"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第15話
「わざわざおじさんに話して、自分の母親の恥を晒す必があったのか」
義父はテーブルをドンと叩いた。
「親戚にうちの恥れはったんだぞ」
義父は声を荒げる。
「おじさんはカンカンだ。妹夫婦はどういう教育をしてるんだって、俺まで鳴られたんだぞ」
なるほど。
義父がっている理由は、姑を傷つけられたからではない。
自分のメンツが潰されたからだ。
族の男である叔父から説教され、親戚のでの自分のが危うくなった。
それが許せないのだ。
義父は今度は、私の方へ顔を向けた。
「エミさんもだ」
私が答える。
「はい」
義父は恩着せがましく頷いた。
「あなたが今まで親族の集まりでめに払ってくれていたことには、謝している」
義父は言葉を続ける。
「浩司の稼ぎがりない分を、よく支えてくれた」
義父は説教をする。
「だが、たかが2万円のことであんな騒ぎにするのは違っている」
私が反論する。
「騒ぎですか?」
義父は顔をしかめた。
「そうだ。族なんだから、嫌なら私にこっそり相談すればよかったんだ」
彼は得げに言う。
「そうすれば私が美代子を叱って、波たないように収めた」
義父の言葉に、私はわずたい笑みをこぼしそうになった。
波たないように。
それがこのの絶対なルールなのだ。
誰かがして、表面の平穏を保つこと。
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その誰かは、常に私だった。
私は背筋を伸ばし、はっきりと告げた。
「お父さん」
義父が審そうに眉を潜める。
私はまっすぐに義父を見た。
「たかが2万円のことではありません」
義父は怪訝な顔をする。
私は事実を並べた。
「私が今まで払わされてきたのは、総額で数万円になります」
義父が声を荒げた。
「額の問題じゃないと言っているんだ」
彼は苛たしげに言う。
「やり方の問題だ。内の恥をに言いふらすなと言っているんだよ」
そのだった。
隣に座っていた浩司が、く鋭い声で言った。
「親父、って何だよ」
義父がを閉ざし、浩司を見た。
浩司は静かにる。
「おじさんはのなのか。親戚とはいえよそはよそだ。のの恥を見せる相じゃない」
浩司は言葉を続ける。
「じゃあ俺がを使って、おじさんたちにいい顔をしてたはどうだったんだよ」
浩司の言葉に、義父は言葉に詰まった。
浩司は義父の目をまっすぐに見据えた。
「親父もってたんだろう。俺が親戚の宴会を全部払えるような稼ぎじゃないことくらい」
私は黙って夫の横顔を見つめた。
浩司は過の記憶を掘り起こす。
「5にお盆の集まりで寿司を取っただ。親父俺に言ったよな」
私もそのの記憶が蘇った。
12が集まった。
「浩司、ここはエミさんのカードで払っておけ。ポイントが貯まるだろうって」
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義父の肩がビクッとねた。
浩司は吐き捨てるように言う。
「俺はあの、親父もグルなんだってわかったよ」
彼は確信を込めて言った。
「エミが払うのが、このにとって番都がいいんだって」
沈黙がリビングを支配した。
姑の美代子は、自分の夫までが追及されるのを見て息を潜めている。
義父は必に威厳を保とうと、い声で唸った。
「私は、おたち夫婦で納得してやっているとっていただけだ」
浩司は容赦しなかった。
「嘘をつくなよ」
彼は父親を睨む。
「納得してるかどうか、1度でもエミに聞いたか」
さらに追及する。
「いつも悪いねって、1度でも言ったか」
浩司は核を突く。
「親父も母さんもエミのだと分かってて、自分の財布が痛まないから黙ってただけだろう」
浩司はたく言い放った。
「見栄を張りたいなら、自分たちので張れよ」
義父がちがり、鳴り声をげた。
「黙れ!」
義父は顔を真っ赤にして言う。
「親に向かってなんというの利き方だ」
昔の浩司なら、ここで縮みがって謝っていただろう。
父親の声はこのでは絶対な力を持っていたからだ。
しかし今の浩司は微だにせず、義父を見げていた。
18万円という現実の痛みを払い、自分の切な具を放し、自分の嘘と向きった男は、もはや父親の虚勢を恐れてはいなかった。
浩司は静かに、しかし決定な言葉をにした。
「俺たちはもう、あんたたちの見栄の具にはならない」
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