの」
義母はあきれたようにを振った。
「あれなら私が裏の蔵にあったものをしてきたのよ」
佐が目を丸くして問い返す。
「奥様がですか?」
義母は悪びれる様子もなく答えた。
「そうよ。ラベルが剥がれてたけど、昔の特別ながするんじゃないかとってね」
彼女は得げに笑った。
「しく入った嫁の腕試しにはちょうどいいでしょう」
義母は私を瞥した。
「でも、うちの管理栄養士のお嫁さんには難しかったみたいね」
義姉の弓もややかに同調する。
「本当にね。たった5分遅刻したことを注されただけで、逆して卓をひっくり返すんですから」
弓は佐に向かって同を求めた。
「佐さんも見ての通りよ。
こんなヒステリーを起こす女、黒崎の台所にはたせられないわ」
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