"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第14話
彼は静かに言った。
「でもこれだけは、っておいて欲しかったんです」
叔父の声はひどくく、そしてややかだった。
「わかった。もういい」
叔父は酷に告げる。
「美代子には俺から言っておく。おたちはもう、気にしなくていい」
通話が切れた。
静まり返ったリビングで、美代子はそのにへたり込んでいた。
自分の兄に、これまでの醜い嘘と見栄を全て暴されたのだ。
田ので彼女が保ってきた、気の利く妹、息子に慕われる母親という顔は今、完全に砕された。
しかも嫁ではなく、自分が最も見栄を張りたかった対象である自分の息子によって。
浩司はスマートフォンをテーブルに置き、へたり込む母親を見ろした。
浩司の声のトーンはく、拒絶のに満ちていた。
「2度とエミのに、その封筒をさないでくれ」
彼は酷に言い渡す。
「俺たちの活に、母さんの見栄を持ち込まないでくれ。もう2度とだ」
美代子は俯いたまま、何も言えなかった。
ただ震えるでテーブルののい封筒をバッグにしまい込む。
そして私と浩司の顔を1度も見ることなく、逃げるように玄関へと向かい、無言でをてった。
バタンと、いドアの音が響く。
私はリビングの央につ夫を見た。
彼は肩で息をしており、その目は微かに潤んでいるようにも見えた。
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親を切り捨てるような真似をしたのだ。
彼にとっても決してよい来事ではなかったはずだ。
それでも彼は私のために、そして私たちのしいルールのために、逃げずにち向かった。
私はキッチンへ歩きしながら、普段通りの声で彼に尋ねた。
「夕飯まだだったよね。ハンバーグだけどべる?」
浩司はし驚いたように私を見て、それからく、本当にく息を吐きした。
浩司は笑って答えた。
「空腹減った」
逆の変化。
舅や姑は田という親族のネットワークので、自分の居所と発言権をきく失った。
もう2度といつものようにという言葉で、誰かを支配することはできない。
そして夫は親からの精神な自という、最も困難な壁を自らので壊した。
し遅めの夕をとりながら、私たちのには結婚して12で初めての、本当のでの静寂が訪れていた。
週末の朝。
夫の浩司はフリマアプリで売れたゴルフクラブをダンボールに詰めていた。
そこに彼のスマートフォンが鳴った。
画面に表示されたのは実の文字。
義父のしのぶからだった。
浩司はを止め、さく息を吐いてから通話ボタンを押し、スピーカーモードにした。
「もしもし」
義父の声はく、押し殺したようなりを孕んでいた。
「おう。浩司か」
義父は命令する。
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「今の午、エミさんを連れてちょっと顔をせ」
浩司はいぶかしげに聞く。
「急にどうしたんだよ」
義父の声が荒くなる。
「とぼけるな。おじさんから話があった」
義父は問い詰める。
「お、美代子に何をしたんだ?」
浩司は私の顔を見た。
叔父が義父に連絡を入れたのだ。
義父は方に言い放つ。
「美代子が3も寝込んでる。とにかく来い。話はそれからだ」
方に話が切れた。
プーという子音が響く、浩司はスマートフォンをテーブルに放り投げた。
私が尋ねる。
「くの?」
浩司は首のろを掻きながら頷いた。
「親父がてきたら、無するわけにはいかない」
彼はため息をつく。
「逃げても、話がこじれるだけだ」
私はガムテープを渡し、静かに答えた。
「分かったわ」
午2。
私たちは内にある夫の実を訪れた。
築30のし古びた軒。
リビングに通されると、座の座子に義父のしのぶが腕を組んで座っていた。
その斜めろのソファには、姑の美代子が背を丸めて座っている。
先駅で私に詰め寄ってきたの勢いはなく、ひどく憔悴した様子だった。
私たちが向かいの席に座ると、義父が々しくをいた。
「浩司、おじさんから全部聞いたぞ」
義父は度だけ美代子を横目で睨み、再び浩司へ線を戻した。
「そうか。美代子が2万円をて替えて、エミさんに請求したそうだな」
それは確かに美代子の過ちだった。
義父はさらに続ける。
「だがな」
彼のりの矛先は、嘘をついた姑ではなく、嘘を暴いた浩司に向いていた。
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