"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第9話
「もしもし」
浩司はし緊張した声をした。
「おじさん、どうしました?」
浩司はスピーカーモードにはしなかったが、リビングが静かだったため、話越しのきな声は私にも分に聞こえた。
叔父の声は嫌が良さそうだった。
「おお、浩司か。休みのところ悪いな。ちょっと相談があってよ」
浩司は黙って聞いている。
叔父は話を続けた。
「来、うちの男がを建てることになってな。その棟式も兼ねて、親戚で軽く集まろうかって話がてるんだよ」
浩司の顔が、さらにこわばった。
親戚で集まる。
田の悪しき恒例事の図だ。
叔父は調子よく言った。
「でな浩司、おいつもそういうの選びとか配、うまくやってくれるだろう。今回も幹事頼めないかとってな」
叔父の言葉の裏には、はっきりとした期待が透けて見えていた。
幹事を頼むということは、これまでの実績からして、浩司がめに払ってくれるだろう、気よくもてなしてくれるだろうという計算があるのだ。
私は品用のゴルフボールを磨くを止めず、ただ黙って浩司を見ていた。
試練だった。
ここでいいですよ、任せてくださいと言えば、また元の阿弥だ。
浩司は息をみ、私の顔を1度だけ見た。
そしてスマートフォンをく握りしめた。
浩司の声はしずっていた。
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「おじさん、お祝いの集まりをくのはいいとうんですが」
彼は息置いて、はっきりと言った。
「今回から俺は、幹事はお受けできません」
話の向こうで、叔父が言葉を失ったのが分かった。
叔父は怪訝な声で聞く。
「なんでだ?仕事が忙しいのか?」
浩司は腹をくくったように、はっきりと言い切った。
「仕事のせいじゃありません」
彼はい調で続けた。
「集まるなら最初から会費制にしてください。1いくらって決めて全員が同じ額を負担する形じゃないと、俺は参加しません」
叔父の声に、微かな苛ちが混じり始めた。
「なんだお、急に臭いこと言うなよ」
叔父は過の例を持ちす。
「このの美代子の還暦祝いだって、おが全部仕切ってくれたじゃないか。親族の集まりなんだから、そんな細かく割り勘なんて」
浩司は叔父の言葉を遮った。
「還暦祝いのも、俺が1で払ったわけじゃありません」
叔父は黙り込んだ。
浩司は気に打ちけた。
「今まで俺が見栄を張って、俺がすとか任せてくれとか言ってたのは、全部うちの妻のおを勝に当てにしてただけなんです」
私は目を見いた。
浩司が自分から、私の名をしたのだ。
それは彼が親戚ので保ってきたプライドを、自ら打ち砕く自爆為だった。
浩司はさらに言葉を続ける。
「エミさんが、はい。
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俺の稼ぎじゃ毎回親戚全員のみ代なんて、到底せません」
彼は苦しげに言った。
「それなのに、俺がいい顔をしたくてエミに無理をさせてました」
浩司は息つき、さらに言葉をねた。
「先の還暦祝いの、とうとうエミにられました。だから俺が全額払ったんです」
彼は自嘲気に告げた。
「今はその支払いで、俺の遣いもギリギリの状態でして」
話の向こうは、気なほど静かになった。
叔父の声のトーンが、らかにめたものに変わった。
「そうか」
都のいい財布がなくなったとった、の骨な反応だった。
叔父は淡々と言った。
「いや、おんとこにそんな事があるとはらなくてな。悪かったな」
浩司はく返す。
「いえ、俺が勘違いさせてたのが悪いんです」
叔父はあっさりと話を終わらせようとした。
「まあ、棟式の集まりの件は、またこっちで考え直すわ。じゃあな」
通話が切れるプツンという音が、リビングに虚しく響いた。
浩司はスマートフォンをテーブルに置き、きなため息をついた。
その背は、親族からの信頼や頼りになる男という評価を失った、虚脱に包まれているようだった。
私が声をかける。
「言えたね」
浩司は自嘲気に笑った。
「おじさんの声、気にたくなっただろう」
彼は力なく呟く。
「結局俺じゃなくて、俺がすお頼りだったってことだよな」
それは残酷な真実の認識だった。
おで繋ぎ止めていた関係は、おの切れ目が縁の切れ目になる。
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