"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第11話
「先2で決めたルールの3つ目を覚えてる?」
浩司はハッとして顔をげた。
浩司が呟く。
「夫婦から贈るは、2で事に額を決めること」
私は頷いた。
「そう。お義母さんが決めることじゃない」
私は浩司の対面に座り直し、はっきりと言い渡した。
「従兄弟の築祝いなら3万円が相よ。計から3万円します。それ以はしません」
浩司はしだけ戸惑った。
「でも、それだとお袋の顔が潰れるぞ。おじさんに5万円って言っちゃってるんだから」
私がたく言い放つ。
「潰れればいいじゃない」
浩司は息をんだ。
「ええ?」
私は厳しく言った。
「勝にの計の額を約束するから、顔が潰れるのよ」
私は浩司の目を見据える。
「その痛みを本がわわない限り、お義母さんはこれからも同じことを繰り返すわ」
浩司は目を見き、言葉を失った。
親の顔をてる。
それが本の親戚付きいにおける絶対な暗黙の解だ。
だが、それを守るために私たちが理尽な費をいられるのは違っている。
ここで私たちが5万円をせば、お義母さんはやっぱり浩司たちは私の言う通りにすると学習してしまう。
それでは何も変わらないのだ。
私は静かに言った。
「3万円の祝儀袋は私が用するわ。でも、お義母さんへの連絡はあなたがして」
浩司は唾をみ込んだ。
広告
浩司は確認するように言う。
「俺が、自分たちで話しって3万円に決めたって?」
私はさらに求した。
「勝に5万円と約束したなら、りない2万円はお義母さんが自分で補填してくれって伝えて」
それは浩司にとって、残酷な試練だった。
自分の母親の虚栄を正面から打ち砕く為だからだ。
しかし彼が本当に私のパートナーとしてきていくなら、ここで完全に親れをしなければならない。
浩司はしばらく、元の湯呑みを見つめていた。
迷い、恐れ、そしての習慣が彼を引き止めているのが分かる。
やがて彼は決したようにさく頷き、スマートフォンをに取った。
私の目ので、発信ボタンを押す。
あえてスピーカーモードにされた話からコール音が数回鳴り、美代子の声が響いた。
「もしもし」
美代子はいつも通りのどこか圧な声をした。
「浩司、おの準備はできたの?」
浩司は私の顔を1度見て、はっきりとをいた。
「母さん、棟式のお祝いだけど。エミと相談して3万円に決めたから」
話の向こうで、美代子が息をむ音が聞こえた。
美代子はうろたえた声をした。
「ちょっと、何を言ってるの?私おじさんに5万って言っちゃったのよ」
浩司の声は、議なほど震えていなかった。
「それは母さんが勝に約束したことだろう」
美代子は焦って言う。
広告
「恥をかかせる気?たった2万円じゃない。あんたたちの計からせばいいでしょう」
浩司は毅然と言い返した。
「俺たちの計は、母さんの見栄を買うためのものじゃない」
その言は、私が今までのでっていたことを見事に代弁していた。
浩司はさらに続けた。
「もしどうしてもおじさんに5万円渡したいなら、残りの2万円は母さんが自分で払ってくれ」
彼はきっぱりと宣言する。
「俺たちは3万円しかさない。それじゃ」
浩司はそのまま通話を切った。
プツンという無質な音が響き、リビングに静寂が戻る。
浩司はスマートフォンをテーブルに置き、きなため息をついた。
「言ったぞ」
彼の額にはうっすらと汗が滲んでいる。
親に逆らい、期待を裏切るという彼にとって最もいハードルを越えた瞬だった。
私はわずさく笑みをこぼした。
「お疲れ様」
浩司はを抱えた。
「笑い事じゃないよ。これから親戚で俺たちの悪がび交うんだぜ」
しかし、その表はどこか清々しかった。
私はちがり、彼のためにもう度温かいお茶を入れた。
「いいじゃない」
私は湯呑みを置く。
「見栄を張って財布を搾取されるより、悪を言われておが残る方がずっと健康よ」
浩司はお茶を受け取り、ふっと息を吐いて笑った。
「違いないな」
そのの夜、私たちは斎で3万円の祝儀袋を準備した。
札を用し、ペンで表きをする。
これまでは誰かが勝に決めた額を、私がただ無言で支払わされていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り
精密機械加工会社の令嬢・紗栄は、誠実に見えた恋人・弘樹と婚約を結ぶ。しかし両家顔合わせの直前から弘樹はモラハラを連発し横柄な態度へと急変。迎えた顔合わせの当日、高級料亭へ向かわず自室に留まる紗栄のもとへ、弘樹から「遅刻するな、調子に乗るな!」と激しい怒声が届く。 その瞬間、横にいた紗栄の父が電話を奪い取り一喝。「とぼけても無駄だ。お前の身辺調査は済んでいる」。 机の上に叩きつけられた興信所の分厚い茶封筒と、弘樹が抱える「5人の愛人」の証拠写真。怒り狂った弘樹が両親を連れて実家へ殴り込んできた時、彼らがひた隠しにしてきた信じがたい搾取の手口が暴かれ――。嫁姑|裡の顔2.7万字5 1 -
完結第19話
結婚翌朝の平手打ちと専務剥奪
「嫁のくせに初日から遅刻か」――結婚翌朝、老舗料亭グループ専務の夫・高志は、親族の前で私・美咲の頬を平手打ちした。私は管理栄養士として、持病を抱える義父・正一郎のために朝食を作り直し、配膳が5分遅れただけだった。しかも義母・かよが“嫁の腕試し”に使わせた古い調味料は、義父の薬と危険な組み合わせになるもの。誰も信じようとしない中、私は義父の御膳をひっくり返し、「命を粗末にするよりはマシです」と言い切る。すると駆け込んできた料理長・佐木が私を“白川先生”と呼び、封印されていた試作品の危険性を証言。父で食品衛生の専門家・白川敬吾からも緊急の電話が入り、食卓の空気は一変する。それでも母をかばい、私を嘘つき扱いする高志。だが義父が「彼女は私の命を救った」と頭を下げた瞬間、黒崎家が守ってきた序列は崩れ始める――。嫁姑2.8万字5 94 -
完結第25話
父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導
父の葬儀を終えて帰宅した私・水希を待っていたのは、夫・高志から突きつけられた離婚届だった。「底辺の血筋」「寄生虫」と亡き父まで侮辱した彼は、次期社長の座を手に入れるため、社長令嬢リナとの再婚を宣言し、10年間尽くした私を無一文同然で家から追い出す。絶望の中、私に残されたのは、父が最期に託した錆びたブリキ箱だけ。その届け先を頼りに東北へ向かうと、辿り着いたのは巨大企業・暁グループの総本部だった。しかも父の名を告げた瞬間、黒服の社員たちが一斉に頭を下げる。父は本当に貧しい町工場の職人だったのか――。やがて私は、父が残した“力”と、高志の会社を巡る不穏な事実を知る。もう泣いて耐えるだけの妻ではない。自分を捨てた男が次期社長の座を確信して総本部へ乗り込む日、私は静かに反撃の舞台を整え始める。嫁姑3.8万字5 237 -
完結第12話
午前五時の朝餉
母・加奈子を理不尽に追い出して七日目の朝。二重ロックで施錠されたはずの台所で、炊飯器のランプが黄色く灯っていた。「保温:28分」。蓋を開けると、湯気を立てる筍ご飯と、包丁立てから消えた一番重い三徳包丁。電源を抜いても、暗証番号を変えても、毎朝午前五時に届き続ける温かい米。やがて米の底から現れた“ある金属片”を境に、父と祖母の顔から血の気が引いていく。母はどこから入り、この家で何を見つめているのか。因果応報|嫁姑|真実|修羅場1.8万字5 857 -
完結第11話
亡き義母の口座を洗う女
3年前に7年間の壮絶な介護の末に他界し、この手で骨壺に納めたはずの義母。だが解約し忘れていた古い通帳を繰り越すと、死後も毎月「生前給与」が振り込まれ、毎週水曜の深夜に即座に引き出されていた。深夜のコンビニで張り込んだ私が見たのは、義母の服を着て義母と全く同じ体の癖を持つ見知らぬ女。死者は生きているのか。真実を追う私は、隣で眠る夫が隠していた、狂気と冷酷に満ちた「生前名義ビジネス」の底なし沼へと引きずり込まれていく。ミステリー|嫁姑|夫婦1.6万字5 12