"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第20話
彼女は絞りすように言う。
「私が持ってくるいお酒やカニ。それに、誰よりも気よく支払いを済ませるエミさんのお」
それはあまりにも残酷な真実だった。
関係の台だとっていたものが、実はの財布から引きされた現でできていた砂の楼閣だったのだ。
美代子の目から、ポロポロと粒の涙がこぼれ落ちた。
「おをせなくなった途端にこれよ。来なくていいなんて、体のいい厄介払いじゃない」
60歳を過ぎてから、自分が築いてきたとっていた世体が全て嘘だったと気づく。
その絶望は、私には像もつかないほどいものだろう。
私が尋ねる。
「お義父さんは、何て言ってるんですか?」
美代子は涙を拭いながら、首を横に振った。
「るだけよ」
彼女は泣き笑いのような顔をする。
「私が見栄を張るから恥をかいたって。自分だってエミさんのカードで払うはニコニコしてたくせに」
夫婦のにも亀裂が入っている。
おという接着剤がなくなった途端、田はバラバラになりかけていた。
美代子が赤く腫れた目で私を見た。
「エミさん。あなたは最初から分かっていたのね」
私が聞き返す。
「何がですか?」
美代子は答える。
「親戚の連がどれだけで汚いか。私たちがあなたのおに集っていただけだってこと」
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美代子の問いかけに、私はさく息を吐いた。
「親戚の皆さんがかどうかは、私には分かりません」
私はお湯の沸いたやかんをに取り、急須へゆっくりと注いだ。
「でも、私が都の良いように使われていることには気づいていました」
美代子はヒッとく息をんだ。
私は美代子の目をまっすぐに見返した。
「私が嫌だったのは、おが減ることじゃないんです」
私ははっきりと言う。
「私のが、ただの財布として扱われることでした」
彼女は息を呑んで聞いている。
「誰からも謝されず、払うのが当たりだとわれることでした」
美代子は何も言い返せなかった。
自分が私に対してしてきたことと、今叔父から自分がされていること。
それが全く同じの尊厳を無した扱いであることに、ようやく気がついたのだ。
美代子はキッチンカウンターにをつき、くをげた。
「悪かったわ」
以喫茶で聞いた謝罪よりも、ずっとく痛切な響きがあった。
自分のを切られるような屈辱をわって初めて、彼女は私の痛みを理解したのだ。
私が声をかける。
「お茶入りそうですね。持っていきましょう」
私はそれ以、過を責めることはしなかった。
すでに彼女は分すぎるほどの罰を受けている。
親族からの孤、夫からの非難、そして自分自の愚かさとの直面。
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私がこれ以言葉で打ちのめす必など、どこにもない。
お盆に湯呑みを乗せ、リビングへと戻る。
義父は相変わらず嫌そうにテレビを見つめ、浩司はスマートフォンをいじっていた。
私が声をかける。
「お茶入りましたよ」
浩司が顔をげた。
美代子は私のろから静かに歩み寄り、自分の夫のに湯呑みを置いた。
「あなた、お茶よ」
義父は何も言わず、ただ乱暴に湯呑みをに取った。
その無言の態度に、美代子はまたしだけ肩をすくめる。
私は浩司の隣に座り、自分の分のお茶をんだ。
親戚との縁が切れ、見栄を張る相がいなくなった義実。
そこには虚飾を取り払われたに残った、え切った老夫婦の現実があった。
彼らはこれから自分たち自の力だけで、このので向きっていかなければならない。
誰かのおで誤魔化すことはもう2度とできないのだ。
お茶をみ終えた浩司が、ちがりながら言った。
「エミ、そろそろ帰るか」
私が答える。
「そうだね。夕飯の買い物もしてきたいし」
私たちが帰り支度を始めると、美代子が見送りのために玄関までてきた。
「今はハムありがとう。お正にお父さんと2でいただくわ」
美代子の言葉には、もう無理ながりはなかった。
正は2きりで静かに過ごす。
その現実を受け入れた諦めと、しの寂しさが混じった声だった。
私が無難な挨拶を返す。
「はい。邪など引かないように気をつけてくださいね」
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